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5 - 第5話 サイド キリ

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2022年03月26日

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サイド キリ


私がモンダイジ団に入って一週間、この拠点でお世話になって気づいたことがある。

まず、この家、(キノの家らしいけど、ルネ以外ここで暮らしている。)普通の家にはない隠し部屋や隠し扉がかなりある。

キノ曰く、ルネが作ってくれたらしい。

それから、スマホ。太陽光で充電する必要無し。(これもルネとマオが協力して作ったらしい。)

……え、ありえないよね?それとも、最近の高校生ってそんなもん?(作者注※そんなことはありません。)

最後に、未成年だけで暮らしていること。

やっぱりこの団は変わっているな。


「マオ、大変!!」

ある日、まだ空が薄暗く気温が低い早朝に、タエが2階から階段を駆け下りてきた。

ふだんおとなしいタエが大きな声で叫んだので、私も何事かと慌てて声が聞こえたリビングへと急ぐ。

「ニュースの速報!音楽クリエイターのトキが誘拐されたかもしれないって!!」

『ええっ?!』

トキ。その名前は私も知っていた。

18歳という年でありながら、この世界の闇を真っ直ぐに捉えた歌を一人で作って歌った天才。

その歌声で多くの人を魅了している。

私も苦しくなったとき、何度もトキの曲に救われた。

そのトキが……誘拐された?!

ガタッと大きな音を立てて、マオが椅子から立ち上がった。

そして、一直線に玄関へ向かう。

「お、おいマオ!どこ行くんだ?!トキのいる場所なんて分からないだろ?!」

慌ててキノがマオの腕を掴んだ。

「落ち着きなよ。マオが苛立つのもわかるけど、まずは手がかりを探すのが先でしょ?」

「っ……」

ルネが静かにマオを諭す。

ばっとキノの手を振り払うとソファに座って頭に手を当てた。


「ね、ねぇ。マオってトキとどんな関係なの?」

マオの取り乱し方は、尋常じゃなかった。

私は気になって、こっそりとタエに聞いた。

「マオはね、トキの大ファンなの。トキの歌がなかったら今頃自分は死んでたって言ってたくらいに」

「だから俺は絶対にトキを助けたいんだ」

マオがそう言ってパソコンを開いた。

ってか、聞いてたんだ。いや、別に隠すことでもないんだろうけど……。

「頭、冴えた?」

「ああ、今ならどんな手がかりも見逃さない」

そう言ってマオは高速でパソコンのキーボードを叩きだした。



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