そんなことを考えてると携帯が鳴った。
メールの着信。
朋也さんからだ。
忙しい合間に…
メールくれたんだね。
『恭香、今度の日曜日…一緒に出かけないか?』
嬉しい…
だけど、私と会う時間なんてあるのかな?
今の朋也さんの状況、よくわかってるつもりだから…
あんな事件があって、社長は急に心配になって朋也さんをすぐ側に置くようになった。
社長だけじゃなく朋也さんだって…積極的に社長の近くで経営を学ぼうとしているような気がする。
大きな心境の変化があったんだろうな。
あの事件がいろいろ変えたんだ。
私も、そうだしね…
でも、この誘いはやっぱり受けたい。
大事な時だってわかってるけど、それでも。
『嬉しい、ありがとう。日曜日、大丈夫だよ』
そう返信したら、朋也さんからすぐに返事が帰ってきた。
『良かった。11時、そっちに車で迎えにいく』
日曜日は、私の誕生日。
でも、何も期待はしないでおこう…
ただ、朋也さんに会えるのが…すごく嬉しい。
日曜日の朝、私は早く起きて出かける用意をした。
部屋は、綺麗に片付いてる。
忘れ物もない…
大丈夫。
私は、部屋を出てマンションの下に降りた。
11時前。
『おはよう、乗って』
朋也さんが来てくれた。
優しい声、久しぶりに聞いたような気がする。
ドアを開けてくれて、私は助手席に座らせてもらった。
名前はよく知らないけど、すごくカッコよくて中が広い車、乗り心地は最高だな。
『久しぶりだね』
『すまない。忙しくしていて』
『ううん…全然大丈夫。退院してから、お仕事の内容、急に変わったもんね。体は大丈夫?』
『ありがとう。大丈夫だ。すっかり良くなって前よりも元気なくらいだ』
良かった…
目の前に元気な朋也さんがいる。
それだけで充分だよ。
『良かった、嬉しい。今日は誘ってくれて本当にありがとう…びっくりしたよ』
『ずっと、ちゃんと話せてなかったし、メールも返事出来なくて中途半端になるのが嫌だったから、あまり送れなかった…』
『うん。毎日夜中までお仕事だったんでしょ…そんなのメールする暇ないよ。それでも、たまにくれたメールがすごく嬉しかったよ。文章がお父さんみたいだったけど』
『ひどいな、本気で心配してたのに』
朋也さんとの何気ない会話が本当に嬉しくて、幸せな時間だった。
『心配してくれてたんだね、ありがとう』
『当たり前だ。忙しくしていても、いつも…恭香が心の中にいてくれたから、俺は頑張れたんだ。そうじゃなければ、とっくに折れてた』
そんな…
でも、そんな風に言ってもらえて感激だよ…
本当に…大変な世界だよね。
大会社の跡取りになるんだもんね…
簡単にはいかないよね。
想像も出来ないくらい…ものすごい重圧なんだろうな…
『それなら私、ちょっとは役に立てたんだね。良かった』
『ああ、俺を支えてくれた。でも、逆に俺は恭香を支えてやれなかったな』
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