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天神みねむ!クリスタルがない人
銀色の彫像が並ぶ、音のない森を二人は進んでいく。
月明かりの下、かつての戦友たちが物言わぬ石像と化した光景は、
地獄というにはあまりに静謐で、天国というにはあまりに無慈悲だった。
「……これ、本当に元に戻るのか?」
マイロはルイの腕にぎゅっと抱きつくと、悪戯っぽく、天真爛漫に首を傾げる。
「さあ? 魔力が切れたら戻ると思いますけど、そうそう切れることないですし」
その言葉に、ルイの背筋に冷たい戦慄が走った。
慈悲の光で救ったのではない。逆らう者、自分たちの邪魔をする者すべてを、永遠の静寂の中に閉じ込めたのだ。
この国が誇る人類史上最強の魔法使い、マイロ・シルヴェスター。
またの通り名を、「銀嶺の審判(ぎんれいのしんぱん)」。
その精巧な魔術によって編み出された忘却を代償とする攻撃魔法「アブセンティア」を回避した人間を、私は知らない。
かつて国を揺るがし、一晩で軍隊を銀の山に変えたと伝説に謳われる、最凶の魔法使い。
「……ルイ姉。そんなに彼らが気になるんですか?だめですね、私だけを見てないと」
マイロの翡翠色の瞳が、スッと細くなる。
その奥にあるのは、ルイが自分以外に意識を向けることを一秒たりとも許さない、傲慢な独占欲。
「…あまりに綺麗だと思ってね。……私の剣では、こうはいかなかった」
「ルイ姉の剣は『守る』ためのもの。私の魔法は『排除』するためのもの。」
マイロ・シルヴェスターは、ルイの肩に頭を預け、銀色に輝く森の奥自分たちの行く先を見据えた。
「ねえ、ルイ姉。私があなたの剣……だから、あなたは私だけを見ていてください」
支配していたはずの少女に、今は魂の根元から支配されている。
騎士としての誇りがズタズタに引き裂かれる感覚。けれど、それ以上に――。
「なかなか酷い願いだね…マイロ」
「…そうですか?こんなに可愛い少女が愛の言葉を囁いてくれてるのよ」
「そんなの…叶えないわけにいかないじゃないか」