💙あ~きもちよかった
❤️俺も久しぶりだったけど来てよかった
💙また行こうよ
❤️そうだね
ゆり組の二人が仲良く先を歩いているのを向井は指をくわえて見ている。
サウナで整った後に、三人で向井の家へ向かっている最中なのだが、向井はとぼとぼと後ろを付いて歩いていた。
向井の家に行くというのに、渡辺が宮舘を先導している。
あの二人、お似合いやなあ
向井の中でいじけた心がむくむくと湧いてくる。
身長も同じくらいで、同じ学年。長くシンメで踊っている二人だ。
グループのシンメというのは向井から見ても比較的特別な関係になりやすいと思う。
一緒にステージに立つ回数が増えるし、息が合わないとできない。ましてや二人は幼なじみだ。
そしてこれからもきっと…。
🧡あかん、俺、悪い方悪い方へと考えとる…
頭を搔きむしり、気合を入れ直すと、向井は二人の間に無理やり割り込んだ。
🧡俺を置いてかんといてよ!!!
❤️せっかくだし、みんなで飲まない?
向井の家に着くと宮舘は自分の荷物の中から、ワインを数本取り出した。
重そうな荷物はこのせいだったのかと向井は思う。
❤️康二、キッチン借りるね
宮舘はそう言い、併せて持ってきた食材をおもむろに調理し始めた。
それを見て向井も負けじと腕まくりをする。
🧡俺もやる!!!
料理が得意な二人が、争うようにキッチンに立つ。
二人とも渡辺にいい所を見せたいのだ。
当の渡辺はと言えば、興味があるのかないのか、ソファでくつろいでテレビを見始めている。
宮舘と向井は互いに横目で監視しながら、さながら料理対決の様相を呈していた。
宮舘の料理は洋風、向井の料理は多国籍風。
品数も競っているのか、取り掛かる品数が相手の料理を見ては増えていく。
黙々と真剣に料理をしている二人に、テレビを見たまま顔も上げずに渡辺が言った。
💙なんでもいいけど早くしてね。俺、眠くなってきちゃったから
この一言で二人の作業のスピードが一気に上がった。
🧡舘さん分かりやすいな
❤️康二もな
二人は不敵に微笑み合う。
それから30分ほどしてほぼ同時に料理が完成した。
❤️翔太、できたよ
🧡俺もできた。しょっぴーもこっち来てや
💙今行く
テレビが大して面白くなかったのか、待ちくたびれて退屈そうにしていた渡辺も、少し前から部屋中に漂ういい匂いにだんだんと食欲をそそられたようだ。
所狭しと色とりどりの料理が並んだテーブルに着く。
💙おお。美味そうじゃん
宮舘がワインを注ぐ。さながら本業のソムリエのような優雅な動きだ。
向井は思わず見惚れてしまうが、それではいけないと思い直す。
料理は俺の方が絶対に口に合うはずや!
向井は渡辺が過去に美味しいと喜んでくれた記憶を頼りに料理を作ったので自信がある。
❤️では、まずは飲みやすい軽めの白ワインをどうぞ
💙もうお店じゃん!(笑)
渡辺が手を叩いて喜んでいる。
三人でグラスを合わせて乾杯した。
前菜は宮舘特製のカルパッチョと向井特製のソムタムサラダ。
渡辺はどっちも美味しいと喜んで食べている。
向井もそんな渡辺の反応に安心して、自分たちの力作に手を伸ばした。
🧡やっぱり舘さん、料理美味いわ…
❤️康二の作ったのも美味しいよ
どちらの料理も甲乙つけがたく味は良いが、宮舘の料理は流石に番組を単独でやっているだけあり、見た目も華やかで、食材も高級品ばかりだった。
今度渡辺が来る時には冷蔵庫をもっと充実させよう、と向井は密かに心に誓う。
美味い料理に話も弾んで和やかに食事は進み、メインの肉料理や魚料理になった頃、酒は重めの赤ワインに切り替わる。
宮舘が新しいグラスに2本目のワインを注ぎ始めた。
💙あ~。俺はもう無理。水でいいわ
❤️了解。康二はどうする?
🧡俺はまだ全然酔ってへん!!
向井は宮舘に張り合い、グラスを差し出した。
実はかなり酔っているのに、今日の向井はワインをどんどん煽っている。宮舘のペースに合わせて、いやそれよりも早いペースでグラスを空にしていた。
一方の宮舘はまだまだ序の口なのか、涼しい顔をしてワインを楽しんでいる。
💙康二、ほんとに大丈夫か?
🧡だいじょうぶ、だいじょうぶや…
❤️全然大丈夫じゃないじゃん(笑)
💙もうやめとけ
🧡あかん、もっと飲む!!!
呂律が怪しくなって来た向井に宮舘が苦笑し、見兼ねた渡辺が向井からグラスを取り上げようとした時だった。
💙🧡❤️あっっ!!!
🧡つめた……っ
グラスを取り上げられるのを嫌がった向井が、グラスいっぱいのワインを思い切り頭から被ってしまったのだった。
着ていたTシャツが真っ赤に染まっている。
髪の毛からもワインがボタボタと滴っている。
💙あーあ。
❤️頭洗ってきたら?そのままだと風邪ひくよ、臭いもつくし
ワインの冷たい感触に、向井も冷静さを取り戻した。
🧡…せやんな…家でよかったわ…俺ちょっとシャワー浴びてくる…
💙ついでにしっかり酔いを覚まして来い
向井はテーブルを立って、ふらつく足でバスルームへ向かった。
目の端に零れたワインの後始末を二人でしてくれているのが見える。
…情けない。
今夜決めると意気込んでいたのにこの体たらく。
酒豪の宮舘にむきになって酒でも勝負を挑んで返り討ちに遭い、却って渡辺にカッコ悪いところを見せてしまった。
向井は肩を落とした。
熱いシャワーを浴びながら、向井はますます落ち込んでいる。
渡辺にいいところを見せるどころか空回りばかり。
それに引き換え宮舘は振る舞いも大人だし、もともと物静かなのでバカなことも言わない。
向井はそんなことをぐるぐる考えている。
🧡俺もう絶対負けるやん…
こんなことなら目黒も誘えばよかったと向井は後悔した。
目黒がいたらもっとうまくいった気がする。
🧡あーもう!!!ぐだぐだ考えてもしゃーない。切り替えよ!!!
身体を拭き、髪を乾かして、ついでに歯も磨いて、スッキリした頭で二人のところへ戻る。
🧡二人ともごめんなー!
空元気でリビングへと続くドアを勢いよく開けた瞬間。
向井は自分の目を疑った。
🧡嘘やろ……
向井の目の前で宮舘と渡辺がキスをしていた。
コメント
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すごい展開!!気になりすぎる🫣
えっ!! どーなってしまうのっ!! 続きがぁーー気になりすぎる😍 お互いの料理褒めるのさすがっ!
………ぐぇ!?なんだその展開! えぇと…とりあえず愛されしょっぴー可愛い💙