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『 じゃあ、御札の事を聞こうか。 』
やっと本題に入った。
『 この御札は何の為? 』
「 … 後々アッキーナを祓うために必要だから… 後は純粋に護身用として。 」
『 護身用?? 』
と、首を傾げる黛さん。
「 護身用で渡しているのは何故か知らないけど又猫に黛さん達が狙われてるから… 」
『 俺らも狙われてるん!? 』
と吃驚して身を前に飛び出すふわっち。
「 とりあえず…僕らが知ってること、伝えたいことはこれが全てかな、 」
「 なんか質問ありますか? 」
ふわっちは黛さんに視線を向ける。
『 ん〜や、俺は無いかな、まゆは? 』
『 俺も今の所は無いかな。 』
二人顔を見合わせ、そう言い合ってからこちらに視線を向けた。もう大丈夫そうだな、とこちらも思い、ソファから立ち上がる。
「 …あ、それ満月になる夜の早朝に取りに行くので大切に保管しといてくださいね?それでは、僕らはこれで 」
『 んぁ、もう帰ってまうん? 』
「 僕らはちょっとそんな暇じゃないんでね。
そっかぁ、と残念そうに眉を下げた。
黛さんとふわっちは、去ろうとする僕らに向かって手を振ってくれた。そうやって見送られながら 僕らはふわっちの家を後にした。
_______
『 なぁ〜、けんもちぃ〜 』
「 ん? 」
『猫又ってやつさぁ、なんでわざわざあてぃしらに正体をバラしたんやろな。 』
「 …さぁ、?…確かに、 不思議だな… 」
ただただ三枝達の身体を乗っ取りたかったら、お邪魔になるであろう僕らにわざわざ電話を寄越すだろうか?
僕が猫又なら絶対そういう事はしないだろう。
『 …ま、全部解決したら分かりそうやしぃ、今はアッキーナに憑いてる猫又をぶっ飛ばすのに集中せななw 』
何真剣に考えてんだろ、とボヤっと呟きながらそう笑った。
そんな弱音を吐く、なんて事は滅多に無い為、珍しいと思いながらも、視線を前に戻した。
「 …あ、ねぇ。ファミレスあるし寄ってかない? 」
と、交差点で信号待ちをしていた所、渡った先のファミレスが偶然目に入ったからそう提案をしてみた。
『 なんや剣持、お腹空いてるんかぁ ? 』
「 まぁ…ちょうどお昼時だし。 」
ぐぅ、と鳴るお腹。
まぁ丁度良いだろう、気分転換、休憩がてら行くというのも。
『 もうそんな時間かぁ、そう言われたらあてぃしもお腹すいてきたな、行くかぁ…!! 』
ファミレス!!
ファミレスにて____
店内に入ると、僕らは外側の席に案内された。交差点が見える所だ。
テーブルの上に綺麗に揃えて置いてあったメニュー表を開く。
「 どうしよっかな、 」
ページを捲りながら、何を食べようかとメニュー表を眺めた。
『 あ、剣持、プリンあんでプリンw 』
「 一旦黙れ 」
『 釣れないなぁ〜w 』
そう軽くあしらいながらまたメニューへと視線を戻す。何を頼もうか迷ったが、目に付いたステーキセットといちごパフェを頼む事にした。
「 椎名、決まった? 」
『 おん、決まったでぇ〜 』
「 んじゃ頼むか、 」
呼び出しベルを押し、店員が来るまで外を見て待つ事にした。
いつ見ても慣れない程都会のビル群はデカくて圧がある。ビルの後ろには積乱雲。 そして積乱雲の後ろには地上を燦々と照らしている太陽が顔を見せていた。
「 …すっかり夏だな … 」
と、呟けば、やがては店内の賑やかな音に紛れて消えた。
外を眺めていると、僕の目に”ヤツ”の姿が映る。
目を疑った。目を擦り、もう一度目をやった。変わらない、三枝明那だ。
此方を見ている。じっと。
彼に見られている間は時が止まっている様だった。三枝くんの元の瞳とは反対色の、赤く光っているその目が僕の視界で妙なくらい、鮮明に映った。
かなり距離が離れている筈なのに。
やがて、信号が赤から青に変われば、人混みに紛れ、彼は姿を消した。
『 _ お待たせしました、御注文をお伺いします。 』
『 えっとぉ…この和風ソースのハンバーグセットと、バニラアイスをお願いしまぁす 』
「 … あっ、… ステーキセットと、いちごパフェで、 」
『 はい、… 御注文を繰り返します、 和風ソースのハンバーグセットと ___ 』
…何だったんだろうか。
椎名は気付いて無さそうだし…なんだったのだろうか。
僕が見た幻なのだろうか、はたまた本物、なのだろうか。