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そして、その日の朝から私達はバタバタしていた。野菜や卵を専用の魔法冷蔵バッグに詰め、魔法簡易キッチンを折りたたみ、ゼルゼディス様が背負った。
そう、卵焼き販売の開始の日だ。
ここは辺境の領地だが、ここから馬車で1時間行った所に隣街があり、結構賑わっているのだ。
そこに出稼ぎに行くというスタンスだ。
馬車に荷物を積み込み出発して1時間後。
隣街ネザレイヤに到着した。
「しかし、どこで卵焼き屋をするんですか?
ヘタな街路でしたら、通報されそうですし…」
「ネザレイヤにはバザー会場がありますわ!
もちろん、場所代に1000ルナ要りますけど、もっと儲かれば良い話ですわよ!
ゼルゼディス様!」
私は気合いの入った顔で言う。
「は、はい…!」
ゼルゼディス様が背筋を伸ばして答える。
「良いですか?
商売というものは、やる気と根性が必要ですの。
情けない声なんて出してたらお客様が逃げちゃいますわ!
腹から声を出すのですよ!?」
私は厳しく指導する。
「わ、わ、分かりました…!
鬼先生…!」
誰が鬼先生よ、誰が…
しかし、ツッコむのも面倒くさいので、私はバザー会場の受付に向かった。
「はい、1日1000ルナでお貸ししております。
前金になりますが、よろしいですか?」
受付のお姉さんが言う。
「えぇ、問題ないですわ。」
私は残りの貯金から1000ルナ支払った。
これで私の貯金はほぼゼロだった。
「さぁ、やりますわよ!」
私は気合いを入れて言う。
魔法簡易キッチンを組み立て、普通の卵焼きとにんじん入り卵焼きを焼いていく。
「ほら、ゼルゼディス様、売り込みやって下さい。」
「えーと…
へぃ…らっしゃいらっしゃい…
美味しい卵焼きは…」
メモを見ながら呟くゼルゼディス様。
ダメだわこりゃ…
私はゼルゼディス様に卵焼きを任せて店頭に立つ。
「へい!
らっしゃいらっしゃい!
美味しい卵焼きはいかがですか!?
甘くてしょっぱい、美味しい卵料理だよー!!!」
少しだけ人が集まってきて、私に卵焼きとは何か?と聞いている。
私は素早く試食用の細切れの卵焼きを差し出した。
「まぁ、美味しい!」
「はぁ~…綺麗な黄色やなぁ~」
「こっちにも一個頂戴!」
「じゃがいも入りが良いで!」
そして、卵焼きは徐々に火がつき、最後は飛ぶように売れて行った。
“売り切れ”と大きく書いて店に貼ると、ゼルゼディス様と売り上げ金の計算をし始めた。
売り上げ、な、な、なんと!
1万8000ルナである…!
「エ、エ、エシャロット…!
お、お、お金が…!」
ゼルゼディス様はどうも大金に驚き過ぎているようだ。