最初に見た光景は周り一面見に覆われた大地だった。それと同時に襲ってくる記憶。自分が何者だったか、今まで一体何をしてきたのか、そして、
こいつは誰か__?
「起きちゃった?起きちゃった?私の中で起きちゃった?私はね、私はね、反抗する子は大っ嫌いなの。そうよ、そうよ、大っ嫌い。」
私の口から漏れる声。でも、これは私じゃ無い。こいつは、こいつは、
「私はね、私はね、神から捨てられた元不良品型下位神隊員第一号、ハナ。よろしくね、よろしくね。」
その瞬間、いきなり目の前が真っ暗になり、自分の体が制御出来なくなる。
くっ…そっ……たれえええええ!!!
あれからどれだけ経っただろうか。私にはそれすら確認することも出来ない。きっと、あいつはこの体で暴れ続けているのだろう。もう、この体が自分のなのかも分からない。もしかしたら、これは私の体では無いんじゃないか。だから、私はこんな目に合わなきゃならないのかもしれない、と。異世界だなんてバカげた事を考えていた時もあった。死んでも死ななくても、地獄と変わりないじゃないか。でも、それでも、生きて、いた……い。
「……死にたく、無いなぁ。」
無数の雫が血と混じりながら私の体を濡らす。その、雫は地面に落ち、ぴちょんと弾けた時、私の髪を掴んでいるこの男が呟いた。
「ん?何だ。お前も日本から来た転生者か。ったく、迷惑の他ねーな、今回の転生者はよう。」
私の髪を掴んでいた手が離され、私は顔面から地面に投げつけられる。私は現状を確認しようと掠れた目でどうにか横を向く。すると、ぼんやりとだが、少年が私と同じ血まみれの状態で地面に突っ伏していた。あまりにも急すぎる展開にフリーズする。
「おーい、ショウ起きろー。死んでるか?いや、死んでねーよな。なら、起きろー。」
男がショウと呼ばれる少年の頬をツンツン突く。だが、その呼びかけに少年は応じず、まるで死人のように倒れ込んだままだ。
「ほら、風邪引くぞー?」
いや、そういう問題じゃ絶対無いと思う。すると、男は「しょーがねーなぁ」と呟き、少年を担ぐ。待って、このままじゃ、置いて行かれる!
「待っ、て。」
朦朧としながらも男の足を掴む。次の瞬間、私の腕が消えた。
「が、はっ!?」
腕から尋常じゃ無いほどの血が溢れる。さらに痛みが増した事でもう意識が飛びそうだ。それでも、絶対!私はもう片方の腕で男の足を掴む。そして、消えた。
「あ、ぎいぃ!?」
痛い痛い痛い!!!…けど、お願い!
「見捨…て、な、い…で…!」
最後は一文字一文字丁寧に言う。男がこっちを振り向き私に手を差し伸べる。私はその手に近づく。そして、私の体は真っ二つになった。
『あらま、あらま、追い出されちゃたよ。怖いよね、怖いよね。もう、一緒に遊べないね、悲しいね、悲しいね。でもね、でもね、またね、会えるよ!じゃあね、じゃあね、また何処かで会いましょう。』
頭の中であの忌々しい堕天使の声が響く。ははっ、これが私の最後?マジで……
「ふざけんなよ。」
あいつ、何いってんだ?大丈夫か?頭おかしいんじゃ無いだろうか。気になってほっぺをぷにぷにする。あ、これ楽しい。
「あ、痛。痛い。」
あ、やべ、これホントに楽しいわ。癖になる。暫くぷにぷにしていると、少女の横の布団から弱々しい声が聞こえてきた。
「サゴンさん。何、してるんですか?」
「何ってほら、あれだよあれ。殺戮幼女ぷにぷにんと言う名の遊び。」
「結局遊びじゃ無いですか。あと、傍から見ると変態に見えますよ。だからその子からちょっと距離を取ってください。」
「なぬっ!?お前もしかして……嫉妬?」
「違います。」
即答されてしまった。まあ、こいつはこういう奴だからな。んもう、照れちゃって。はい、サゴン特製の特上ウインク!
「今、悪寒を感じました。」
「キノセイジャナイカナー。」
見に覚えがないのでスルーしよう。で、本題に移るけど……
「お前起きたんなら先に言いなさい!びっくりするでしょ!」
「今それ言うことですか!?もっと他にありましたよね!?面倒くさいからって、投げないでください!貴方が連れてきたんでしょう!?」
うん、ド正論。そう、俺がこの小娘を連れ帰ってきたんです。理由?そんなのただの気まぐれだよ。んな事より、
「お前、起きてるだろ。」
小娘にそう問うが顔色一つ変えないし、返事もしない。それにさっきからこちょこちょの刑に処しているんだがこれも全くもってはがたたない。解せねーな。
「あんれー?何だか腹が減ってきたなー。おやおやこんなところに美味しそうな小娘が!食べちゃうぞー!」
反応無し。え、ホントにこいつ寝てるのでは?そしてその俺の姿を見たショウがドン引きしてる。いやいや俺の魔力感知だと起きてるはずなんだ!
「ショウ、悪いけどそこにある、包丁持ってきてくんね?」
「え、何でですか?」
「良いからいいから。あ、あと、今日の飯は小娘の丸焼きか刺し身どっちが良い?」
「嘘です、起きてます。ごめんなさい。」
ガバッと布団から飛び出した小娘が謎に敬礼をして俺の方を向く。
「ショウー、包丁まだー?」
「いやもう起きましたけど。」
「え、起きても起きなくても今日の飯は決まったよ?」
「本当に料理する気だったんですか!?」
驚愕の表情のショウに取り敢えず親指を立てておく。因みに俺に人肉を食べる趣味は無いよ!という意味だったのに暫く沈黙が続いた。ナンデ?
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