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それからさらにしばらくが過ぎたある日だった。
休みの日、コウルとエイリーンは一緒にいた。
「もう、エイリーンが来てから半年くらい経つんだね」
「はい」
「あっちにいた頃は、一緒にこっちでこんなに平和に暮らせるとは思っていなかったよ」
「ふふっ、そうですね」
だが、そんな平和は一瞬で破られることとなる。
次の日のニュースだった。
『臨時ニュースです。突如、手から謎の光を放つ集団が現れ、○○町に多大な被害が……』
「これって……!」
コウルは慌てて隣のエイリーンの家に向かう。
ちょうどエイリーンも家から出てくるところだった。
「ニュース見た!?」
「はい、手から光を放つ集団。あの光は魔力弾でした」
「あっちから、こっちに人がいっぱい来ることなんてあるの?」
「普通はないはずです」
二人は考える。その時だった。
「コ、コウル。空に――!」
エイリーンが指した空。そこには以前見たことがある歪みがあった。いや歪みはもっと大きいものだった。
「歪み……? そんな!?」
その歪みからは次々と人が降りてくる。
「これは一大事です。わたしはエイナール様に事態を報告しに行きます」
エイリーンが走り出す。
「待って! 僕も行くよ!」
二人は一緒に走り出した時だった。
「待て」
突然、二人の行方を集団が遮る。
「な、なんですか、貴方たち!?」
「移動者コウル、そして女神見習いエイリーンだな」
二人は驚く。
「な、何故それを……?」
「知る必要はない。捕らえろ」
集団が二人に迫る。
「くっ……!」
コウルは集団に対抗し殴りかかる。
しかしこちらの世界で魔力が使えないコウルに勝ち目はない。多勢に無勢、すぐに殴られる。
「ぐっ……!」
「コウル!」
二人は捕らえられ、どこかへと連れていかれるのだった。
「っ……いてて」
「大丈夫ですか、コウル?」
「エイリーン……ここは? ……っ!」
二人は実験台のようなものに繋がれていた。
「目が覚めたか」
扉から怪しい仮面の男が入ってくる。
「あなたは誰だ」
「こちらの世界、そして我らの世界の革命者とでも言っておこう」
「革命者……?」
だが、男はコウルを無視すると、逆にこちらに聞いてきた。
「貴様たち二人は、エイナールとこちらの世界を行き来した者。……間違いないな?」
「「……」」
二人は無言を貫く。
すると男は機械のレバーを引いた
「っ! ぐあああっ!?」
「きゃあああっ!?」
二人に突然電撃が走る。
「黙ってもいいことはないぞ。電撃を自ら食らいたいなら別だがね」
「っ……」
「もう一度聞こう。エイナールとこちらの世界を行き来した者。間違いないな?」
二人はうなだれるように頷いた。
#執着攻め
成長痛ガチ膝にくる
「うむ。正直でよろしい。さて……」
男は二人を見ると、機械を動かし始める。
「いてっ」
「きゃっ」
二人を大きな注射のような物が刺す。
「ふふ。これが移動者と、女神の血か。これがあればわが計画はさらに進む!」
男は笑うと。外に出ていくのだった。
「……しびれたあ。好き勝手言って出ていったなあ」
「あの人の目的は一体何なのでしょうね」
二人にはわからない。
だがその頃、外は大変なことになっているとは二人は知る由もなかった。
数日間、二人は繋がれたまま、男に聞かれることを聞かれては寝るを繰り返していた。
そんなある日のことだった。
爆発音がコウルのいた部屋に響く。そして軍隊のような人たちがなだれ込んできた。
「ここです」
「うむ」
二人の前に偉い将と思われる人物がやってくる。
「コウルくん、それにエイリーンさん……だね」
「あ、あなたは?」
「私はゴウト・ミナミ大佐だ」
「大佐……?」
「詳しい話は後でしよう。君たち、早く彼らを解放したまえ」
軍人が、二人を捕らえている枷を外す。
二人は彼らについていく。
そこからの話は大きかった。
歪みを通ってきた集団。通称『異世界軍』とこちらの世界の軍は戦争になっていた。
戦車などの現代機械で対抗する軍に対し、『異世界軍』は魔力を用いた用兵で巧みに仕掛けてくるとのことだった。
「でも、あなたたちはどうして異世界のことを?」
