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#ハンドレッドノート
こはく@忙しいね
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炭酸@サイダー🌠💙🎧️
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「……いない。」
紋躯町を探し回っていた右手は、立ち止まった。
隣では左手が端末を操作している。
「GPSが切られてる。連絡もつかねぇ。」
「……誘拐された可能性は、やはり高いですね。」
右手は静かに呟く。
しかし、その声とは裏腹に拳は強く握り締められていた。
「……千ト。」
普段なら、こんな時こそ冷静でいられる。
記録者として。
”トモダチ”として。
けれど――
「千トが何かに巻き込まれたとしたら、」
「俺らのこと、巻き込まないために黙って消えた……ってことはねぇか?」
左手の言葉に、右手が顔を上げた。
「……。」
「千トならやりかねねぇだろ。」
「……ええ。」
右手は目を伏せる。
「ですが……」
一瞬、言葉に詰まる。
「ですが、私は……そんな選択をしてほしくありません。」
「……兄貴。」
「千トが何を抱えていたとしても。」
右手は静かに前を向いた。
「私は、千トを一人にはしません。」
その言葉に、左手も端末をポケットへしまった。
「それに、千トはよく言うでしょう。」
「私たちは、ナイトアウルです。」
「……ああ。」
二人は同時に歩き出した。
その頃。
千トは暗い車の後部座席に座っていた。
窓の外を流れていく街の景色を、ぼんやりと眺める。
「……。」
膝の上には、小さな鞄。
その端のポケットには、あのキーホルダーが入っている。
右手と左手と、お揃いで買ったもの。
指先でそっと触れる。
「……右手くん。」
次に、
「……左手くん。」
名前を呼ぶだけで、胸が苦しくなる。
「……会いたい。」
ぽつり。
その言葉が口から零れた瞬間、千トは慌てて口元を押さえた。
「違う……」
違わない。
会いたい。
帰りたい。
あの二人のところに。
でも――
「……帰れない。」
千トは目を閉じた。
すると、先ほどの男の言葉が頭の中に蘇る。
――断ったら、分かってるよな?
――記録者だろ? お前の。
「……。」
右手くん。
左手くん。
自分のせいで、二人が傷つく。
そんな未来だけは絶対に嫌だった。
だから――
「……僕がいなくなれば、それでいいんだ。」
自分に言い聞かせるように呟く。
しかし。
その時だった。
ポケットの中で、何かが震えた。
「……え?」
取り出したのは端末。
画面を見る。
そこには一件の通知。
【右手くん】
千トの目が大きく見開かれた。
『千ト。今どこにいますか。』
たった一行。
それだけだった。
「……っ」
返信画面を開く。
『ごめんなさい』
そこまで入力して、指が止まる。
送れない。
何を書けばいい?
「大丈夫」なんて嘘はつけない。
「帰る」なんて約束もできない。
結局、入力した文字をすべて消した。
「……ごめん。」
イコを胸に抱きしめる。
「右手くん……」
涙が一滴、画面に落ちた。
「既読がつきました。」
「……!」
右手の手が止まる。
隣から左手が画面を覗き込んだ。
「返信は?」
「ありません。」
「……そうか。」
しかし。
右手は画面を見つめたまま、何かに気づいたように目を細めた。
「左手。」
「あ?」
「今の既読……おかしくありませんか?」
「……どういう意味だ?」
「千トは、私たちから逃げたいわけではない。」
「……。」
「もし本当に自分の意思で離れたのなら、千トはこんな中途半端な既読の付け方をしません。」
右手と左手は千トの性格を誰よりも知っている。
寂しがり屋で。
泣き虫で。
そして――
時々、自分より他人を優先してしまう。
「千トは……誰かに何かを強制されている。」
左手の目つきが変わった。
「……なら、話は早ぇ。」
「ええ。」
右手が端末を取り出す。
「千トを探しましょう。」
「ああ、絶対に見つける。」
二人は互いに頷いた。
Next ♡200〜
コメント
1件
第3話、読みました。右手と左手の連携と、千トへの信頼がにじみ出ていて、逆に胸が締め付けられましたね。特に「既読の付け方」から千トが強制されていると気づくシーン、さすがの観察眼です。千トの「会いたい…でも帰れない」という葛藤も切なくて…。3人で1つという絆がどう試されるのか、次が気になります。