夢とひと匙の刺激を
「で,ここはどこなんだ?しかもなんだこのチョッキは」
「黙って従いなさい」
「!このやろう…毎日毎日,何なんだ!私に情報を吐かせるなぞ_」
「ええ,私の前々から言っていたことが『事実』になっても貴方はきっと吐いてくれない,
だから…」
「グイ」
「おい何をする気だ?」
「!第三様,ご無事で何よりです!ところでなぜそやつと_」
「ドシュ」
「な…」
「え…」
「ドサッ」
「ほら,彼,この事実があるのよ
良かったじゃない,自分の目で確認できて」
「第三様⁉︎第三様!おのれこやつ!蜂の巣にしてやる!」
「無駄よ!彼はもう国として存在できない!
良い加減目を覚まして…サルデーニャ」
「黙れ!おのれこやつ!グラディエーター!」
「ふっ!」
「避けるな卑怯者!」
「貴方はイタリアの代表,
そしてサルデーニャでありイタリア王国でありイタリア共和国なのよ!」
「!うっ…」
何なんだ,今の感じ
「そんな,そんなわけない!だって,確かに生まれた時からサロだって…あれ…」
私は,生まれた時の記憶がない
しかも育てられた記憶も,周りの「ヒト」が持っていた感性も
全て覚えがない
なのに,「育てられた」「感性を持っていた」ように振る舞っている
じゃあ,本当に…
「そんな…そんなわけない!」
でも,第三様は私にそんなことを教えてくれたことがない
じゃあ,この違和感は…
「嘘だ!そんなの…そんなの嘘だ!」
「っ…」
目の前にいる彼女は,誰?
あっけなく散った第三様はもうすでに手遅れ?
それどころか,覚えていることは…
嘘だ
認めたくない
「…じゃあ,また」
そう言っていつも通り彼女は去っていった
「咄嗟の演技には感謝するわ」
「そうか 」
「お陰で戻りかけてくれたし」
「…いまいちお前が理解できないな」
「どうして?」
「そこまで執着するなら,なぜ自分だけで物事を進めようとしない?」
「相手のためになるならどんな犠牲を払ってもいいから」
「…分からないな」
夢を見た
(サルデーニャ!)
(シチリア!)
(良かった,やっと…)
(イオ)
「ハァッ⁉︎」
あれは何だったんだ
意味がわからない
「何だ,この本の山は」
「歴史書よ,一回それ読んで色々思い出してみなさい」
「はぁ…」
何なんだ,こいつは
ええと,イタリア半島には多数の国家がひしめき合っていて…
うん?
「赤シャツ千人隊…」
何か聞き覚えがある
それ以前に,この本たちにも見覚えが…
何だ?思い出せない
ただ,今は私自身の記憶が欠けているのかもしれないと思って探そう
その方が,絶対にいい気がする
イオに戻るのは…
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