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それから数日
アタシ達は中庭に集まり遊ぶ様になった
クララちゃんの遊びは奇想天外で，予測出来ない
トゲトゲボールやガブガブ絵本を積み重ねる謎の積み木
魔界のトランプ七並べ
どれもこれも滅茶苦茶で，時には命懸けだ
他の悪魔ならば逃げ出す処だろうが，僕達は気にしなかった
俺は…俺とテツはある事情により幼少期はロクな日を過ごしてなかった
いわゆる訳ありってやつ
遊び相手もいなかったし，遊び方も知らなかった
だからこの遊びも楽しいから良いのだと思っていた
しかし気になる事がある
遊ぶ度にクララはジュースとお菓子をアタシ達に渡してくる事だ
遊んだ後，ニコニコと笑って
クララ「今日もありがとう！はい，贈り物！」
と言って
僕達は一応受け取っていた
クララの好意を無碍（むげ）にする事は出来なかったし，僕はすぐに人に流されてしまうから
俺は考え込んだ
何かこう…違和感がする。 とてつもない違和感が
中庭のベンチでアタシと入間はペットボトルを手に困っていると
クララ「ドーンッ！」
背後から現れたクララに力一杯突き飛ばされた
僕は間一髪で茂みに突っ込まずにすんだ
クララ「あっははは！命中！」
入間「クララ……」
入間は茂みに逆さに突っ込んだ侭困った顔で笑った
俺はソッと入間に手を伸ばし起き上がらせる
クララ「あのねー，これねー。私の好きなお菓子！」
クララはポケットを叩いた
これは…何かあったのかな
クララ「あとジュースと，本とー，ぬいぐるみもあるよ！」
クララはポンポンとポケットを叩いた
クララ「ぜんぶ，あげる！」
沢山のお菓子とジュースと本とぬいぐるみ
抱える程の贈り物
やめて，アタシはそんなのが欲しいんじゃない
クララ「入間ちとアイちがほしい物，なーんでも出すよ！」
入間はポカンとしている
クララ「だからねっ！だから……また，私といっしょに」
入間「いっ，いらない！」
『もう辞めて！！！！！！』
入間とアタシはクララの言葉を遮った
その言葉にクララは石の様に固まった
クララ「……！あっ，このお菓子，きらい？」
ポケットを叩いた
クララ「なら，べつのを……」
『違うんだよクララ…別に要らないの，お菓子』
別のお菓子を出そうとするクララをアタシは慌てて止めた
クララは黙り込んでしまった
ヒーロー活動をしていてこういう子を見て来た
『ずっと言おうと迷ってたんだけどね
僕達……』
クララ「ゔ」
みなまで言わせずに
クララ「ゔあ”あ”あ”」
クララは泣き出してしまった
クララ「ゔあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」
僕はハンカチをポケットから取り出した
入間「ちょっ，クララ！？」
『落ち着いて，ね？！』
クララ「まだたッ！いづもそう！あきれられて……もう，遊んでもらえない！」
鼻水をグスグスと啜り，泣いている
入間「ちがっ，そうじゃなくて……」
クララ「いっ，いらないって言った！」
入間「聞いて，クララ……」
クララ「じゃあ，だめじゃん！私，バカだからねっ！
遊んでもらうためには，なにかあげなきゃだめなのッ！迷惑料なのッ！！」
クララは……悩んでいたんだね。ずっと，そんな風に
俺と入間は泣き喚くクララの手を握りしめた
入間「そんな物なくたって，僕とアイ姉は君と一緒に遊びたいよ！」
『クララと遊ぶのは楽しいから…無償で遊びたいな』
そう言ってハンカチでクララの涙を拭いた
クララ「……ほんと！？」
驚いた様に繰り返した
入間「ほんとだよ！そのっ，親の教育方針でもらえる物はもらっちゃったけど……
でもやっぱり，いっしょに遊ぶのに，贈り物はいらないと思う」
うんうん
『クララは色々やり過ぎだけど…アタシ達は遊ぶのが下手だからやり過ぎくらいが丁度良いんだよね』
俺達にも少しずつ遊び方というものが分かって来た気がする
どうやったら楽しいのか，どうしたら嬉しいのか
気付いて仕舞えば単純な事。だけどクララと一緒じゃないと気付かなかった
入間「だから，僕たちと……またいっしょに遊んでくれる？」
クララ「…………」
クララは力一杯頷いた
クララ「うんっ！！」
その表情になんだか自分まで救われた気持ちになった
これだから，ヒーローってやつを辞められないんだ
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