「翔太、言い方!」
撮影中、阿部が渡辺に突っ込んでいる…
向井に全て話して、少しだけ心に余裕が出来たのか
少しずつ、渡辺は隠していた素を皆んなの前で見せ始めた…
鋭いツッコミを、タイミング良く繰り出し
独特の笑い方で、爆笑する…
テレビではそれが、裏表が無い5歳児と評判を呼び…
世間には好評な様だ
「なんなん、あれ…」
反対に向井は、機嫌が悪い
今は自分にだけ見せてくれていた素の姿を…他の人間にも見せているという事実に納得が出来ない
「全部、俺だけのモノやったのに…」
モヤモヤする胸の内…
「何やの…これ?」
自分の感情が理解出来ずに、胸に手を当てて難しそうな顔をしていると…
「康二〜!何してるの?」
渡辺に声を掛けられ、手招きされる
「!」
たったそれだけの事で…単純な自分は嬉しくなってしまうのだ…
「まぁ良いか」
呼ばれてすぐに、走り寄る
「お前は、犬か?」
メンバーに突っ込まれながらも渡辺に抱き付き、着いていない筈の尻尾を振る
「しょっぴー!好きやで!」
思いの丈を告白すると
「はいはい、分かった分かった」
意外にアッサリ返された
『とりあえず今は、このままで良いか…』
今はまだ、あの笑顔の届く場所に…彼の近くに居続けられれば良いと
素直にそう思い、目を細めた
第1章【完】
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