テラーノベル
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up「 明日二人きりで早い時間──始発の時間に学校にいかない? 」
そうして約束をしたのは、絶賛片思い中で 、転校してしまうという・upplnさんだった 。
ピピピ…ピピピ… 耳の近くでうるさいくらいの目覚ましが鳴る。
「う 、う ~ ん … 」
まだもうちょっと … もう少しだけ
あまりの眠さについそう思ってしまうけど 、今日はそうも行かない 。
私は思い切って体を上げて 、伸びをする 。
時計には 、3時30分 を告げている 。
いつもより何時間も早い時間 。
…なんたって今日は 、ずっと思い続けた相手との約束の日だから 。
私は勢いのままカーテンをパシッと開けるけど 、あまりの速さに太陽は出ていないしまだ暗い。
この地域では始発は 5時 から 。
念入りに時間を多めに取っているとはいえ 、ゆっくりできない 。
カチッ と電気を付けて 、部屋が明るくなる 。
その拍子に思わず目を細める 。 でもおかげで少し目が覚めてきたかな … 。
さっきまでぼんやり気味だった脳も次第にはっきりしてくる 。
とにかく顔を洗ってきちんと体を起こすとしよう 。
私は洗面所一直線に向かう 。
バシャッ … パシャッ 水が飛び散るのを前に 、無事顔を洗い終えた 。
これで目も体もスッキリっと 。
そのままキッチンへ向かって朝ご飯の用意をする。
いつもの食パンをオーブンに入れて 、ヨーグルトを取り出す 。
トーストが焼けたら、私のいつもの朝ご飯は完成 。
「 いただきまーす 。 」
誰もいない静かなダイビングでボソリと呟き 、パンをいただく 。
外はサクッと 、けど中はふわっと 。
今日も焼き加減はばっちり 。… 流石は私 。
ヨーグルトもあっという間に食べ終え 、朝ご飯を完食した。
「 ごちそうさまでした ー 。 」
私は机から立ち上がって 、お皿を洗う 。
顔を洗ったときみたいに水道の水がバシャバシャと飛ぶ 。
その水滴に私の顔が一瞬して映ったのを目で捉える 。
あぁ、浮かない顔しているなぁ… まぁ、好きな人と今日で最後かもしれないんだしね 。
そんなぼんやりとした気持ちでお皿を洗っている 。
そんなとき 、ふと手に取った洗い物──包丁が手に触れ 、痛みが走った 。
「 いた … っ 」
手には思っていた以上に深い傷が刻まれていて 、血が ドロッ と垂れ落ちてきた 。
… もう 、こんな時間もギリギリで 、せっかく張り切ろうと思っていた、
そんな今日に限って 朝っぱらから怪我しちゃうんだろう 。
そうして自分に呆れつつ 、止血してから 、絆創膏をリビングから取って貼り付ける 。
ひとまずはコレで大丈夫そう 。
次からは 、気をつけて洗い物しなきゃね … そう心で念じて 、洗い物を再開した 。
洗い物を終え 、服も着替えて 、基本的な準備を終えた 。
いつもならここで終わるけど 、今日は少しやってみたいことがあった 。
「 よし … これで全部かなぁ … 」
目の前に広がるのは 、棚の奥から引っ張り出してきた 、メイクセットに香水にヘアアイロンだ 。
せっかく好きな人との別れを告げるんだから張り切ろうと思って 。
普段は絶対しないであろうメイクも 、今日ばかりは挑戦してみたいお年頃 。
私はキラキラ陽キャさん達みたいに上手くはないけど 、
動画や写真 、画像等の見様見真似で 、 いつもより一段と可愛くなれたらいいよねって 。
「 ここにアイシャドウ …… 次に涙袋 …… 」
そうして 、メイクを終える 。
何度か鏡を見るけど 失敗はないし 、だいぶ盛れてるんじゃないかな?
自分で言うのも何だけど((
でも時間もそこまで余裕はないんだった 。
次は香水を付けて 、ヘアアイロン 。
また怪我しないように火傷に注意して 、綺麗に滑らせる 。
今日は 、普通のボブヘアで行こうと思っているから 、なるべく内巻きになるようにっと 。
ちなみにボブヘアにする理由は 、upさんの好みなタイプはボブヘアだって聞いたことあるから 。
やっぱり最後こそ本気でいくんだよなぁ 。
ヘアアイロンを終えてからは 、ケープで髪の形を整える 。
「 よしっ … これで 、完了 … !! 」
私は鏡で色んな方向を映す 。
いいんじゃない?いいんじゃない?
