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熱い、熱い、熱い。
燃えるような熱さが身体を襲う。
熱さの元の腹に手を当ててみた。
手には血がベッタリと付いていた。
_血? 血だ、血、俺の血、だ。
腹から溢れ出てる。
俺の血でレッドカーペットが出来ているようだ。
苦しい、苦しい、苦しい。
息が、出来ない。
身体が、動かない。
じわじわとした痛みが身体に広がる。
どんどん、どんどんと意識が擦り切れてゆく。
ごぽ、と音がなった。
俺の口から血が溢れ出した音だ。
___あーあ、せっかくあの子に切ってもらった髪、血で汚しちゃった。
あぁ、明日、デートの約束してたのになぁ。
あぁ、明日、買い出し当番だった。怒られるなぁ。
あぁ、明日、勉強教えてやるって言ったのになぁ。
あぁ、明日、村に行こうと思ってたのになぁ。
あぁ、明日、俺の開発した食べ物の発売日だったのになぁ。
あぁ、明日、
明日____
_____明日は、もう。
はは、こんなんじゃ、アイツにまた叱られるなぁ。
もっと自分を大切に、って。
本当、アイツは優しいなぁ。
あの子はあの子で、俺の為なんかに泣いてくれるなんて。
とんだお人好しだよ。
あの子にはもっと、いい人がいるはずなのに。
あぁでも、良くも悪くも天然だから、悪い男に引っかかるかもなぁ。
優しすぎるってのも損だなぁ。
あの子はきっと、目の前に傷付いている人がいれば有無を言わず助けにいっちゃうんだろうなぁ。
自分に損な事ばっかするんだから。
その為に俺がいるんだけど
___あぁ、死が、近付いてくる。
最後に、あの子の顔を、
……いや、こんな姿見せられない。それに、俺は一人孤独に死ぬのがお似合いだ。
「______」
声?
声が、聞こえる。人間の声だ。
鈴の音の様な、美しく儚い、触れると折れてしまいそうで、でも芯があって強くて、愛おしい声。
__あの子だ。
なんとまぁ、運が悪いことで。
やはり、この世界に神はいないのだ。
俺を救うのは、あの子しかいないのだ。
俺を愛してくれるのは、あの子しかいないのだ。
だからこそ、あの子にだけは、見せたくない。
だのに……
「___ラ、?」
名前を、呼ばれてる?
こちらに来る?
「く、るな………」
「______?」
あの子に、こんな姿を見せたくない。
こんなおぞましい、情けない姿を。
君にだけは。
「て、ら……?」
____嗚呼、
死、