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れーん🌸
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rd side――――――――――
──その日の放課後。
「じゃ、また明日ねー!」
レウが手を振って教室を出ていく。
みどりもそれに続いて、「ばいばい」と笑った。
コンタミは「お疲れ」とだけ言って、さっさと帰っていく。
いつも通りの終わり。
……のはずだった。
「……」
ふと、視線が止まる。
きょーさんは、席に座ったままだった。
「帰らないの?」
何気なく声をかける。
「んー……もうちょい」
曖昧な返事。
「先帰っていいよ」
「いや、別に待つけど」
そう言うと少しだけ驚いた顔をされた。
「珍し」
「何が」
「らっだぁが待つの」
「たまにはね」
軽く返してみる。
でも、内心は少しだけ落ち着かなかった。
(無理してるぞ)
昼に見た手紙の一文が頭から離れない。
「……ほんとに大丈夫?」
気づけば、口に出していた。
「何が?」
きょーさんが顔を上げる。
「いや、その……」
言葉に詰まる。
“無理してるだろ”なんて、急に言えるわけがない。
「……なんでもない」
結局、いつもの逃げ方をする。
「なんだよそれ」
少しだけ笑われた。
そのまま沈黙が続いた。
数分後。
「じゃ、帰るか」
きょーさんが立ち上がる。
「あ、うん」
一緒に教室を出る。
廊下を歩きながら、何度か話しかけようとする。
でも──
“何を言えばいい?”
それが分からなくて、結局何も言えない。
昇降口まで来たところで。
「あ、俺こっち」
きょーさんが指差す。
いつもと違う方向。
「……え?」
「ちょっと寄るとこあるから」
軽い調子で言う。
「じゃ、またな」
そのまま歩き出そうとする背中。
(……待てよ)
頭の中で警鐘みたいに何かが鳴る。
でも。
「……おう」
出てきたのはそれだけだった。
止める理由が…なかった。
ただの“違和感”だけで引き止めるのは、おかしいよね。
そう思ってしまった。
きょーさんは、そのまま歩いていく。
振り返ることもなく。
(……大丈夫、だよな)
自分に言い聞かせる。
そのまま反対方向へ歩き出した。
──その夜。
部屋に入った瞬間、嫌な予感がした。
机の上に封筒が置かれている。
「……っ」
すぐに分かった。
これが、次の手紙だって。
ほとんど迷わず封を切る。
中の紙を開く。
そこに書かれていた文字を見た瞬間、頭がフル回転する。
『あの日、ちゃんと話を聞け』
「……あの日って」
思わず呟く。
今日のことか?
さっきのことか?
書かれた“ あの日”とは一体いつなんだと考える。
そして、とある憶測が脳裏をよぎる。
「……っ」
「考えたくはないなぁ…」
頭の中に浮かぶのは、さっきの光景。
“ちょっと寄るとこあるから”
そう言って別の道に行った背中。
(……あの時、止めればよかったのか?)
手が少し震える。
「……いや」
首を振る。
まだ何も起きてない。
ただの手紙だ。
そう思いたいのに。
胸の奥のざわつきが消えない。
「……なんなんだよ、これ」
小さく呟く。
でも、その答えはどこにもなくて。
ただ一つだけ、分かっていることがあった。
──俺は、何かを間違えた。
そんな気がした。
――――――――――