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『 雪 』@夏休み期間毎日投稿
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成瀬りん
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たーくん
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営業終了後のエイバス冒険者ギルド内、執務室。
テーブルを囲む形で大きなソファに座るのは、俺・テオ・ウォード・ダガルガ。
資料に目を通したり、メモを取ったりしながら、各自の情報を交換していく。
腕を組んで考え込むウォード。
「討伐側のLVに合わせ強さが変動する魔物……そんなの聞いたことねぇぞ……」
実際に戦った時のことを思い出しつつ、ボソッともらすテオ。
「ボスだけじゃなくて、何気に周りのゴブリンも面倒なんだよね……」
ボス鑑定結果のメモを睨みつつ、ダガルガは困ったように言う。
「ただ倒しゃあいいってんなら、俺だけで十分勝てる魔物共だけどよォ」
「え? 勝てるって言い切れちゃうんですか?」
「おうよ! このボス共なんかより強い魔物、何度も1人で倒してっからなッ!」
「すごい……」
何気ないダガルガの一言に衝撃を受けた俺は、ゲーム内での彼を思い出す。
ゲームのダガルガも、ここでギルドマスターを務めていた。
メインストーリーでは、序盤の剣術指導イベントに絡むのみ。
終盤に特定の手順を踏むと、ようやく仲間に入れられるようになる。
彼はパーティ加入時から攻防ともに優れる強キャラだった。
とはいえ終盤は他の仲間も強くなっているため、そこまで目立つわけじゃない。
だが現在は、ゲームのメインストーリー序盤にあたる。
一時的な仲間入りとはいえ、間違いなくダガルガは活躍してくれることだろう。
「しかしよ。ボスへの攻撃は、お前の【光魔術】じゃねぇと意味ねぇんだろ?」
「そうなんです……」
目的はあくまで、『小鬼の洞穴』を浄化し、かつての平和を取り戻すこと。
ダンジョン化の元凶は、ボスの持つ【魔誕の闇】。
周辺の魔力を増幅し、攻撃的な魔物を生み出しやすくするスキルだ。
この『闇』を浄化するには、俺の『光』で相殺しなくてはならない。
「……まず、俺の【光魔術】での攻撃威力を上げるのは必須だと思ってます。このままじゃ倒すどころか、ダメージすら与えられないんで……」
ボスであるゴブリンリーダーも、召喚されるゴブリンも元々は弱い魔物だ。
だが勇者が相手だと、彼らは【魔王の援護】で強化されてしまう。
俺の知る限り、その強さは勇者の現在LVで決まるはずだった。
だが現実の強化値はゲーム上の約2倍。
その差に動揺したことも、俺たちが敗れた大きな理由だ。
なぜゲームより大幅強化されていたかは、正直よく分からない。
だけど俺も【能力値倍化】の恩恵で、能力値がゲームの2倍になっている。
このあたり、何か関連があるのかもしれない。
「でも【光魔術】の威力さえ上げられれば、あとは何とかなると思うんです!!」
何たって次の討伐は、俺とテオだけで挑むわけじゃない。
ウォードとダガルガという頼もしい面々が加わってくれるんだから!
そんな強い思いをこめた俺の言葉に、3人も強くうなずいた。
*************************************
話し合いの結果、討伐への出発は1週間後に決定。
現状、世界は徐々に確実に『闇の魔力』に染まり続けている。
このダンジョンの攻略だけに時間をかけられない、と判断したからだ。
攻略に必要な準備は、出発日までに各自で行うことにした。
ちなみにウォードとダガルガは魔術に関しては専門外らしい。
ということで「魔術の威力アップ対策」は後日、テオと俺とで練ることに。
この場では、それができた前提での戦い方について話を詰めた。
ふとウォードが守衛であるのを思い出し、仕事は大丈夫なのか聞いてみる。
彼は「今んとこエイバスはわりかし平和だからよ。代わりさえ見つかりゃ、休暇なんざ簡単にとれるさ」と軽く答えた。
「……さて、今日はこんなもんだろ!」
ある程度話したところで、ダガルガが区切りをつけた。
「うん」
「出発直前にもう1回話せると助かるぜ。準備の最終確認もしたいしな」
「そうですね」
いざ解散しようと皆が立ち上がった瞬間。
――ぐ~……
鳴り響いたのは、大きなお腹の音。
「……おなかすいた」
音の主であるテオの気が抜けた言葉に、「俺も」と口々に笑う一同。
壁にかかった時計を確認したダガルガが提案する。
「よっしゃ! まだ時間も早ぇし、どっか飲みに行くか!!」
「さんせーい!」
嬉しそうに真っ先に手を上げたテオに続き、俺もウォードも同意する。
どこの店に行くかをワイワイ相談する皆に交じりながら、こういうのも悪くないよな、と心の中でつぶやいた。
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