私は昔から不気味な子だった。小さい頃から人とのコミュニケーションを取らず隅の方で本を読んでいる、それが人から見た私の像。幼稚園の頃同年代の女の子が私にこう言った。
「何で貴方は遊ばないの?」
遊ばないの。私はまずそう思った。私はあんまり人と一緒に居るのは好きではない。私からしたら隅で本でも読んでたほうが楽しい。そんな私に愛想が尽きたのか両親でさえ、最近は私に話しかけなくなったけど。それでも本は買ってくれたし、食事もくれる。それだけで十分だ。そう思っていた。小学校の時、同級生から虐められた。理由はよくわからないが私が気に食わないそうだ。特に気にしないけども。そんな日々が続きながらも私は中学校に入学した。初めてのテストの結果。200人中、46位。普通。本当に普通。赤点もその後とる事は無かったし、すんなり公立高校に入る事が出来た。で、ここからが本番。本当にここでは波乱万丈な日々を過ごした。まず、虐めのアップグレード。いままでやられてもゴミ箱に持ち物ポイだったのがまさかの校舎裏に呼び出されて写真とられそうになったり、本を破かれたりなどその他多数。地味にあれは効いた。やっとの事で買えた新刊をベリッべリに破かれたり何て殺してやろうかと思ったぐらいには。後は女子以外の生徒の態度かな?今まではかなり扱いが酷かったけど今は男子とかは普通に接してくれる。そういう光景を見てすっ飛んできたいじめ子さん方も勿論ついてきて居るけどね。許容範囲内と言うことにしておこう。
「なによ、これ。ぷっ、あっははは!あんたこんな古臭い本ばっか読んでるから話について行けないんじゃない?ほんと、バッカじゃないの?」
前言撤回。返せ、このチンチクリン目が。だから今どきのJKは教育が悪いったらありゃしない。私が手を伸ばし本を奪い返そうとする様を見て筆頭イジメ子さんの……えっと、確か、そう、相原さんがニヤける。君せっかくの美人なんだからその笑いはやめたほうがいいよ。
「ぷっ、ほんとバッ、ぶっ!?」
相原さんのおでこに私のストック文の本が炸裂する。え、お前なにしたかって?いや、たまたま本を投げたい気分で投げたらその先に相原さんが居ただけなんです。事故なんです。
「キャーっ!瑠美!?」
「ゆ、夢原さん!大丈夫!?」
あ、相原さんじゃ無かったのね。ごめんちょ。相…夢原さん、君の事は忘れない!
「っ〜!あんた!よくもやってくれたわね!こんな古臭い本なんて!」
新名夢原さんは私の本を…って、えぇ!?
「…瑠美、それしたら流石に。」
時既に遅し。本はビリビリに破かれた。ワッツ?これ、昨日買ったばっかりなんですけど?どうしてくれるんねん!
「ふん!」
ふん!じゃ無いよ!だからあれだけ物は大切にしなさいって……言ってないか。これが私の日常。え?案外楽しそうじゃんって?解せぬ!そんな高校生活を送っていた頃それはおきた。放課後、掃除当番は箒を持ち床をはわいていた。人数は多分7人ほど。その中には私といじめ子さんも含まれていた。私達の他にも東雲さん、安倍さん、中園さん、近藤さん、宮之原さんが居る。多分、もっと居るんだろうがサボってるな、あいつら。解せぬ。
「あーあ、こんなのやってらんないわ。」
ここにも一人。解せぬ。
「夢原さん、やらないと終わらないよ。少しは手を動かしたらどうかな?」
「何よ、優踏生ぶって。いいわよね、東雲はプライドが無くて。」
「プライドがどうとか言ってるけど、そーゆー瑠美はプライドあるの?無いでしょ?」
「な、何よ!咲穂は口挟まないで!」
いいから手ぇ、動かせや!早くせんと家に帰ってゲームが出来ん!ん?何?君は本が好きじゃなかったのって?いや、本も好きだけどやっぱ時代はゲームっすわ。
「おい、お前等。無駄口叩いてないで早くやれよ。先生に言いつけるぞ。」
「うわ、今どき先生に言いつけるって古臭いわー。」
「ああ言えばこう言うな、お前。」
いつものような光景。まあ、空気同然の私はいいんだけどね。私が箒を掃除箱に戻そうとしたとき隣に居た同級生と目が合う。彼女は宮之原早苗。いつも虚ろな目をしてて友達と喋ってる姿も見たことがない。授業のときもずっと、下を向いたままだ。皆は影でそんな不気味な彼女をホラ苗などと呼んでいる。因みに私は怖子って、呼ばれてます。やったー、私達人気者だー。
「何よ。」
「何も。」
自分で言うのもあれだが珍しく私が返事を返す。いや、なんかさ、見てたの私だし?そんぐらいは言わなきゃ、ねえ?
「ふーん、あっそ。」
宮之原さんはそれだけ残し箒を片付ける。後に続いて私も箒を片付けようとした時、いじめ子さんの悲鳴が聞こえてきた。振り向くとそこにあったのは血溜まり。と、白い服の女の人。
「な、何なのよ!あんた達は!?」
「中園さん!大丈夫!?」
「に、逃げようよ!」
そんな慌てふためく生徒達を横に女の人は私に近づく…私?
「あ」
次の瞬間視界に血しぶきが映る。
あ、終わった___
神よ、何で……私だって、物語のような人生を送りたかっただけなんだ。………ああ、これが私の終わりか。
嫌だ。私はまだ生きていたかったのよ。なのに、何で私の思い通りにならないの?やめてよ、来ないで、もう私をいじめないで。
貴方は……こんな事をして良いと思っているのか?ああ、神何て信じるんじゃ無かった。
俺はまだ生きたいんだ!何だよ!何で勇者の俺がこんな目にあわな……
君達も俺たちと同じ何だろ?なら何の不満があるって言うんだよ、やめろよ。もうやめてくれよ……
「私は貴方とは違う。」
時空が歪んだような歪な空間で私は呟く。そんな彼女の呟きに返答は無い。しかしそれでも彼女は語る。
「この世界は違うの。いつだってくだらないことで戦争してくだらない事にいちゃもんつけて、喧嘩して殺し合って、それでもバカだから殴り続けるの。でもね、そんな腐った世界でも見つけたんでしょ?私も同じ。だからこそこの世界は腐ってる。どうしょうもないほどに愛おしい。私はだから進むの。貴方は、どうする?私を殺す?憎む?恨む?」
「……誰がそんなんするか、面倒くさい。」
今度こそ返答があった。その返答の主へと彼女は目を向ける。
「じゃあ、どうする?」
彼女は問う。
「__________」
ここは一つの世界。何の不純物も混じっていない純粋な世界。その世界に不純物が入り込む。それは魂か、肉体か、それか力か。それでも足掻く。足掻いて足掻いてよじ登る。そして__
コメント
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うむむ、私の順位がそのぐらいだから妥当かなと思ったんですけど。でもそんな有名な学校ってわけでも無い平均学校って、設定なので!多分、きっと、おそらく。
よし、今からちょっといじめっ子たちを消してきます。 ていうか、200人中の40位は普通じゃないんよ……。