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ろのみ🩵🫧
43
#愛され
おうか
252
翌日、窓へ目をやると白んで来た空に外の景色が薄暗く見える。人気のない朝の気配……。
同時に、夢から覚めた事も。後悔、自責の念、それらを取っ払った。
夢だった。それだけ。横で寝ていた人に視線を落とす。
……ハンサムだなぁ。やっぱり。性格までハンサムだった。
最高の夢でした。十分過ぎる人。夢くらいでしか相手をしてもらえないような。
でも、酷い人。結局、恋人?奥さん?好きな人?この人の心には誰がいるんだろう。
『湊、恋人いる? 』
聞きたい質問は、聞かれた時にすぐに聞き返すべきなのよね。タイミングを逃した。でも、もう……いいんだ。終わった。
そっと部屋を見回し、下着を身に付けた。
外からは見えないとしても、明るくなってきた外のガラス窓の側でこの姿は何だか恥ずかしい。
窓から離れ、服を着た。昨日と同じ服を。帰ろう、彼が……起きる前に。最後にもう来ることはないだろう部屋をもう一度見渡した。
昨夜のリアルなリフレインに赤面する。ベッドの近くのバッグに伸ばした手が大きな手によって止められた。驚きで心臓が大きく脈打った。
「酷くない? 」
そう言った彼が、私を抱き寄せ、顔を近づけてくる。慌てて、彼の口を手で押さえた。
「何? 朝のキスは嫌? 」
ごく自然にそう言った彼。
精一杯の笑顔を作って言った。
「夢は、朝には覚めるものですよ」
「湊、俺は……」
また何か言いかけた彼の口を指先で塞いだ。
「ありがとうございました。素敵な……夢だった」
そう言って、彼に背を向け部屋を出た。
これで、いい。パスポート、実家だったかな。まだ切れてないよね。大学の卒業旅行で使った。うん、大丈夫だ。
これからの方向性も考えないと貯金はあるけど、無計画だとすぐに底をつくだろう。
何もない0からのスタートに、極上の男だった。その証拠に、ほら……吉良くんの事が頭から消えちゃった。ふっと笑みが溢れて、周りを確認する。人気のない時間。大丈夫、見られてない。誰にも。
上手くいったかな。あの二人。吉良くんと彼女を思い浮かべた。ほんと、……美男美女。
これでいい。
胸にまた新たな痛みが作られた気がしたけれど、気づかない振りをした。きっと、痛みは彼にではなく、またしても相手のいる人を引き寄せた事によるもの。その痛みに、過ぎないから。
次第に、高くなっていく日を浴びながらスタートに相応しい青空を見上げた。
スッキリとした、その青空を。
その青空と同じように、身も心もスッキリと……スッキリとしたはずだった。
コメント
1件
うわあ……切ないなあ。主人公の「夢だった」って自分に言い聞かせてる感じが胸に刺さるわ。朝のキスを拒んで「夢は朝には覚めるもの」って返すとこ、強がってるのが痛いほど伝わってくる。彼が何か言いかけてたのも気になるし、この後どうなるんだろう。青空を見上げてスッキリしたはず、って最後の一文がまた余韻を残すよね。続きが気になる!