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芙月みひろ
92
#王子
「ちょっ、白石さん!? 入ってこなくていいから!」
「ダメです♡陽一さんの体温が安定するまで、私が密着してあっためてあげますね」
白石さんは僕の方を見て、ふっと微笑むと、巻いていたバスタオルを床に落とした。
(な、……っ……!?)
視界に飛び込んできたのは、あまりにも暴力的で、鮮烈な「赤」だった。白石さんの白い肌の上で、極限まで布面積を削ぎ落とされた「それ」は、もはや水着と呼ぶには危うすぎる。
細い紐一本で繋がれた赤色の布地は、彼女の柔らかな曲線を強調するための「境界線」に過ぎなかった。胸は、上からも下からも零れんばかりにその存在感を主張している。腰で結ばれた頼りない紐を指先で弾けば、一瞬ですべてが「公開設定」になってしまいそうだった。というか、このデザイン、どこかで……。
「あ、思い出しました? 陽一さんが持ってた、『幼馴染に大胆な水着姿で迫られて』っていうタイトルのAVと同じもの買ってみたんです♡ どうですか? 似合いますか?」
「……(絶句)」
「ひどーい。私、陽一さんのために勇気を出して、こんなに恥ずかしい恰好してるのに……」
「あ、いや、……うん。……似合ってるよ」
(さ、再現度が物理的に高すぎて処理が追いつかない……)
僕が絞り出すように答えると、彼女は満足げに目を細め、ゆっくりと湯船に足を踏み入れた。
「ちゃぷん」
浴室に響く微かな水音。お湯に浸かった瞬間、あの赤のマイクロビキニは、肌にぴたりと吸い付き、艶めかしい質感へと変貌を遂げた。彼女は僕の背後に回ると、一切の躊躇なく、その柔らかな身体を押し当ててきた。
「……っ!」
背中に伝わる、信じられないほど「むにゅり」とした密着感。お湯の熱さとは違う、彼女自身の熱を帯びた体温。そして、ビキニの薄い布が、じっとりと濡れて僕の背中に吸い付く感触が、剥き出しの肌を通して脳に直接突き刺さる。
逃げようにも、彼女の腕に囲まれている。耳元に触れる吐息は甘く、ねっとりとした湿り気を帯びて、僕の理性を外側からゆっくりと溶かしていく。
「あったまるまで、お風呂から出ちゃダメですよ♡ 身体の芯まで、じっくりあっためてあげますね……♡」
囁きとともに、彼女の指先が僕の鎖骨をなぞる。心臓の鼓動が、お湯の温度のせいか、それとも背中に押し当てられた「柔らかい熱」のせいか、自分でも制御できないほどに加速していった。
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