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1 - 夕染 🇺🇸🇯🇵

♥

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2023年10月29日

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🇺🇸「俺さあ、先生のこと好きみたい」

声も出せなくなる程には驚いて固まってしまった。

目の前の人物から視線を外せないまま何度か目を瞬かせる。 そしてやっと言った。

🇯🇵「……え?」

情けない声が、夕に染まり始めた大気を受けて輝く教室の中にぽつりと落ちた。

🇺🇸「ずっと好き」

ますます何を言われているのか分からず困惑してしまう。

これはこの校内でも有名な問題児の悪戯に違いない、そう思うしかなかった。

🇯🇵「ぁ…、お、大人を揶揄うのはやめなさいって言ってるでしょう…」

🇺🇸「俺本気だし」

真っ直ぐな青い瞳が、確かにそれを証明している。

🇯🇵「嘘、では」

🇺🇸「違う」

即答。秒殺。

正直彼は自分のことを好いてはいないのだと勝手に思っていた。勿論恋愛的な意味ではなく、教員と生徒の間における程度のものだが。

🇺🇸「あのさ」

🇯🇵「待って…!ちょと待って」

目の前に座る彼を手で静止して、そのまま頭を抱えて机につっ伏す。

🇯🇵「すき、って…私のこと嫌いなんじゃないんですか…?」

🇺🇸「はあ?なんで」

私は普段の授業風景を思い出しながら言う。

🇯🇵「あなた私の授業まともに受けた試しがないでしょう」

現に今もそのせいで2人きりで補習する羽目になっている。

ある時気になって他の教員に聞いたとき、その教員は「彼はとてもいい生徒だ」と答えたことがあった。

自分の授業の時だけあんな態度なんだとわかってから、好かれていないのだと思い込んでいたのだが。

🇺🇸「…」

🇯🇵「やっぱりそうなんでしょう」

私は机から身を起こして私の頭を悩ませる生徒の顔を見つめた。当の本人は悪戯っぽく笑って言った。

🇺🇸「だって、こうやって補習になったら一緒に居られるだろ?」

うぇ、と変な呻き声が口から漏れた。

なんてこと考えているんだこの生徒。

🇯🇵「う、うーん……」

🇺🇸「先生さ、そういう反応かわいいよな」

🇯🇵「え?」

彼の掌が私の方に伸びてくる。

🇺🇸「はじめて見た時からずっと好きなんだよ」

指先が、頬に触れた。

🇯🇵「ぁ、」

🇺🇸「───にほん」

どろりと砂糖をいっぱいに溶かしたような声で名前を呼ぶ。

とく、とく、と心音がやけに大きく響きだす。

🇯🇵「〜〜〜っ!き、今日はもう遅いですから終わりにしましょうっ?!」

彼の手を払い除けた。

🇺🇸「あー」

彼はやれやれ、といった様子で帰りの支度をし始める。

私は熱くなった頬を見せないようにと顔をそむけた。

🇺🇸「やっと告白できたと思ったのになー」

🇯🇵「そもそも生徒と教員だなんて問題にも程があります。私を社会的に殺しでもしたいんですか…」

🇺🇸「そうなったら俺のことだけ見てくれるか?」

🇯🇵「ひぇ…」

結局。

校門まで送って行ったのだが、最後までこの調子だった。

🇺🇸「じゃーな。にほんー」

どうやら遂に先生とも呼ばれなくなったらしい。

彼が帰っていく背中を見つめながら、ぽつりと呟いた。

🇯🇵「…あなたが立派な社会人になったら考えてあげます」

自分ですら言ったことに気づけないほどちいさな呟きだった。

***

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