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誰かを助けようとしている仲村の映像は見ていない…。
ふと顔を上げ横を向くと仲村の顔が、すぐ目の前にあった。
あと数センチの所に仲村の顔と、茶色かかったサラサラの髪がある。
それに唇…‥
「紺野くん、どお思っ‥」
「んっ…」
「んんっ…」
仲村が突然振り向いた為、唇と唇が触れてしまった。
どれくらいの時間、唇を重ねていただろう…。
ほんの数秒という時間だったけど、もの凄く長く感じられた…。
僕も仲村も何故か慌てる事もなく、ゆっくりと唇を離した。
周りを見渡したが、誰にも見られていなかった。
良かった…。
そして2人は、何事もなかったように自分の席に着いた。
「仲村、これっ」
僕は、持っていたスマホを返した。
「うっ‥うん」
仲村は顔を赤くし、恥ずかしそうに受け取った。
…その日の放課後
僕は、いつもの場所で亜季ちゃんを待っていた。
いつもなら、来ていてもおかしくない時間なのに、一向に現れる気配がない。
僕は、スマホ を取り出しメールを送った。
《いつもの場所で待ってるんだけど、どうしたの?》
すると直ぐに返信がきた。
《用事があるので先に帰って下さい》
どうやらまだ怒ってるみたいだ。
でも、どうしてここまで怒るのだろう?
確かに僕と亜季ちゃんは付き合ってるとは言えない。
告白もしていない状態だから、曖昧な関係である事は言うまでもない。
でも、それは今まで亜季ちゃんに上手くかわされてきたからだ。
僕はいつもチャンスがあれば告白して交際を申し込もうとしていた。
そんな時に限って、用事が出来たとか何かしらの言い訳をつけて、その場を逃れていった。
たぶん亜季ちゃんは、僕のそんな感情を察知し、告白させる隙を与えないようにしてきたに違いない。
つまり亜季ちゃんには僕と付き合う気持ちなどなかったのかもしれない…。
だったら何で僕たちはいつも一緒にいたんだろう?
訳がわからない…。
気付いたら亜季ちゃんに電話をしていた。
すると、ワンコールするかしないかぐらいで電話に出た。
『怒ってるなら怒ってるって言ってよ』
『どうして私が怒らなくちゃいけないんですか?』
『無理矢理キスしたから…』