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俺が初めてアラバスタおに来てから3年経った。それはつまり、俺がバロックワークス社員としての終わりを告げた日でもある。結局、俺の顔はクロコダイルとロビン以外にはバレることはなかった。
俺は当初約束していた通り、ローグタウンへと送ってもらうことに。とはいえ、クロコダイル直々に俺をローグタウンに送るわけではない。バロックワークスのミリオンズに適当な船を出してもらうことになっている。
3年間、俺は結構真面目に働いていた。特に一緒にいたミス・オールサンデー、そしてクロコダイルには別れの言葉を告げることにした。
「ミス・オールサンデー」
「エメリヒ」
「今日でここを去るので、挨拶をしておきたくて」
俺がそう言うと、彼女は目を丸くして俺を見た。
「……早いものね。もっと居てくれるものだと思っていたわ」
「そういう約束だったので。俺はこの世界を見たい。だからいつまでもここにいるわけにはいかないんです」
俺がそう答えると、ロビンは微笑んだ。
「ミス……――いや、ロビンさん」
「!」
「あなたのことは尊敬しています。どうかここが終わりだと思わないで。花がどこにでも咲き誇るように、きっとあなたにも安心して咲ける家が見つかるはず」
「…………そう、ね。あなたの旅路に幸多きことを祈っているわ」
ロビンが俺をふわりと抱きしめる。俺はその背中に腕を回した。そしてぎゅっと力を込める。
「さようなら」
俺は次にクロコダイルのところへと向かった。
「本当に辞めるんだな」
「そういう約束でしょう? でも少しびっくりしました。本当に辞めることを許してくれるんですね。なんだかんだ言って繋ぎ止められるかと思ってました」
「クハハハ、随分とおれのことを甘く見ているな」
クロコダイルが俺に視線を向ける。その瞳には俺に対する怒りなどはなかった。彼の右腕がいつもの様に俺の頬を撫でる。
「しつこい男は嫌われるだろう?」
「……そうですね」
俺は苦笑しながら答える。
するとクロコダイルが俺の狐の面を外した。
「あ、まっ……」
制止の声も間に合わず、クロコダイルは俺の顔をまじまじと見つめてから、フッと笑い、俺の額にキスを落とした。俺が呆然としていると、クロコダイルはもう一度笑った。
俺もやられっぱなしでは終われないので、クロコダイルの手を取り、指先にちゅっ、と唇を押し当てた。かなり恥ずかしかったが、俺の行動に驚いた様に一瞬目を丸くするクロコダイルが見れたのでよしとする。
「さようなら、サー・クロコダイル」
「…あぁ。ジェイデン」
こうして俺はバロックワークスを辞め、アラバスタ王国を出た。