テラーノベル
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次の日の放課後、廊下を歩いていると、
涼ちゃんが手を振りながら近づいてきた。
涼架『久しぶり、元貴、ちょっといい?』
確かに、涼ちゃんと話すのは久しぶりだ。
涼ちゃんはいつも通り笑顔だけど、
どこか企みごとのありそうな、
ニヤニヤした顔をしていた。
その手には、小さな包み紙。
ハートマークとリボンがついた、
明らかに“特別”なチョコレートだ。
涼架『これ、昨日作ったやつ
よかったら食べてみて?』
元貴『え、僕に?ありがとう…
でも…そんな顔して、
なんか変なもん入れたりしてないよね…?』
涼架『さぁ?どうだろうね?』
涼ちゃんはますます口元を歪めて、
何かを期待するような目で
じっとこっちを見つめてくる。
涼架『ま、ちょっと甘さが強いかも
しれないけど、元貴にはぴったりかもよ?』
なんだよそれ…
どきどきしながら受け取ると、涼ちゃんは
悪戯っぽく笑って去っていった。
家に帰り、自室にこもると、
包みを机にそっと置いた。
パッケージを開けると、
甘い香りがふわっと広がる。
まあ、せっかくだし…
一欠片口に入れた瞬間、
舌の上にとろけるような濃厚な甘さが広がる。
と、同時に――
……?
じんわりと、体が熱くなる。
胸の奥、なぜか深いところが、
小さく痺れるような、
普段のお菓子じゃ感じない感覚。
気のせいか、呼吸が弾んで、
頬も妙に火照ってくる。
なんだこれ……ただのチョコレートなのに、、
もう一口食べてみる。
喉の奥が熱くなって、痺れるような快感が
背筋をゆっくりと駆け上がっていく。
なんでもないはずの自分の手のひらさえ、
じっとり熱を帯びて、
敏感になっていく気がする。
え、これ…なんで、
こんなに変な気分になってるんだよ…
心臓の鼓動が早まる。
さっきまで無意識だった体の感覚が、
やけに強調され、
何もしていないのに、体が震えるような、
不思議な、でもどこか気持ちよい
“高揚”に包まれてしまった。
まさか、涼ちゃん…
涼ちゃんのあのニヤニヤ顔が頭をかすめる。
―そのとき、ドアの向こうから妹・綾華の声。
綾華『お兄ちゃーん、ご飯…
え、なに顔真っ赤にしてんの?!』
慌てて振り向くと、綾華がじとっと
疑いの目でこちらを見る。
元貴『ちょ、何もしてないから!
普通にお菓子食べてただけ…!』
でも、体は火照りっぱなし。汗もじんわり。
視線を向けられると、
さらに変な気分が広がっていく。
綾華『なんか、
変なことしてんじゃないでしょうねー?
まさかまたシコってたとか?』
綾華にしつこく覗き込まれつつ、
俺は机の上のチョコレートを
急いで隠すしかなかった。
涼ちゃん、絶対なんか入れただろ…!
そんな疑惑と体の奇妙な感覚に振り回されて、
この夜、しばらく自分自身に
どうしようもない戸惑いが残ったのだった。
コメント
4件
ちょっと今回は、可愛いと涼ちゃんナイス!!!!としか言えないですね!!!!
涼ちゃんナイス(๑•̀ㅂ•́)و✧ 若井くんの前で食べてたらどうなったんだろう( ≖ᴗ≖)次回も楽しみに待ってます(*^^*)