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お客様が去ったあと、華は深く頭を下げた。
「……すみません。本当に、私ばかり失敗してしまって」
律は腕に書類を抱えたまま、短く息を吐く。
「新人のうちは誰でもそうです。ただ――あなたは特に注意して動かないと」
冷たく聞こえるその言葉に、華は胸をきゅっと掴まれた。
けれど続いた一言が、不思議と彼女を支えていた。
「少なくとも、やろうとはしている。それは見ていれば分かります」
ぶっきらぼうな声色に変わりはない。
それでも華は、顔を上げる勇気を少しだけ取り戻していた。