テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ゆうな
232
178
41
#みじかめです、!
夢仁羽
104
カテン越しに差し込む柔らかな日の光に、ゆっくりと目を覚ます。
――久々に、こんなによく眠れた気がする。
腕の中に、まだあのグレーのうさぎのぬいぐるみが収まっているのを見て、なんだか嬉しくなった。
ガチャ、と仮眠室のドアを開けて廊下に出ると、昨日お世話になったにしきさんとあっとさん、そしてもう一人、すごく背が高くて、キノコを生やした不思議なお兄さんが立っていた。
心音 「わっ……」
思わず声を漏らすと、俺に気づいたあっとさんが優しく目を細めた。
あっと 「おはよ、心音。よく眠れた?」
?? 「おはよう! 心音くん!」
にしき 「おはよう」
見知らぬお兄さんからの突然の元気な挨拶に俺が困惑していると、その人は「あぁっ!」と声を上げた。
おさでい 「ごめん、まだ自己紹介してなかったね! 俺、おさでいっていいます!」
おさでいさんはそう言って、俺と目線を合わせるように屈んでくれた。
おさでい 「心音くん、すごく綺麗な髪の色だね」
予想もしなかった褒め言葉に、俺はさらにパニックになってしまう。
にしき 「もう。おさでい、心音くんが困ってるじゃん」
おさでい 「わ〜! ごめんごめん!」
あっと 「そろそろ、らお達が来る時間じゃない?」
おさでい 「わー! ほんとだ、下に降りなきゃ! 心音くん、また後でね〜!」
おさでいさんは嵐のようにバタバタと階段を駆け下りていった。
にしき「ごめんで、驚かせちゃって。あいつ、いつもあんな感じなんだ」
あっと 「俺たちも降りるか。心音、朝ごはん食べよう」
心音 「はい……」
階段を降りる手前で、俺は両手のうさぎをそっと元の場所に置いた。
(またね)
心の中で語りかけると、心なしかうさぎも「またね」と微笑んでくれたような気がした。
一階に降りると、そこはすでに賑やかな声で溢れていた。
あっと 「みんな、おはよう」
にしき 「本当に朝早いね、みんなは」
「にっしー、あっとくん、おはよう!」
「おはようございます!」
弾んだ声が聞こえてフロアを覗き込むと、そこにはランドセルを背負った小学生くらいの子どもたちが六人ほど集まっていた。
さらにカウンターの方では、楽しそうに話している二人の姿もある。
そのうちの一人、ふわふわとしたピンク色の髪をした可愛い男の子が、真っ先に俺の姿に気づいて駆け寄ってきた。
みかさ 「おはよう! はじめまして、俺、みかさっていうの!」
心音 「おはよう……? 俺は、心音って言うよ」
相手が小さな子どもだからだろうか。いつもより緊張せずに、すらすらと言葉が出てきた。
みかさ 「なんで疑問形なの? あはは、こっち来なよ!」
みかさくんは俺の手をきゅっと引っ張って、他の子たちの輪へと連れていく。
その途中、カウンターから楽しそうな会話が耳に届いた。
「ぷりっつくん、おはようございます」
「るぅとくん、おはようございます!」
緑色のきれいなグラデーションの髪をした、俺と同い年くらいの制服姿の男の子がぷりっつさん。そして、黄色い髪をした、すごく落ち着いた雰囲気を纏っているのがるぅとさんというみたいだ。
るぅと 「あれ? あっきいは?」
ぷりっつ 「それが、あっきいのやつ珍しく電話に出なくて。多分、がっつり寝坊っすね」
るぅと 「あらら、それは大変ですね」
どうやら『あっきいさん』が寝坊してしまい、今日はぷりっつさん一人で来たらしい。
みかさ 「みんな! この子、心音って言うんだって!」
みかさくんが大きな声で紹介すると、それまでおさでいさんにおんぶされたり、腕に掴まったりしていた子どもたちが、一斉にこちらに押し寄せてきた。
やなと 「心音ね! 俺、やなと!」
ゆた 「僕、ゆた!」
らお「らおっていいます!」
黄色い髪に赤いヘアピンをつけてニコニコしているのがやなとくん。水色の髪にピンクと黒のリボンがよく似合っているのがゆたくん。そして、莉犬さんみたいに可愛い耳がついていて、すごく礼儀正しいのがらおくん。
そこからはもう、嵐のような質問攻めだった。
ゆた 「何色が好きなの?」
やなと 「ダンス好き?」
らお 「ねえねえ、そのピアスかっこいいー!」
俺が圧倒されて返答に困っていると、少し年上らしき二人の男の子が割って入ってくれた。
「もーう! そんなに一気に聞いたら、俺でも答えきれないよ!」
「えへへ」
質問していた三人が、わかりやすいくらいシュンと頭を下げていて、なんだか微笑ましい。
ちぐさ 「俺、ちぐさ!」
けちゃ 「僕、けちゃ」
元気いっぱいに名乗ってくれたちぐさくんは、青と水色が混ざったような綺麗な髪色をしている。もう一人のけちゃくんは、さとみさんみたいなピンクがかった髪色だけど、俺よりも長いくらいの髪を後ろで一本に縛っていた。
「おーい! 小学生組、そろそろ学校へ行く時間だよ!」
カウンターの奥からおさでいさんが声をかけると、みんな一斉に「はーい!」と元気よく返事をした。いそいそとランドセルを背負い直して、みんなで玄関へと向かう。
「またね! しおたん!」
ちぐさくんが振り返って、満面の笑みで大きく手を振ってくれた。
『しおたん』という新しい響きに驚きながらも、俺はそっと手を振り返した。
ころん 「おはよう、心音くん」
いきなり背後から声をかけられて、肩が跳ね上がる。振り返ると、水色髪のころんさんが立っていた。
心音 「あ、おはようございます……」
ころん 「ふふ、朝ごはん食べようね」
今日はカウンターではなく、窓際の温かいテーブル席に案内された。
ころん 「今持ってくるから、そこで待っててね」
遠ざかっていくころんさんの背中を見つめながら、俺の胸の奥には、ほんの少しだけ「楽しみだな」という温かい気持ちが芽生えていた。
コメント
3件
おつかれ〜!第6話読んだよ! 冒頭の「久々に、よく眠れた」って感覚、すごく伝わってきた。安心できる場所があるって大事だよな。にしきさん、あっとさん、おさでいさん、それぞれのキャラの違いがはっきりしてて、にぎやかな朝の空気が目に浮かんだ。 特に小学生組の元気さと、心音が「しおたん」って呼ばれてちょっと照れながらも手を振り返すシーン、じわっと温かくなった。朝ごはん、楽しみにしてるね🔥