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山本青太(やまもとせいた)は小学四年生。今は田舎にある学校の帰りだ。「あ〜あ。暇だなあ。なにかしたいよ〜」そう言って足元の石を嫌いなピンク色のメガネをかけた嫌われている理科の先生に見立て、思いっきり蹴りました。そしてその石が用水路の中にぽちゃんと音をたてて入ると、面白いことを思いつきました。青太は近くの森へ行きました。傘を差して中へ入ります。ここは、「王青鷺森」(あおさぎもり)といい、青鷺の繁殖地です。今は繁殖の真っ只中。卵を産んでいるでしょう。青太は側の杉の大木へ登りました。これは森の入口にある王青鷺神社の御神木でこの木に巣を作る青鷺はたった一羽、御神体とされる青鷺だけです。御神体の青鷺の卵をとったら学校でちやほやされるんではないかと思ったのです。木に登ると金の薄い斑点のある青い卵がありました。そして側に一羽、金羽混じりの青鷺のひながいました。「お、あいつにしよう」幸い、親鳥は留守だったので青太は腕を伸ばし、ひなを掴み上げました。そしてするする木を降りてネズミのようなすばやさで家へ帰りました。
自分の部屋へ戻った青太はよくよくひなを見つめました。まだ生まれたばかりで小さな声でないています。青太はカシャカシャとスマホで写真を撮っていました。「これ、王青鷺神社の御神体の青鷺のひなを取ってみましたー!とかやったらバズるくね?」わくわくとしましたが、「青太〜ご飯よ!」と呼ばれ、「チェ。タイミング悪いな。わかったよ!」と一階へご飯を食べに降りていきました。
翌日、青太は上着にひなをくるんで学校へ行きました。学校へ行くまでは秘密にしたかったので友達ともいかず、一人で行きました。ひなはなんと、目をぱっちりと見開いています。生まれてから5〜7日で目は開くのに。金羽混じりの羽は青太の罪悪感を引き立てるでした。だから、その日はひなを誰にも見せませんでした。
帰り、友達と別れ、あの王青鷺森のところへ来ました。するとざわりと首筋が逆立ちました。ふるふると振り返ると王青鷺森の青鷺がこちらを向いていました。右近京(うこんのきょう)と呼ばれる王青鷺森の右半分と、左近京(さこんのきょう)と呼ばれる王青鷺森の左半分の青鷺全てこちらを見ています。いや、射抜くように睨みつけるといってもよかった。「な、なんなんだよ、これ…」右近京の青鷺は全員紺碧色、左近京の青鷺は全員猩々緋色の目をしていました。きっぱり左右に分かれているため、さらにが気味が悪いです。すると、バサッと静かな羽音をたて、一羽の青鷺が飛び立ちました。その青鷺は銀羽混じりで、右目は紺碧色、左目は猩々緋色の目で、角度で目の中に金や銀の粉がちらちら輝き、舞っているように見えます。ふと、青太は思い出しました。「せいちゃん。実はね、王青鷺神社の御神体様にはね、双子の弟とも言われてるし、補佐役とも言われてる青鷺がいるんだけどね、銀の羽が混じってるんだよ。」とおばあちゃんから言われたことを思い出した。「え……あ‥」思わず青太は後退りした。しかし、飛び立った銀羽混じりの青鷺はぐんぐんこちらに迫っていた。