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謳華の練習に付き合って分かったことがある。
「(アイツの腹筋めっちゃ綺麗…。違う違う違う!!)」
それもあるが、持久力が伸びた。2人の練習は予想以上の効果をもたらし今日の授業は終了。放課後はヨガをメインに身体を整える。
「次のお稽古で完璧に歌えたら、皆に披露していいお許しが出るんだ。」
「聞くのが楽しみだ。謳華がどんな風に歌うか。」
2人仰向けで空を眺める。
「(爆豪君といると、)落ち着くなぁ。」
振り向くと目が合って。
「なんで反らした。」
「イケメンに見つめられたら照れるでしょ!!」
「へぇ…??」
「ちょっ、後ろにいるでしょ!!気配で分かるからね!!(吐息かかってるから!!心臓もたないから!!)」
「はいはい。とりあえず今日はここまでか。」
謳華の手を取る。
「(爆豪君、好きな人いたりするのかな。)」
謳華も自分の気持ちに気付き始めた。
そして運命のお稽古の日。
「頑張って!!北条さん!!」
「なんかうちまで緊張してきちゃった!!」
「成功祈ってるぜ!!」
寮を出る間際、各々から応援の言葉をもらう。爆豪も遠巻きに握り拳を掲げた。
「行ってきます!!」
謳華は快晴の外へ飛び出した。
「おめでとうアリア、合格だ!!」
「よっしゃ!!ありがとう先生!!」
ハグするまでは良かった。
「せんせ…!?」
唇が重なり、謳華の意識は遠のいた。
「ドイツ大変なことになってるね。」
「ドラゴンってほんとにいたんだな。」
その頃皆は、速報で入ってきたドイツで歴史ある音楽堂が崩落したというネットニュースに釘付け。でも爆豪は違った。
「(そろそろアイツ帰ってくる頃だろ。練習押してんのか…??)」
と思っていたら。
「EEZに未確認物体!?」
「テレビに変えよ!!」
切島の言葉に芦戸が急いでテレビをつけると、ドイツのと同じようなドラゴンが映った。
「うそ、本土に上陸って予想じゃん!!」
「ドイツのも進路予想本土だよ!!」
「どうなってんだ!?」
耳郎、上鳴もスマホやテレビを見る。情報が錯綜するなか、相澤先生が血相を変えてやってきて。
「おい、北条いるか!?」
「そういえばまだ戻ってきてませんわ。」
「また速報だってよ!!」
峰田の言葉に映像を見た爆豪は唖然とした。
帆船の甲板に謳華とペーターがいるのだ。
「やっぱり、アイツそうだったのか!!」
「先生どういうこと??」
「ペーターはオペラ講師でありドイツの秘密結社の一員だ。」
一同ざわめき憶測が飛び交う。
「なんでアイツを拐った??アイツも秘密結社の1人なんか。」
爆豪もすかさず口を開く。
「北条は違う。…あのドラゴンとやらに関係があるのか??」
相澤先生も思わず考えこむ。
「ドイツのドラゴンが…!!」
そう言った緑谷の横に並んで画面を睨む。
手始めに大地を焦土にせよ!!
とペーターは叫び、謳華に向き合ってキスをした。その映像に皆は息を呑む。
「2匹のドラゴンが!!」
緑谷の声が聞こえないほど、爆豪は憎悪で我を失いそうになる。ドラゴンは空で交わり、踊り子に姿を変えた。
「アイツの個性で…!!」
2人が歌い出し、踊り子がイージス艦などを双剣で凪払いながら侵攻を始めたところで映像が途切れたことに、爆豪の怒りはさらにこみ上げる。
「先生!!北条さんを助けに行きましょう!!」
緑谷を筆頭に、相澤先生に詰め寄る麗日達。
「落ち着け!!海上ではこちらが圧倒的不利だ。アイツらは必ず絶対防衛線を破ってくる。上陸手前の最終防衛線で迎え撃つ。必ずウチも召集がかかるはずだ。だからその前に。」
全員が頭に疑問符を浮かべる。
「アイツらのことを調べよう。」
全員一致の賛成で、間もなく夜になろうとする外へ駆け出した。