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💙なに、すんだよ……っ!!



渡辺は勢いよく、宮舘を突き飛ばした。

よろけて宮舘がテーブルにぶつかり、グラスがひとつ落ちて割れた。



💙俺、もう帰る



怒った渡辺は宮舘を押しのけて、玄関へ向かう。

その途中で向井と目が合った。



🧡しょっぴー…


💙ごめんな、康二、片付けないで。俺、悪いけど帰るわ



渡辺は視線を伏せて、気まずそうに出て行った。



🧡おっまえ、何してくれてんねん!!!



向井は頭に血が上って、思わず宮舘の胸倉を掴んだ。

青白い顔をした宮舘は抵抗せず黙ったまま向井を見返している。



❤️殴らないのか


🧡…顔に傷つけるわけにいかんやん…



向井はどうしたらいいか分からずに、振り上げた拳をゆっくりと下ろした。

宮舘は向井の手を自分から引き剥がした。



❤️……今日は、俺も帰る



それだけ言うと、宮舘も何も言わずに帰って行った。


一人取り残された向井はわけがわからない。

目の前で起きた出来事の意味が分からないし、二人に聞くこともできなかった。

怒りと悲しみが同時に向井の胸に去来していて、向井は考えること自体を放棄した。



🧡片付けてけよ



床に散らばったグラスをのろのろと片付ける。



🧡…っつう……



そして、かがんで拾おうとしたグラスの破片で自分の指を切った。赤い血が流れる。

じんじんする指先のこの傷の痛みだけが、これが夢ではないことを示していた。







ダンスの全体練習の日。



宮舘と渡辺のダンスが揃って精彩を欠き、始まってからずっと岩本の機嫌が悪い。

二人の様子に気を取られた向井もやる気がないのかと何度か注意を受けている。

ちっとも進まない練習に、他のメンバーも異変を感じたようだった。



💛おい、舘さんと翔太!ちょっと来い!



とうとう二人は岩本に別室に呼び出された。

深澤も後を追う。

残されたメンバーは自然と休憩時間になった。

向井は目黒にあの夜のことをこっそり説明した。



🧡俺、どうしたらいいのかわからん…


🖤そんなことがあったんだ


🧡おかげで俺の告白もパーや。何も伝えられへんかった


🖤それは災難だったね


🧡邪魔されたんは悔しいけど…でも、俺あの二人が仲悪くなるのは嫌や


🖤康二は優しいんだね



目黒は向井の頭を撫でる。

向井は目黒の優しい言葉に思わず泣きそうになり、目黒に抱き着いた。


渡辺と付き合いたい。


向井の胸に秘めた想いに偽りも変化もない。むしろ、宮舘というライバルがはっきりしたことで、向井はますます渡辺を求めるようになっていた。

でも あの夜、辛そうにしていた二人を向井は放っておくことができない。


しばらくすると、岩本と深澤と宮舘が戻って来た。 渡辺は頭痛を訴えて先に帰ってしまったという。

宮舘は暗い顔で練習に戻るが、一向にパフォーマンスが上がらない。二人のことを気にしてか、宮舘以外のメンバーも息が合わなくなってきた。



💛こんなんじゃ練習にならない。今日はもう終わりにしよう



岩本は苛立ちを隠さずにそう吐き捨てると、今日の練習は予定よりも大分早く終了した。





帰り道。

向井は渡辺に電話を掛けた。

長くコール音が続いて、諦めかけた時、携帯から弱々しい渡辺の声がした。



💙もしもし…


🧡しょっぴー?


💙うん


🧡大丈夫か?


💙……どうして?


🧡頭痛いって照兄に聞いて心配になって電話した


💙……すごく痛い


🧡…そっち行こうか?


💙…………



しばらく沈黙が続く。

体調が悪いというのに強引だっただろうか。

向井がそう反省し始めた時、渡辺が言った。



💙じゃあ、来てくれる?


🧡ええの!?


💙康二が来てくれるって言ったんじゃないか


🧡そうやった(笑)断られるかと思ってたから嬉しい!



向井は嬉しくなって思わず大きな声になる。



💙…じゃあ待ってるね



向井はハンドルを切りUターンすると、意気揚々と渡辺の家へと向かった。





ほどなくして渡辺の家に到着し、向井は目指す部屋番号のインターフォンを鳴らす。

客が向井だと分かると、カメラの向こうの渡辺は何も言わずに、マンションの入り口が開いた。



💙早かったね


🧡飛ばしてきた



向井はにっこりと笑う。渡辺は弱々しく笑い返した。



💙頭痛くて辛いから、寝ててもいい?


🧡もちろんや!


💙俺、康二には迷惑ばっかりかけてる


🧡そんなことあらへん。しょっぴーに頼られるんは嬉しいよ



向井は大真面目に言う。

渡辺はそれには何も答えずに、黙ってベッドに腰掛けた。

そしてそのまま、こてん、と横になった。



🧡あ!何か買って来ようか?薬とか


💙いい。ここにいて



渡辺は終始言葉少なで、向井は自分を持て余している。

渡辺はずっと元気がない。顔色も悪い。いつも白い肌が、白を通り越して今日は青白く見える。頭も大分痛むようだ。

何か力になりたくて来たのに、向井には何もできることがない。

向井が次第に居心地の悪さを感じ始めた時だった。



💙康二はさ、好きな人はいないの?



渡辺がいきなり聞いてきた。



🧡えっ


💙……



渡辺の目は真剣に向井を捉えている。

向井は言葉に詰まった。



💙…いるんだね


🧡……うん、おる


💙そっか


🧡うん…



今、渡辺に好きだと言うべきなんだろうか?

向井は何が正解か分からずに、戸惑ったままでいた。気持ちを打ち明けるべきなのか分からない。今がそんな場合なのかも分からない。



💙俺もいるんだよね、好きな人


🧡えっ


💙えっ、しか言わないじゃん(笑)


🧡えっ、しか出てこーへん…(笑)



渡辺は笑い、そのせいでまた頭痛がしたのか、顔をしかめた。



🧡なんでそんな話するん?


💙さあ、なんでだろ



渡辺はじっと考えて、言った。



💙頭が痛いからかな。ちょっと康二に甘えたくなっちゃったのかも…



向井は急にどうしようもなく胸が苦しくなって、立ち上がった。

渡辺がいつもより一段と可愛く見える。

ベッドの上で弱々しく横たわっている渡辺の身体は細くて、華奢で、儚くて、向井は心から渡辺を守ってやりたいと思った。

心なしか向井を見る目が潤んでいるような気がした。

好きな気持ちが溢れそうになる。


あかん、我慢できなくなる…。



🧡俺、やっぱり薬買ってくる!!!



向井は渡辺の返事を待たず、慌てて渡辺の部屋を飛び出した。

ずっと隣りにおりたい

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コメント

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あとであと書き書きます。 今日はここまで🧡💙 康二は優しいよね😌✨よかったら感想を書いていってください🙇‍♂️

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