私は自分に自信が出てくる 。メイクって不思議だね 。
そう感心していると 、ピピピ… ピピピ… と聞き慣れた音が鳴った 。
鳴っているのは … スマホ!そうだ 、 !? 私は焦ってスマホを取り 、音を止める 。
時計を見ると 、5時13分くらい 。
「 ま 、待って … !時間やばい!? 」
急いでカバンを持って 、玄関へ走る 。
駅まではだいたい10分くらい必要 … 走ったら間に合うか間に合わないか … ギリギリだ 。
うぅ 、優雅にゆっくりしてるんじゃなかった … 私は心の中で後悔しつつも 、ドア先で吹いた風に笑みを零す 。
私はその風に乗って 、必死に走り始めた 。
行く先は駅前 。
upさんと合流して 、二人きりで行くんだ 。upさんと過ごせる最後の学校へ
「 はぁッ … はぁッ 」
体力のない私には 、この数メートルも大変だった 。
走っては少し休んで 、それくらいしないと走れない 。
でもそうしちゃうと間に合わない 。
そんなグワングワン揺れる心が私を中途半端にさせる 。
でも段々と駅が見えてくる 。
今の時間は ? 間に合ってる? 私は不安で仕方がない … 一刻でも早くつかないといけない 、そんな焦りが私を泳がせた 。
駅前の時計が見えた時 、そこに写ったのは 、5時29分 ─── それも電車の到着音と共に。
ま 、間に合わない … 諦めてしまいたいけど 、私は走っていた 。
普段の私なら 、ここで止まっていただろう 。
でも私は止まらなかった 、いや止まれなかった 。
大切な人との約束だから 、 私は大急ぎで駅へ入って 、切符を購入する 。
改札口を通って 駅のホームの階段を駆け上がる 。
「 はぁっ … はぁッ … っ … ッッ」
ここは……丁度階段の上がる真ん中らへんか ──
そんなときに 、 「 〇〇線電車が発車します 。 」 そんなアナウンスが聞こえた 。
う 、嘘でしょ … ?
私は無理だと悟ったのか 、階段を一気に登りつめ 、電車の閉まる扉を見詰めた 。
無理 … だった 。
泣いてしまいたいくらい 、体も心も全部痛い 。
何も考えられない 。
そんな思いで 、天を仰いだ 。
ポロッ … ポロ …
頬には慣れた温かい水滴が垂れ落ちる 。
泣いてるんだ 、弱い私は泣くんだ 。
あぁ 、最後くらい 、二人きりでいたかったのに 、そう胸の中には後悔 が残った 。
涙のせいで朝頑張ったメイクも台無し 。
キキィーーーーー
そんなうるさい電車の発車音と共に電車が走り出した 。
涙のせいでぼんやりしか見えないけど 、通り過ぎてしまう電車を見詰める 。
まるで電車が 、私の恋みたいに目の前から発車された 。
あぁ 、行かないで 。
追いかけたいけど動かない 、体が 。
終わってしまうのか 、諦めなければいけないのか 。
そんな思いで 、電車と私の恋を見送った 。
と思っていた ──────── 。
??「 なーに泣いてんの ? 笑 」
「 …っえ ? 」
見覚えのある声に後ろを振り向く 。
そこにいたのは 、立っていたのは…
正真正銘私の大好きな片思い相手であるupさんだった 。
「 な 、泣いてなんかないから…っ 」
up「 はぁ ー 、最後なんだし強がんなくてもいいじゃん? 」
upさんはそう言って 、ハンカチを取り出し私の涙を拭いてくれる 。
さっきまでは絶望でズキズキと傷んでいたはずの心も 、今はドキドキ踊っている 。
up「 あれ 、今日メイクしてきたの ? … 可愛いじゃん 、笑 」
「 …っ 、あ 、ありがと … // 」
そんな褒め言葉も今ではすっとそっぽを向いてしまいたいくらい 、だらしない 。
きっと涙でグシャグシャになってるのに 、なんで無理にでも褒めてくれるんだろうか 。
「 と 、というかなんで ? 電車 … 乗ってないの ? 」
てっきり乗っていると思って 、見送ったのに … 。
私は呼吸を整えながらupさんに問いかける 。
up「 なんでって 、約束したじゃん 。 “ 明日二人きりで ”って 。 」
「 でも 、始発で行こうって言ってたじゃん? 」
確かに言っていたけど 、納得行かない 。
二人きりで行ことはいったけど 、始発で行こうって言ってたしさ 。
up「 始発より 、二人きりの方が大事でしょ 。
それに俺は 、ltさんを … いや 、好きな人を置いていくほど酷い男じゃないから 。 」