「最初は我々も信じていなかった。だが敵の存在、そして政府の秘密局『異世界局』の存在が我々をこの危機から救った」
「異世界局……」
政治にはそこまで興味がなかったコウルだが、そんなものがあるとは普通思わない。
「それで僕たちは何を?」
「うむ、異世界に行ったことがあるコウルくん、そして異世界人のエイリーンさん。きみたちの協力で奴らを撃退したいのだよ」
二人を乗せた車はそのまま、とある施設に着く。
「ここが異世界局の一拠点だ。入ってくれ」
二人は怪しげな建物に入る。
「よく来たね。コウルくん、エイリーンさん」
そこには白髭の老人が座っていた。
「あなたは?」
「ワシは異世界研究者。『ドクターE』と呼んでくれたまえ」
「ドクターE……」
エイリーンは聞く。
「あなたは何者なんですか?」
「ふむ。まあ簡単に言うと、ワシも異世界に飛んだことがある男というわけじゃよ」
「「えっ!?」」
二人は驚く。
「何を驚くことがある。異世界に飛ぶのが自分ひとりと思っとるわけでもあるまいに」
コウルは思い出す。確かにジンもカーズも、異世界に飛んだ者たちだ。
「そこで異世界について研究して早十数年。今回の事件をきっかけにワシの存在が大きくなったわけじゃよ」
「今回の事件は一体……?」
「うむ。とある異世界の組織でワシのように異世界の研究をしていたものの仕業のようじゃ。奴らはの、コウルくん。君が帰って来た時の歪みと、エイリーンさんが来た移動方を研究し、こちらの世界に侵略してきたようじゃ」
「あの歪みと――」
「わたしの移動方が――」
ドクターEは頷く。
「コウルくんが戻ってきて歪みを閉じたとき、かすかに、ほんのかすかにじゃが隙間があったのじゃ。奴らはこれを利用し、この世界とエイリーンさんの世界に目を付けた」
「な――」
それはつまり自分に責任があるのではと、コウルは感じる。
「そしてエイリーンさんが理由があったとはいえこちらの世界に飛んできたことで、この世界とエイリーンさんの世界、そして奴らの世界に明確な繋ぎを与えてしまった。
「!」
エイリーンも自分に責任があったことに驚く。
「そしてワシじゃ。わしは不覚にも奴らの世界を研究しておった。それが第三の繋ぎ、ワシの責任じゃ」
ドクターEは立ち上がる。
「ワシら三人のせいでこの世界は危機に陥っておる。今こそ責任を取り、奴らを撃退するのが我々の使命じゃ」
「「……はい!」」
二人は頷く。
「でもどうするんですか? 僕はこの世界じゃ向こうのような力は出せませんよ?」
「そこでワシの出番じゃ」
ドクターEは宝石の付いた剣と服をコウルに渡す。その服はコウルがエイナールで着ていた服によく似ていた。
「ワシが開発した宝玉付の服じゃ。その服があれば、お主は異世界と同じように戦えるはずじゃ」
コウルは試しにその服を着てみる。
「お、おおっ!?」
全身に魔力がみなぎるのがわかる。
「エイリーンさんの分は用意できんかった。すまんのう」
「いえ、わたしはエイナール様に会って、この世界でも魔力を使う許可をもらえば!」
「なるほど」
ドクターEは座りなおした。
「すまん。責任を取ると言ってもワシは戦えん。後はきみたち次第じゃ」
「いえ、この服だけで十分です。ありがとうございます!」
コウルとエイリーンは外に出る。
外にはミナミ大佐たちが待っていた。
「終わったかね?」
「はい、あとはエイリーンの力を使う許可だけです」
「それはどこに?」
「コウルたちの学校の近くの神社。あそこに移動場所があります」
「え、あそこに?」
コウルは自分が帰ってきた神社を思い出した。まさかあそこから行けるとは。
「うむ。では乗っていきたまえ。最大速度で送ろう」
大佐は二人を乗せると、すぐさま神社に向かう。
その道中だった。
「排除せよ…排除せよ……」
「むう、こんな所にも来たか!」
「これが……!」
異世界軍の兵士は車に向かって魔力弾を放つ。
「降ろしてください。僕が迎え撃ちます!」
「コウル!」
コウルは車から飛び降り言った。
「エイリーンは今のうちにエイナール様の所へ!」
「わ、わかりました!」
「武運を祈る!」
車はそのまま移動する。
コウルは異世界軍の前に立ちふさがった。
「よくも僕たちの平和を……。許さないぞお前たち!」
コウルは剣を抜き異世界軍に斬りかかっていくのだった。