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「あ、あの時の!」
手当てをした日からまた一週間ほど経ち。
屋敷で再び会った少年の傷はパックリと割れていた。
「あぁ、これでは跡が残ってしまいますね…。深い傷だったのに縫われなかったんですか?」
「…」
「ま、待ってください!」
踵を返そうとする少年の横をついて歩く。
鋭い目がこちらを見て、私は慌てて謝った。
「す、すみません。横を歩いてしまって…」
「…別にんなこと気にしねぇ」
「え?」
「用もねぇなら話しかけんな」
「あ、待って!名前を…聞きたくて」
少年の目が一瞬だけ見開かれた。
次見た時には真顔に戻っていたけれど。
「……甚爾」
「甚爾さん」
長い沈黙の後に渋々といった様子でこぼれされた名前を反芻する。
この人は、甚爾さんは、他の禪院家の人とは何か違う気がした。
少なくとも女中の私が容易く話しかけても怒らない。
「何歳ですか?好きな食べ物は?」
「うるせぇ」
「私は7歳です!黒糖まんじゅうが好きです!」
「どうでもいい」
また歩き出してしまう甚爾さんのあとを着いて歩く。
鬱陶しげに眉を寄せているのに怒鳴るも殴るもしない彼に、私はすっかり懐いてしまっていた。
私が7歳、彼が10歳の春の事だった。
7年後。
「甚爾さん!」
「なんだよ、うっせぇな」
「ふふ、じゃーん!」
後ろ手に持っていた袋を見せ付ける。
手の中には私の大好物の黒糖饅頭が2つ。
「仕事の途中で△△さんに貰ったんです。一緒に食べようよ」
そう、部屋に座る甚爾さんの隣に座った。
あれから私は執拗く彼に話しかけ、やっとの思いで心を開いてもらった。
甚爾さんに懐く私を、他の人は腫れもの扱いするけど、私にとっては些細な問題にもならなかった。
私は彼に恋をしていた。
「美味しいでしょう?」
「普通」
「ちぇーっ、せっかくご褒美に貰ったから分けてあげたのに」
「分けたのはオマエの勝手だろ」
「酷いんだ〜」
甚爾さんは大ぶりの饅頭をたった一口で食べると、拗ねた私の口元を親指で雑に拭う。
そしてその指を自身の舌でペロリとひと舐めした。
「付いてんぞ。ほんとガキだな」
ガキ呼ばわりされた怒りさえ、胸のときめきでかき消される。
私は幼いながらに改めて自分の恋心を自覚した。
#ハイキュー夢小説
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コメント
6件
甚爾さんはちょい怖いいめーじしかないから近寄り難いと思うけど夢主ちゃんやはり見る目ありすぎないかっ🤧🤧甚爾さんというか誰でもそうなんだけどふとした瞬間に優しさを見せる人間に敬意というか尊敬の意を抱いちゃうんだよね-😻😻次作も気長に待ってるね!!!最近暑いから熱中症とか気をつけてね-🙃🙃
最高すぎる 🥺 尊すぎ 🫶🏻︎💕︎︎ 甚爾君の「付いてんぞ」 で キュンタヒしちゃった😇