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壊れた君を救うまで 15
「いやあああ! おねがいだから誰も洗わないでぇええ!!」
ジャンケンを始めた5人の隙をつき、すちはリビングから脱兎のごとく飛び出した。
向かったのは、自分の部屋――そう、お隣のあの孤独な部屋だ。
両手が包帯で上手く使えないけれど、必死に体当たりするようにしてドアノブを回し、部屋の中に滑り込む。ガチャン!と、鍵を執念で閉めた。
「はぁ、はぁ、……っ、これでもう、誰も入ってこれない……!」
壁に背中を預けて、すちは真っ赤になった顔を両手で覆った。
男の人が怖いのもあるけれど、それ以上にあの5人の愛の距離感が近すぎて、恥ずかしさで心臓が爆発しそうだったのだ。
しかし、すちが安心できたのは、わずか10秒間だけだった。
ドンドンドンドンドンドン!!!
「すち!!! 開けろ!!! お前何考えてんだよ!!!」
なつの怒号がドアを震わせる。
「すちくん! 1人はダメ、お願いだから開けてぇえ!! また何かしたらどうするの!?」
こさめの泣きそうな声が響く。
5人からすれば、すちが「自傷の血の匂いが残る部屋」に引きこもったことは、最悪のフラッシュバックでしかなかった。
「すち、お願いだからドアを開けて。お風呂はもう無理に入らせないから、ね?」
らんらんが必死に声をかけるが、すちは意地になってドアに寄りかかる。
「やだ! もうおれ、ここにいる! ありがとうございました、もう来ないでください……っ!」
「……ちっ、開かねぇなら仕方ねぇな」
いるまの低い声がした。
「おい、なつ、みこと。ベランダ回るぞ」
「おぅ、行くか」
「そうやね。鍵かかってても、ベランダの窓ならさっき俺らが壊しかけた(?)し、すぐ入れるわ」
「え……っ!?」
すちが息を呑んだ瞬間、隣のベランダからガサガサと不穏な物音が響く。
そして、ガララッ!!と、派手な音を立ててベランダの窓が開け放たれた。
「すーちくん。みーつけた」
みことが、底冷えするような、でも最高に楽しそうな笑顔でカーテンをバッと開ける。その後ろには、いるま、 なつ、そしてこさめが鬼の形相(だけど心配でたまらない顔)で立っていた。
「ひ、あ、ベランダから……っ!?」
「当たり前だろ! お前を1人にするわけねぇだろ!!」
いるまがすちの細い身体をひょいっと抱き上げ、そのまま肩に担ぎ上げた。
玄関の鍵を開けると、廊下で待っていたらんらんが、ホッとした顔ですちの額に手を当てる。
「よかった、無事だね。……すち、もうあの部屋は解約ね。荷物も全部俺たちの部屋に移すから」
「えええええ!? か、解約っ!?」
「あったりまえじゃん! すちくんは、もう一生僕たちの部屋から出さないよ!」
こさめがすちの足をぎゅっと抱きしめる。
自分の部屋に引きこもったはずが、わずか数分でシェアハウスのリビングへと強制送還されたすち。
5人の男たちの「絶対に逃がさない」という特大の過保護と執着に囲まれて、すちは「おれ、一生ここから出られないのかな……」と、赤面しながらも、心のどこかでじんわりと温かい安心感に包まれるのだった。
次回♥️440💬1
コメント
3件
うわっ、まさかベランダ経由で侵入されるとは思わなかった……! 「お前何考えてんだよ!!」ってなつのセリフ、怒ってるけどめっちゃ心配してるのが伝わってきてじーんときた。すちが「ありがとうございました、もう来ないでください」って言うところ、切なすぎるし、でも5人の「絶対に1人にしない」って執着が重いけど温かくて。過保護すぎて笑っちゃうけど、こういう家族みたいな関係いいなあ。