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現世と隠世の境界線

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現世と隠世の境界線

5 - 第4話 幻覚から抜け出して

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2024年08月01日

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人里。ごくたまに迷い込んでくる人間たちが住む場所。妖怪の山からは、とても遠い場所にある。

「どうする?逃げる?私たちここにいたらまずくない?」

「まあ彩はやばいだろうけど…あ!」

「?」

「瞬間移動魔法!」

「あぁー。わかった」

フッ

彩の瞬間移動魔法で、3人は元いた場所…山の山頂に着いた。

「琴葉ー?里奈ー?鞠ー?誰もいないわね」

そこには、桜が舞っているだけだった。誰もいない。気配もしない。


「ここどこぉー!」

一方、里奈、琴葉、鞠の3人は、幻覚から抜け出し、山のふもとにいた。

「ここから山頂まで行くのは…」

「時間がかかりますねー」

ここから山頂までは、飛べば一瞬だが、歩くとなると、一週間以上かかる。

「瞬間移動魔法、私使えますよー」

「えっ!」

フッ


「琴葉!」

「お兄ちゃん!」

山吹兄妹が再会を果たした。無事、6人揃った。

「よくここまできましたねぇ。それだけは褒めてあげる」

「誰っ!?」

いつのまにか、桜の木に、一人の妖怪が座っていた。

「私は夢星ララ。人里の占い師ですわ。でも…どうして私の幻覚から抜け出せたの?いままで誰一人この魔法を破ったものはいないのに」

「私よ。私、あなたと違って長くを生きているの。これくらい簡単よ」

「…ふん。そうね…あなた…彩?知っているわ。直接会うのは初めてだけれど」

「…」

ララが彩を睨む。反対に、彩はララのことを面白そうに見つめている。

「ちょっと!そっちの喧嘩は後してくんない!?そろそろステージの準備もできたしぃ!」

もう一人、妖怪がいた。彼女はピンク色の髪に、アイドル衣装を身につけている。

「あっ!あんたね!人間のくせにこの苺愛寿さまのマイクを触ったの!」

「え?あなたのだったの?あ…ごめんなさい…」

「里奈!あんなやつに謝ることないって!名前書いときゃよかったじゃん!」

「確かに。あんなところに置いてあるし」

「俺もそう思う」

「私も同感ね」

みんなが里奈の味方になっていた。愛寿は、瞳をうるうるさせ、子供のようにしている。

「どうしてみんな私をいじめるのぉ!もぉ!許さないーっっ!」

愛寿がマイクを握りしめた。

「私の歌を聞きなさいっ!」

「いやまずはステージ作んなきゃ!歌うのはまだガマン!」

「はぁ!?歌さえあればどうでもいいでしょっ!」

「なんですってぇ!」

二人は喧嘩している。

「今のうちに逃げる?」

「そうするか」

「ちょっとちょっと待ってぇー!私と勝負しなさいっ!歌はいいから!あんたたちが勝ったら見逃してあげるわ!」

「でも、6対2はさすがに、ですよね?」

「じゃあ私が適当に選ぶ!そこの人間の子と、チビ!」

「誰がチビよ!」

「ふん!やるわよっ!他の奴らは下がってなさい!」

こうして、なにかが変な戦いが始まった…

「でも私、ほぼなにもできないし…能力借りないと…」

「それは反則でしょ!人間!」

「じゃあ私がまとめて片付けてようかしら?それでもいい?」

「別にいいわよ?また幻覚に閉じ込めてあげるわ!」

「面白いわね。最近の妖怪ったら」

相手は二人の妖怪、一人は幻覚使い…だとしても、生きている時間が違う彩に勝つのは、とても難しい。

さぁ、この勝負、どうなるのか…


〈続く〉

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