そう私の耳元で 、upさんがささやく 。
す 、好きな人 … って ///
思わず頬や 、耳元まで赤く熱く染め広がる 。
聞き間違い 、聞き間違い 。
そう思い込みたいのに 、もしかして … と心はどうしてか期待してしまう 。
up「 ねぇ 、l … lt ? 」
急な呼び捨てにドキッと心を射抜かれる 。
ねぇ 、ほんとによくないよ … どうせ私はただの友達関係なんだからさ。
up「 最後だから言わせて 。 好きです 、 遠距離でもなんでもいいから …… 付き合って下さいっ 、//」
私の思い込みはその言葉でガタリと崩れ落ちた 。
期待通りの言葉だけど 、私の心は何故かグラングラン揺れていた 。 嬉しいはずなのに受け止めきれない 。
「 …… っ 」
泣いちゃダメ 、そう思ってるはずなのに涙が込み上げてくる 。
すると … ギュッ と手に暖かいupさんの手が絡んだ 。
up「 大丈夫 、嫌だったら振って大丈夫だし …
その不安も解消させてあげたいって思ってるから 、良かったら … 良かったら 。 」
そんなupさんの必死な言葉で私はすっかり落ち着いていた 。
この人なら大丈夫 、そんな熱い信頼が私の胸を熱してくる 。
私はupさんに握られたてを握り返して 、スゥッと一息ついて 言った 。
「 ……私で良ければ 、お願いします 。 」
願念の伝えたかった思いを言えた 。
そんな安心感からガクッと力が抜ける 。
up「 っ … !! だ 、大丈夫 ? ちょ 、ちょっと座ろ」
そんな私を 、upさんが支えてくれる 。
やっぱり大好きだな 、諦められない 、そんな気持ちが込み上げる 。
「 ありがとう 、……… up 。 」
私は敢えて 、素っ気なく言ってそっぽを向く 。
急に呼び捨てとかキモかったかな 。
なんて急に不安な心が出てきたけど 、次の… up 、の言葉にホッと安心した 。
up「 え 、今呼び捨てで呼んでくれた 、?…… 照れてるの可愛いじゃん 、笑 」
恋ってこんな温かいものだったんだ 。
私は新たな発見に心を踊らせる 。
そうして 、しばらく駅のホームで座っていると 、放送アナウンスが鳴った 。
「 〇号線〜電車が到着致します 。危険ですので黄色い線よりお下がり下さい 」
〇号線──これは私達が乗る電車だ 。
up「 来るみたいだね 、…立てる? 」
うんと小さく頷いて 、upの手を借りながらも立ち上がる 。
その手は温かく 、私の気持ちを包みこんでくれる優しさだった 。
キキィーーー
さっきはうるさいと感じていた電車の発車音に似た到着音も 、
今はどこか前向きになれるパワーがあった。
ドアが開くと私達は電車に入る 。
その時にupが私の手をぎゅっと握った 。
驚きつつも私はぎゅっと握り返してあげた 。
upがそれを感じ私の顔を見たけど 、私はupを見ない 。
ここで見つめ返して照れてるなんて 、恥ずかしいじゃん 。
こうして 、最初は終わったと思った “ 恋 ” も 、今は幸せな “ 愛 ” に変わった 。
…そんなときふと思いついたのは 、さっき発車した電車のこと 。
あの過ぎ去った電車は 、 “ 恋 ” が過ぎ去るのではなく 私の “ 愛 ” の始まりを表してたんだなって 。
超長編ここまで読んでくださった方ありがとうございます…!!
こちらの作品は、一話完結の読み切り作品となっており 、
めぐむ様 こと めぐむちゃんの 、#めぐむんの相棒相棒コンテストッ! に参加させていただいています✨️
ほんとに長いですが、他の方も読んで下さると嬉しいです👀💕
めぐむちゃんへ!
素敵な企画の作成ありがとう!!
つい最近仲良くなったばっかだけど 、最後まで見てくれるとほんとに泣いて喜びます😭✨️
相棒にはなりたいけど 、こんな駄作で賞をもらえるなんて夢のまた夢だけど… 少しでも見向いてくれたら嬉しい🥰
改めて、参加させていただいてありがとう! ぜひこちらの作品で、よろしくお願いします🙌🏻
コメント
5件
ひゃああああああああ...神じゃん...ちょっと...なんかItさんもupさんも好きになっちゃうやん...もうなんか後ろからupさんが声かけてくるとこで私の心も射抜かれてもうた...(ちょいキ〇い)
なんですかこの作品 、神ですか !! なんか#が相棒相棒になってるんだよね😭別にいいけどね !! 参加ありがとう !!!