テラーノベル
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第21話
「先生っ?!」
私は、急いで脈と息を確認したけど……大丈夫だった。
周りはかなりザワついて、どうしたらいいのか分からなかった。
寝たきりの前前世は勿論、前世だって、あまり人と関わってこなかったからコミュニケーションの取り方がイマイチ分かってない。
どうしよう。
誰か、助けてっ……
「……魔力の急激な減少による、一時的な全身麻痺だ」
隣で冷静にそう言ったのは……ミヒャエルさんだった。
凄い……私には到底分からないや……
「……ハンナ。俺のあの時の考えは浅はかだった。すまない」
ミヒャエルさんは、拳を強く握っている。
「いえ。私の不注意から起こったんです。気にしないで下さい」
私はミヒャエルさんに向かって無理矢理、笑顔を作った。
……我儘な痩せ我慢だな。
少し、苦しい。
あ、物理的にね。
朝ご飯が、入ってるお腹が苦しい。
吐きそうでは無いけど……なんとも言えない、微妙な吐き気。
でも、大丈夫と言うように笑顔は続ける。
「……そうか。黒猫。運ぶの手伝ってくれ」
「分かった」
ミヒャエルさんは私の事を説得するのを辞めて、いつの間にか後ろで待機していた黒猫に向かって言った。
……って、いつの間にっ!
え? いつからいた?
私は、そこに立ち尽くすしか出来ることが無かった。
勝手にいなくなって、迷惑かけて、また誰かを傷つけて……
「ハンナも、休まないと……」
マリアが私の側で背中を揺すってくれている。
この反応から……きっと、顔色は良くないだろう。
でも、甘ったれながら生きるような私じゃない。昨日、十分に休んだし。
「大丈夫。私が倒れたら、何も守れないし……迷惑かけるだけだよ」
「倒れなくても、休んで」
マリアはそう言って私の事を抱き上げて、黒猫たちが通った扉に向かって歩いた。
私は、逃げ出す理由が無かったから逃げな……いや、この体の限界がもう少しでくるって分かってるからだろう。
やっぱり、苦しい。苦しいよ……
心の中だけでそう叫んでいる。
私は、ギュッと拳を握りしめた。
✵
私はハンナを抱き抱えて、医務室に入った。
黒猫とミヒャエルが、ハラルド先生の事を寝かせて、医務室担当の先生――エミー先生が薬を調合している。
……この前のハンナも、お世話になってるけど……あまり特徴的な所が無い。
大々的に動く人では無いし、無口っていう私の中での印象だ。
髪も茶色く落ち着いたトーンで、瞳はエメラルドグリーン。とても綺麗で、透き通っている。
「ん? ハンナも来たのか」
黒猫が意外そうな顔で言うとハンナは無言で頷いた。
私が抱き抱えててから、顔色がもっと悪くなって、目も辛そうになった。
……私は、風魔法しか使えないから、運んで来るまでの間、何もできなかった。
「顔色が悪いな。昨日だけじゃなくて、今日もちゃんと休んでれば良かったのに……」
ミヒャエルがそう言ってため息を吐いた。
まぁね……
それと……両手を出していた。
……ハンナを抱っこするって事、かな?
私は、ミヒャエルにハンナの体を預けたら……ビックリしたのか、目を見開いた。
「軽いっ……」
「え?」
私の呆けた声が、迷子になっている。
軽い……? 誰と比べてるの?
「……黒猫。ちゃんと食べさせているのか?」
「まぁ、今日の朝食は少し食べてたけど……それまでは食欲が無いの一点張りでな……魔法で、最低限の栄養は補えているはずなんだ」
黒猫は、俯きながら言った。確かに、魔力はいつもの半分以下しか無い。
例え、食べられても、それだけじゃ足りないから。そういう事だろう。
「その子を診せてくれない?」
エミー先生が急に口を開いた。
え? エミー先生の声……美声。
容姿もオトナ可愛くて、声まで落ち着きのある美声。初めて聞いた。
「はい」
ミヒャエルは、ハンナをベットに横にした。
苦しそうに目を開けて、魔法を使ってない。
ハンナは今まで……ずっと魔法で誤魔化していたのかもしれない。
「……そこの、ミヒャエルさん。ハラルド先生にこれを。使い魔さんは、この子の近くにいてあげて。貴女は……こっちに」
「え……?」「はい」「分かった」
私は、戸惑いながらも、エミー先生の背中をついて行った。
カーテンで仕切られた向こう側には……薬と、本がびっしり棚にしまってあって、真ん中には作業机みたいなのがある。
……そう言えば、エミー先生って背が高い。黒猫と全然違う。
まぁ、そう言われている黒猫は、背が低いけど……
カーテンの向こう側で、くしゃみが聞こえた。多分、黒猫。
アハハ……噂シテルノ誰ダロウネ………
コメント
1件
第21話読んだよ〜!!😭💕 ハンナ倒れちゃってめっちゃ心配になった…でもミヒャエルさんが「浅はかだった」って謝ったシーン、グッときた!!みんなハンナのこと想ってるんだなって伝わってきて切なかったよ…。エミー先生の美声にマリアが反応してるところとか、黒猫の噂話でくしゃみ出ちゃうところとか、シリアスの中にちょっと笑える要素あって緩急が良きでした✨ 続き気になる…!!
75
鴨之助
114
わ
101
NGS_ヘビーなしっぽ
381