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いつもの甘える声が聞こえない。
しんみりとした雰囲気が寝室を包み込む。
「ネイラ…」
ネイラとは俺の愛猫。
スラっとした身体で、
可愛らしくピクピクッと動く猫耳で、
決して俺の足から離さない尻尾を持ち合わせた黒猫だ。
ネイラは先月…俺が寝ている間に息を絶った。
翌朝、俺はいつもの様にネイラに触れる。
冷たい身体は息をしていなかった。
ネイラは死んだっと分かった。
理解すると目から大量の涙がポタポタッと床に落ちていく。
たった唯一の愛猫だった。
俺が会社で失敗して落ち込んだ時必ず慰めてくれた。
それに加えて俺が仕事で疲れた時はそっと寄り添ってくれた。
30歳で独身の俺を孤独から助けてくれた…そんな存在が居なくなってしまったのだ。
俺は机に置いてる写真立てを取る。
ネイラが太陽の光に当たりながら昼寝をしている写真。
完全に俺を信用しておりだらんっとした格好。
「ネイラ…““なんで逝っちまうんだよ」
酷く掠れた声。
一瞬自分の声に疑った。
そう言えば…あれからろくなものしか食べていない。
風呂にも入っていない。
歯磨きも。
生活で必要な事をほとんど行っていない。
こんな事をしたらネイラは悲しむだろうか?
天国で俺を見下ろしながら怒っているだろうか?
自分が天国に行ってしまったせいで主人が…などと思っていないだろうか?
そんな考えが脳に埋め尽くされていく。
居ても立っても居られない…俺は重い身体を起こせば立ち上がる。
そして棚の引き出しから財布を取り出す。
中には一万円札が3枚、千円札が4枚…あと小銭。
コンビニで何かを買うには足りていた。いや、足りすぎていた。
そんな事を考えている暇はない。
俺のお腹はもう甘いのを欲していた。
足は自然と玄関へと向かっており、手は取手を握っていた。
俺は掠れた声でありながらも寝室に向かって大きく言った。
「行ってきます。そしてネイラ…今までありがとう。」