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「照、おはよう」
スタジオまで歩いていると、深澤に声を掛けられた
「おはよ」
「今日は2人で撮影だな、よろしく」
「こちらこそ」
本日、これから雑誌の撮影で
笑顔で挨拶を交わし、横に並んで歩き出す
2人の間に、少し前のギクシャクした感じがなくなり
やっと普通に話せる様になって来たのは最近の事…
そう思っているのは自分だけかも知れないが
元の様に、意識せずになんでも話せる関係は本当にありがたい
「おはようございま〜す」
「よろしくお願いします」
スタジオに入り、衣装に着替えて撮影が始まった
「ん〜深澤君、もう少し岩本君の方に頭傾けられる?あ〜そうそう!もっと近づいて〜良いね〜!」
和気藹々と進められていき、雰囲気の良いこの現場
今回のテーマは【いわふか夫婦】らしく、寄り添う様なカットが多い
世間で言われでいる自分達のイメージ…
ただのイメージなのは、本人達が1番分かっているので
否定もせずに、仕事と割り切り笑い合う
「………」
こんな事で、現在の恋人である渡辺も何か言ってくるはずもなく…
そんな事を言われたら、岩本自身は向井や目黒、それに宮舘にだって嫉妬しなければならなくなってくる…
『これは、強敵だな…』
そんな事を考えながら、撮影をしていると
「?」
隣から、深澤の視線を感じて顔を向けるが
「………」
一瞬、目が合ったかと思ったら…逸らされる
『もしかして俺、今…変な顔してたのか?』
渡辺の事を考えて、表情が崩れてしまっていたのかも知れない…
1人でこっそりと反省しつつ【今は撮影に集中だ!】と、思い直して
岩本は、この後の撮影に真面目に取り組んだ
「チェック入りま〜す!」
そんな事をしていると…あっという間に休憩に入り
「小腹が減ったな…」
ケータリングに好物のチョコでも置いて無いだろうかと
物色して漁っていると…
「あ…グミがある」
渡辺の好物であるグミを見つけた
『これ、持ってったら翔太喜ぶかな…?』
お土産にする為に、個包装されているグミの中から好きそうな味を探し出す
『苺…オレンジ…桃もある…あっ、これ酸っぱいやつだ…』
それに夢中になっていると
「照、ちょっと良い?」
深澤が声を掛けて来た
「あっ、良いよ。何?」
グミを見比べ悩みながら、そう答える
「あのさ…照って、今付き合ってる人居るの?」
「付き合ってる人?……ん〜居ないよ?」
一瞬考えたものの…渡辺から
【恥ずかしいから付き合っている事は、皆んなには秘密にして欲しい…】
そう言われていた事を思い出し、サラリとそう答えた
「そうなんだ…」
「ん?何で?」
「あぁ〜いやちょっとね…お菓子選んでる時にごめん、答えてくれてありがとう…それじゃ、俺も飲み物買って来るから」
そう言って去って行く深澤の頬は、ほんのり朱色に染まっている
しかし岩本は、全くそれに気が付いていなかった…