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第63話 〚戻る場所、ほどける緊張〛
人混みを抜けて、
少しだけ静かな場所に出たところで――
「澪!」
聞き慣れた声が、同時に重なった。
えま、しおり、みさと。
その少し後ろに、玲央。
全員が、
本気で探していた顔をしていた。
「……よかった」
しおりが、息を吐く。
「ほんとに!」
みさとは澪の肩を軽く叩いて、
「無事でよかったぁ……」
えまは、澪を一瞬ぎゅっと見てから、
すぐ海翔の方を向いた。
「……海翔」
真剣な声。
「ありがとう」
その言葉に、
海翔は一度、深く頭を下げた。
「……俺の方こそ」
声が、少しだけ震れている。
「本当に、ありがとう」
えま達だけじゃない。
玲央にも、はっきりと視線を向ける。
「玲央も。
一緒に探してくれて、助かった」
「当たり前だろ」
玲央は苦笑して、
「それに……今回は、ガチでヤバかったしな」
その一言で、
澪の中に張り詰めていたものが、
すっと緩んだ。
――ああ、もう大丈夫。
そう思った瞬間、
足の力が、少し抜ける。
海翔は、
それにすぐ気づいて、
そっと距離を縮めた。
「……大丈夫?」
小さな声。
澪は、
小さく頷く。
「……うん」
その答えに、
海翔は、ほんの少しだけ安心した顔をした。
みさとが、空を見上げて言う。
「花火、もうすぐクライマックスだよ」
夜空に、
大きな光が咲く。
その光の下で、
澪は思った。
――守ってくれる人がいて
――一緒にいてくれる仲間がいて
今は、
ちゃんと“戻る場所”がある。
海翔のすぐ隣で、
澪は、深く息を吸った。
胸の奥に残っていた不安は、
まだ完全には消えていない。
それでも――
(……安心、していいんだ)
そう思えた夜だった。
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