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東の果て、辺境の地にある小さな村「レイヴ村」。 深い森と険しい山に囲まれ、外の世界とはほとんど交流がないこの地で、一人の少年が暮らしていた。
名はリューカ・ヴェルシュ。17歳。 幼い頃に両親を亡くし、村の鍛冶屋である老職人ガラムに育てられてきた。 彼は剣を鍛えることに並外れた興味を持ち、日々、火を焚き、鉄を打っていた。
だが、その平穏な日々は突如として破られる。
ある晩、リューカは村の裏山にある古代遺跡で、不思議な声に導かれる夢を見る。
「我を……見つけよ。炎の中に眠る、我が名は——」
翌朝、夢に突き動かされるように、リューカは裏山へと向かった。 立ち入り禁止とされていた洞窟の奥、古びた祭壇の上に、それはあった。
赤黒く燃える刃——封炎の魔剣《イグナリア》。
リューカがその柄に手をかけた瞬間、世界が弾けるように光を放った。
意識を失いかける彼の耳に、確かに届いた声があった。
「選ばれし者よ……この力、お前に託す」
その夜、村が何者かに襲われる。黒装束の男たちは「その剣を差し出せ」と言い、無慈悲に村を焼いた。
絶望の中、リューカは初めて魔剣を振るう。炎が暴走し、敵も味方も呑み込むように燃え上がった。
——全てを焼き尽くす力。
炎の中で立ち尽くすリューカの前に、フードを被った少女が現れる。
「あなた……その剣を使いこなせるの?」
彼女の名はセリナ・アルフェルド。 帝都から来た魔導士であり、魔剣を追ってこの村に現れたという。
「その剣は、封印されていたはず……何があったの?」
リューカの旅が、ここに始まる。 魔剣を巡る戦い、己の運命との対峙が、静かに幕を開けた。