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「えーっと…あ、そうここ。」
剣ははじめに来た部屋の扉を開ける。するとそこには既に月弥達がいた。
「来てたんだ。月弥君…。」
「あぁ、剣達が来てくれて良かった。ここで合流したいと思ってたからな。」
「それは俺もだよ。だって、おかしい……何人かここに一般人がいるはずなのに…一人も見当たらない。裏に…誰かいる。」
剣は顔を顰め、月弥を見る。月弥も同じことを考えていたため頷き、ここからどうするかの対策をとることにした。
「ただむやみに探してても見つからない気がすんだけど。」
ギルトが自信の服のポケットに手をつっこんだままそう述べる。全員がなんとなくそう感じていたようで、彼の言葉に全員が頷いた。
「んー…とりあえず、マキネとアヤメを探そ。人数多い方が多分楽だし。」
バイトはギルトにもたれかかりながらそう提案した。確かに、人数が多ければ一般人の救助も楽にはなるだろう。マキネとアヤメが何か少しでも知っている可能性がある。そうなると二人を探すのを優先した方が良さそうだった。
「……うん、それがいいかも。」
剣は頷き、再び部屋の扉を開けた。
「みんな、行こう。」
「待て剣。今回は分かれるのか??」
月華は剣がみんなと言ったことに対し、少し疑問を抱いていた。全員で行ったら心強さもある反面、誰かがいるという考察が当たっていた場合、その相手の強さによっては全滅もあり得る。それが不安なようだった。
「月華君、全滅なんてあり得ない。」
そんな保証はどこにもないはずなのに、剣の瞳は真っ直ぐで透き通っていた。そして、まるで月華の考えていることが分かっているようだった。
「どこからその自信が出てるのか知らんが、お前が言うならなんとかなるか。」
「なんでそんなこと言い切れんだよお前…。」
剣に信頼を抱いている月華はあっさりと納得したが、歌留多は不思議でならなかった。
「歌留多君は、全滅から逃れたくないの??」
「は……んなわけねぇだろ……。」
「だったら負けないように、必死になるだけ。そもそも助けたいって思って来たんだから、俺はこんなところで全滅なんて恐れないし、みんながいれば全滅なんてしない。絶対に。」
「………。」
歌留多は剣の圧倒的な自信に心底驚いた。初対面では謙虚そうで大人しそうだった剣が、今こんなにも真っ直ぐな意思を見せた。
「あいつは芯が強くて真っ直ぐなんだよ。」
月華の一言で、歌留多はすぐに理解した。剣は自分が思っているより、ずっと強い人物なのだと。
「絶対に、黒幕を見つけて全員助ける。行こう。」
剣に続いて、全員が部屋を後にするのだった。