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「あ、あ、ぼ、僕、あ、アメリカ、、、そ、それ、、イギリス、、、」
スマホの白い光に照らされたフランスは、顔を真っ青に強張らせ、見たこともないほどガタガタと唇を震わせていた。
いつもなら「Ju」と呼ぶ一人称が、本人の自覚もないまま「僕」に切り替わっている。ベレー帽が大きくズレ、いつもは隠されている左の青い瞳と、右の赤いオッドアイが、恐怖に泳いだまま完全に露出していた。
「おい……フランス、お前……」
アメリカが息を呑む。いつも元気な彼も、フランスのその尋常ではない様子と、聞いたことのない弱々しい一人称に、ただごとではない恐怖を察して声を詰まらせた。
フランスの腕の中では、イギリスが完全に限界を迎えていた。
黒いタキシードの背中を丸め、フランスの胸に顔を埋めたまま、過呼吸気味に「ひゅう、ひゅう」と小さく喉を鳴らしている。近視の右目のモノクルは鎖ごと床に落ち、薔薇と長方形の飾りが冷たい床の上でチリチリと虚しく震えていた。
「フランス、動くな。アメリカ、ライトを少し下にずらせ。眩しすぎる」
ソ連が、驚くほど冷静で、けれど包み込むように優しい声で指示を出した。不器用で無口な彼だが、人混みでいつも先頭を歩いて皆を守る彼だからこそ、今二人がどれほど深いトラウマの闇に引きずり込まれているかが分かったのだ。
アメリカはハッとして、ライトの強い光を二人の顔から逸らし、足元をぼんやりと照らすように角度を変えた。
ソ連は189センチの巨体をゆっくりと、床につくほど深く折り曲げた。そして、普段は両利きだが、今はそっと右の大きな手をフランスの震える肩に、左の手をイギリスの頭に優しく添えた。
「大丈夫だ。俺たちがいる。何も通りはしないし、何も映させはしない」
ソ連のその低く安定した声と、大きな手の温もりが、冷え切った廊下の空気を少しだけ溶かしていく。
「……そ、れん……、イギリスが、イギリス、が……っ」
フランスはオッドアイから涙を溢れさせながら、それでも腕の中のイギリスを離そうとはしなかった。弱って机の下に隠れたくなるほどの恐怖の中で、フランスは必死に「親友」であり「ライバル」であるイギリスを守ろうと、その小さな身体を抱きしめ続けていた。
コメント
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第9話「守護」、読み終えました……。フランスの一人称が「僕」に変わったところ、本当にぞっとしました。普段あんなに飄々としてる人ほど、トラウマに引きずり込まれた時の脆さが胸に刺さります。ソ連が巨体を折って二人に手を添えるシーン、優しすぎて泣きそうになった……。このチームの絆、重いけど温かい🥀