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⚠︎暴力なし、過激な表現あり
苦手な方はご遠慮ください。
19時半過ぎ、窓の外を流れるネオンをぼんやり眺めながら、タクシーの後部座席に身を沈めていた。
いつからだろう。
こうして“呼ばれるたびに向かう”ことが、当たり前になってしまったのは。
スマホの画面がふいに光る。
彼からのLINE。
『ついたから、先に入ってるね』
降りたら、もう戻れない。
わかっているのに、車が目的地に近づくたび、心臓が鈍く痛む。
(……また、行くんだ)
自分で決めたはずなのに、どこか“他人事”みたいに思えてしまう。
それでも、今さら引き返す勇気も残っていなかった。
フロントで部屋番号を告げ、カードキーを受け取る。
エレベーターが静かに上昇していくあいだ、
ガラスに映る自分の顔が、どこか遠い他人のもののように感じた。
やがて、ドアの前。
――この前の電話の声が、頭の奥で蘇る。
『ちかちゃん、僕のこと、嫌いじゃないよね?』
“嫌いじゃない。”
本当は、嫌いになれたらどんなに楽かと思うのに。
結局、“嫌い”とは一度も言えなかった。
好きなんて言われたこともない。
ただの遊びだって、ちゃんと分かってる。
彼が飽きれば、この関係もいつか終わる――
わかっているのに、それでも抗えなかった。
(……どうして、来てしまうんだろう)
カードキーを差し込む指先が、微かに震えている。
カチャリ、と静かな音。
ドアノブに手をかけて、そっと扉を押し開けた。
カードキーを差し込んで、静かにドアを押し開ける。
淡い照明に照らされた部屋の奥。
ベッドに腰かけて、スマホを弄っていた彼が、
ドアが開く音に顔を上げる。
目が合った瞬間、
「ちかちゃん――」
呼吸も待たずに、彼が立ち上がり、まっすぐ駆け寄ってくる。
「待ってたよ。」
一言だけ、低く囁くと、
すぐさま腕を回され、きつく抱きしめられる。
あたたかいはずの体温が、今日は妙に熱い。
逃げようとしても逃がしてもらえない力加減――
体を少しだけ引き剥がされ、正面から見つめ合う。
至近距離で絡み合う目線。
支配の色を孕んだ瞳が、静かに、だけど確実に心を締め付けてくる。
「――会いたかった、ちかちゃん」
その声は穏やかなのに、
“逆らうな、何も言うな”と命令するような圧が、
じわりと肌に沁みてくる。
(……怖い、けど、抗えない)
彼の手が頬をなぞり、すぐに唇が塞がれる。
優しさと強引さが入り混じったキス。
何も言い返せないまま、身動きも取れなくなる。
キスの最中、彼の手が背中から腰へと滑り落ちる。
指先が、迷いなく輪郭をなぞってくる。
そのまま、一歩、二歩と、じわじわベッドの方へ押し戻されていく。
「……もとき、さん……」
小さく絞り出した声も、すぐ唇で塞がれ、
思考も呼吸も、彼のペースに巻き込まれていく。
「今日は――我慢しないから」
低く囁く声が耳朶を打つ。
彼の指先が、カバンとコートに触れて、あっという間に剥ぎ取られていく。
“待ってた分、全部もらうね”と言わんばかりの、一切の遠慮もない手つき。
逆らうこともできず、ただされるがままにベッドへと追い詰められる。
ベッドの端に座らされると、彼が目の前で膝をつき、 丁寧にでも強い力で靴を脱がせていく。
足首を包む掌の熱が、妙に意識に残った。
気づけば、もうベッドへ押し倒されていた。
見下ろす彼の顔――
その瞳は、優しさよりも支配の色で満ちていた。
「ねえ、ちかちゃん。
なんで、会いたくないなんて言ったの?」
低く囁かれるその声は、柔らかいのに、抗えない。
ぞくり、と背筋が震え、
視線を逸らそうとしても、彼の手が顎をそっと持ち上げてくる。
怯えた顔が、きっと彼の中では“ご褒美”なんだろう。
そんなこと、頭の隅で分かっていても止められない。
「そんなに怯えなくていいよ。……でも」
唇が耳元に寄り、息ごと囁かれる。
「少し、お仕置きが必要だね、ちかちゃん」
どこか楽しげに微笑みながら、
彼の手が、もうためらいなく服の中へ滑り込んでいく。
「ねえ、僕のこと――好きだよね?」
耳元で甘く囁かれながら、服の下に滑り込んだ指が、ゆっくりと胸をなぞる。
敏感な場所をじっとりと撫でられて、思わず息が詰まる。
「んっ、やっ……もときさんっ……」
言葉にならない声を必死に押し殺すと、彼はそのまま顔を覗き込んでくる。
意地悪そうな微笑み。
指先が、くすぐるように動きを止める。
「――言えないの? なら、やめるけど……?」
服の中から手をゆっくりと引き抜きながら、唇の端だけで笑う。
心臓が跳ねて、苦しくなる。
彼の目を直視できなくて、思わず視線をそらす。
「……すき、ですっ……」
蚊の鳴くような声で、それでもちゃんと彼の耳に届くように。
「かわいい。素直な子、好きだよ――ちかちゃん」
まるでご褒美みたいに、髪をそっと撫でられる。
