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律は一歩前に出て、泰三を真っ直ぐに見据えた。
「失礼を承知で申し上げます」
低く落ち着いた声が、広い会長室に響く。
「桜坂さんは、“財閥の娘だから”という理由だけで見られることが多いかもしれません。
ですが、俺は違います。彼女をそばで見てきたから分かるんです」
泰三の目が細められる。
律は怯まず、続けた。
「失敗して、何度も叱られて、それでも諦めずに前を向く。
誰かの役に立ちたいって、必死に努力する姿を、俺はこの目で見てきました。
……桜坂華は、立派に“ひとりの人間”として成長しています」
静寂が訪れる。
泰三の鋭い視線を真正面から受け止めながら