テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#風見裕也
#降谷零
#曲パロ
千導 渉
40
背後から貴方の腰に手を回し、口を塞ぐ
「 やっと見つけた♡ 」
『 んむっ…! 』
路地裏の薄暗い空気が、
湿った獣のように肌にまとわりつく夕刻。
人通りはとうに消えていて、
街灯がひとつだけ瀕死の蛍みたいに瞬いている。
そんな場所で、彼女の身体は背後から
ぴったりと密着され、
逃げ道を完全に塞がれている。
彼女の耳たぶに唇を寄せ、くぐもった声で囁く
「 暴れても無駄だよ。
前よりちょっと筋トレしたんだから。 」
口元を塞いでいる手の力を少しだけ強めて、
逃げようとする身体を腹に押し当てるように
引き寄せる。
息が熱い。
彼女の首筋に鼻先を埋めて、
深く、深く吸い込む。
「 はぁ……この匂い。変わってない。
ずっと、ずーっと探してた。
何年もキミの匂い思い出して
毎晩おかしくなりそうだった。 」
腰に回した腕が更にきつく締まり、
肋骨が軋むほどの拘束になる。
「 ねえ、なんで逃げるの?
俺から逃げたいの? 」
『 何で…こんなこと… 』
口元を塞いでいた手をゆっくり離し、
代わりに彼女の顎を掴んで
無理やり振り向かせる。
タレ目が細まり、
青い瞳がぎらついた光を帯びている。
「 何でって……何で? 」
低く笑う。
喉の奥から漏れる、湿った嗤いだ。
「 キミが振ったからでしょ。俺を。
キミから俺を奪ったんだよ?
責任取ってよ。 」
顎を掴む指に力が入る。
頬の肉が歪んで、唇が半開きにされる。
「 ねえ知ってる?
振られてから俺どうなったか。
仕事中もキミのことしか考えられない。
ご飯食べても味しない。
誰と会っても全部キミに見える。 」
空いた手が彼女の髪を一房掴み、
指に絡めて鼻に近づける。
「 壊れたんだよ、キミのせいで。
だから―― 」
路地の奥で猫が一匹、
ゴミ袋を蹴って走り去る音がした。
それ以外、世界から一切の生活音が消えている。
降谷の瞳は潤んで、
けれどその奥に宿る感情は涙とは程遠い、
もっとどろどろとした粘度の高い何かだった。
「 責任、取ってよ。
ここから二人で帰ろ?
俺の…俺たちの家。 」
コメント
2件
うわ、ちょっと心臓がバクバクしてます……! 最初の「やっと見つけた♡」からもう、ものすごい引力というか、逃げ場のなさが文章から滲み出てました。特に「壊れたんだよ、ユーザーのせいで」のセリフ、重くて切なくてゾクッとしました。降谷さんの執着が美しくも怖くて、このあとどうなっちゃうんだろう……続きが気になりすぎます!