主目線。
〈君たちには今から夢小説の住人になって頂きます〉
「殺すぞ」
そのテロップを見た瞬間に、アヲは殺意を爆発させた。
見慣れない学ランを着た彼が、こめかみをぴくぴくさせている。
「なるほど…じゃあ俺は文武両道のなんでもできる夢主枠か」
「性格的に悪人だろ腹黒」
「主人公は譲れないなあ」
相変わらず、鳴宮 暁は冗談めかした口をきく。それにすかさず突っ込むのが、弟の響だ。こいつにとってはもう誰でも毒舌なのだが、兄弟ならではの漫才である。
「じゃあ僕女装枠で…」
遠慮がちに手を挙げるのはメイだ。こいつは女装なんざしなくても見たものの脳をバグらせる特殊能力の持ち主だということを本人は分かっていないようだ。
…いや、分かっていないふりか?
「女装って基本的に見る側の得なくね?”夢”小説だし」
「そういうのが好きな人もいるんだよねそれが。少数派だけど」
〈はよ行け^^ニコ〉
「準備ぐらいさせろよ」
「待ってお前…夢小説仕様になってんじゃん。」
「ニコ…?」
「あれ、てかほかの4人は?」
〈キャパオーバーです☆〉
「なんで僕なんだよおい」
「まあまあ落ち着いて。あと文面だと僕ら似てるから、あんまり喋らないで」
「…は?」
そうこうしている内に、ドアが一つ出現していることに気づいた。
〈ここで準備してネ♡〉と書かれた(気持ち悪い)ドアを開けると、制服やら小物やらで溢れかえった小部屋があるのだ。
ここで小説に見合う奴になれと言いたい私の気持ち、読み取ってくれたのだろうか。
「いえい」
「…ったく、なんで…」
「まあまあ。似合ってるよ?」
「ま、俺はいつも通り…」
このままイラストに映り込んでも良いくらいの見た目になったところで、ドアを三つ出現させる。
それぞれ赤、青、黄のドアで、どの世界が出るかはお楽しみの異次元ドアである。
ネタバレはしないでおこうか。みんなネタバレ得意か分からないし。
「ここから選べ、と?」
「やだ」
「え、でも三つしかない」
「じゃ、俺と鳴組もう」
「あっちでも面倒見てね」
「鳴が兄なんだろ……というか、あっちの世界では野宿?」
〈そんな鬼畜じゃありません 家から始まるから位置情報なり道覚えるなりしてね〉
「…僕青」
「え、じゃあ僕は黄色行こー」
「消去法で俺らは赤になる訳だ」
各々ドアを開けて、どす黒く淀んだ空間の中を進んで行く。
いやあ、どんなドラマになるのやら。
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夢小説は引っかかると聞いたので
あくまで”夢小説風”です
ありそうなやつをつめこむつもりです
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