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「自分の手で掴み取る…………。それは良いですね」
ニヤリの笑ってみせた。あぁ、この二人なら、幸せを自分の手で掴み取るだろうな。俺の助けは、要らないな。この時、そう悟った。
そんな中、イングランド王国とフランス王国との戦争が始まった。後に、百年戦争や一世紀戦争と呼ばれるものだ。
ドールは自国が戦争や紛争、内乱をおこしたり、したりすると、体調を崩す。だが、俺は多少の苦痛であれば耐えられるように訓練を続けていた。だから、至って普通を振る舞える。
俺はどちらの味方をすれば良いのか。イングランド様もスコットランド様も対立したままだ。まぁ、今この状態で無理な運動をすれば血を吐いて倒れるだろうから、この家からは動けないのだが。
そんな戦争の中、捕虜を確保したという。
ただの好奇心と、暇潰しと、そんな理由でこの家の地下にある牢へ足を運んだ。
そこには、フランス王国の化身とそのドールがいた。
ドールは体調が悪いのだろうな。グッタリとして居る。フランス王国は、そんなドールを心配そうにしつつ、こちらへの警戒を怠っていなかった。
「おい、こいつらを地下牢では無く、上にある部屋に移動させろ」
気が付くと俺は兵士に命令していた。何故だろうか、このドールを助けたいと思った。
「何のつもり」
ギラリと光る金色の瞳でフランス王国は俺を睨んできた。
「お前らだって化身とドールだ。それ相応の対応はせねばならん。というのは納得できないのだろう?だからこう言っておこう。ただの気まぐれだ」
念の為に化身とドールは別々の部屋にした。イングランド様はこの二人にはとうに興味を失ったようで、俺に全責任を渡した。
部屋に連れて来たドールの目の前に立つ。
「おい、ドール。お前の飯を持ってきたぞ。食え」
先程俺が毒味をした料理を手渡すが、受け取る気配は無い。ドールといえど、最低でも、月に一度何か食べなければ死ぬ。いや、詳しく言うと、行動不可になる。いわば仮死状態だ。
このドールは今月は何も食べていないようだ。このまま食べなければ仮死状態になる。そんなのこちらも面倒だ。
「食べないのか?毒は入ってないぞ」
駄目だ。このドールの心情が一切理解できん。