その手はすぐに、薄手のニットのトップスへ。
優しく、でも有無を言わせない手つきで脱がされていく。
空気がひやりと肌を撫で、
胸元が晒されるたびに、羞恥と高揚がないまぜになっていく。
本当は、違う――
こんなの、嫌だ、って思いたいのに。
体は逆らえないまま、いつの間にかぐちゃぐちゃにされて、
気づいたときには、自分も彼も何ひとつ身に纏っていなかった。
(やだ、どうして……)
意識の奥で、まだ「だめだよ」「やめたい」って声が叫んでいるのに、
彼の温度にすべてを塗りつぶされていく。
「……考え事してたでしょ、ちかちゃん」
目の奥まで覗き込むみたいな声で、低く囁かれる。
そのまま、ためらいなく、身体の奥まで――ゆっくりと貫かれる。
「んあぁっ……あっ……!」
身体が跳ねて、息が詰まる。
痛いわけじゃないのに、全身が熱くてどうしようもない。
「ねえ、他のこと考えちゃだめ。僕のことだけ、考えて?」
耳元で、意地悪なくらい優しい声。
奥深くまでゆっくりと満たされながら、 頭の中は、どんどん彼だけで埋め尽くされていく。
自分の気持ちが、もうどこにも分からなくなりそうで――
それでも、抗うことも、逃げることもできなかった。
彼の動きが一度止まる。
すっと手を伸ばし、近くにあったスマホを掴む。
「ねえ、ちかちゃん――」
画面越しに自分を映す。
「やだ……やめて、撮らないで……」
思わず顔を背けると、顎をそっと掴まれて、レンズに無理やり視線を向けられる。
「どうして?こんな顔、僕だけしか見られないでしょ?」
彼の声はやけに優しいのに、
目はまっすぐに“支配”を映していた。
「逃げたら、これ――ばらまいちゃうよ? いいの?」
ぞくりと背中を冷たいものが這う。
「ちゃんと僕のものだって、証明して?」
「……もときさん、やめて……」
懇願も届かないまま、 画面の中で泣きそうな自分の顔が
彼に押さえつけられながら、 淫らな声をこぼすのが見えた。
「ほら、可愛いよ。ねえ、好きって言って?」
「すき……です」
「もっと、カメラに向かって」
「もときさんのこと、すき……っ」
羞恥も怖さも、全て“逃げ道”にはならなかった。
彼に撮られ、支配されるたび、
逃げ場のない絶望と快感が、
混ざり合っていく――。
「よくできました、いい子だね?」
その声と同時に、またスマホのレンズを向けられる。
逃げる隙もなく、彼の腰が強く打ちつけられるたび、視界が揺れる。
「やっ……、やだ、みないで……っ」
「可愛い顔、ちゃんと撮らせて?」
カメラ越しに、彼の満足そうな視線が絡む。
その目が、身体の奥まで貫くようで、もう何も隠せなかった。
「ほら、ちゃんとカメラ見て。
もっと――僕のことだけ、考えて?」
彼の指先が、震える脚をなぞり、
何度も、何度も奥を突かれる。
「やっ、もときさんっ……あっ、あぁ……っ」
羞恥も恐怖も、全部飲み込まれていく。
レンズの向こう、絶え間なく刻まれる喘ぎと、
乱れる姿――
「可愛いよ、ちかちゃん。イっていいよ」
その一言に、
喉からちぎれるような声がこぼれる。
「もときさん、すき……すき……イく、イくっ……!」
頭が真っ白になる瞬間も、
レンズの奥に映されて、
彼のものだと、何度も何度も思い知らされる。
すべての記憶も、理性も、
レンズ越しに溶かされていく。
レンズがふっと視界から外れる。
「……よし、これで“証拠”はたくさん残ったね」
いたずらっぽく笑いながら、彼はスマホをベッド脇に投げる。
「お仕置きだから、ね――?」
そう囁いた声が、いつもより低く、容赦ない熱を帯びていた。
次の瞬間激しい腰の動きが、また体の奥をかき乱してくる。
息を整える間もなく、何度も何度も突き上げられ、
胸も首筋も、キスと舌で執拗に愛撫される。
「やっ……もとき、さん……っ、もう……」
「黙って。可愛い顔、ちゃんと見せて?」
頬を片手で掴まれ、何度も深く口づけられる。
どこにも逃げ場はない。
もう言葉も思考もすべて奪われていく。
「ねぇ、ちかちゃん――」
呼吸が乱れる耳元で、
彼の声だけが、ずっとまとわりついて離れない。
「……最後は、中で出すね? いいよね?」
一瞬だけ、動きが止まる。
彼の瞳がまっすぐ自分を射抜く。
「……やだ、ダメ……」
掠れる声で首を振るのに、
「ダメ、じゃないでしょ?」
「欲しいって、おねだりして。ちゃんと、言えるよね?」
やさしく――けれど逃がさない支配の声。
「ほら、言って? ちかちゃん……」
再び奥を突かれながら、頬に涙が伝う。
「……なか、ほしい……です……もとき、さん……」
ぼろぼろの声で絞り出すたび、彼は満足げに微笑む。
「……いい子だね」
最後の一突きで、
奥の奥まで満たされて、
何もかも――全部彼のものになっていく。
意識も思考も溶けていく中、
「可愛いよ、ちかちゃん。ずっと僕のものだよ――」
支配の言葉と熱に包まれながら、
静かに堕ちていくしかなかった。