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Maple 第3話
チャイムと同時に、担任が教室に入ってくる。
それまで騒がしかった生徒達も、各自の席に着いた。
皆が口を閉じるのを待ってから、担任は口を開いた。
「授業を始める前に、今日は席替えを行います。」
(席替え?)
私の頭の中にはハテナが沢山浮かぶ。
(まだ入学して1ヶ月しか経っていないのに、もう席替えするの?)
困惑している私の心の声を遮るようにして、担任は続ける。
「入学して1ヶ月経ったし、名簿順の席で近い人以外にも、もっといろんな人と話す機会があったほうがいいからな。」
(あ〜、なるほど…)
くじで決めるぞ、という担任の声に、皆が教卓の周りに集まり、あっという間に人だかりができる。
なんとなく、昨日の体育館の前の光景を思い出す。
その間にも次々とくじが引かれていき、教室中から色々な声が聞こえてくる。
(仲良くなれそうな人と隣になれるといいけど…)
人だかりをくぐり抜け、くじの前に行くと、不安半分、期待半分でくじを引き、書いてある番号を見る。
10
私の番号は10番だった。
黒板に書いてある席番号と照らし合わせながら席を探し出し、10番の席に着く。
(隣は誰になるかな)
(仲良くなれるといいけど…)
などと色々考えていると、私の隣に人が座った。
私の席を覆い隠す程の影ができる。
なんだか嫌な予感がする。
恐る恐る隣を見ると、私の嫌な予感は完璧に的中したことに気が付き、思わず溜息を漏らしそうになる。
気づかれないようにもう一度隣を見る。
眠そうな目を擦りながら、相変わらずの無表情で机を見つめている、背の高い人物。
そこにはうちのクラスの問題児、流川楓が座っていたのだ。
続く…