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160 - 第7章 揺れる立場と現実 第160話

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2025年09月11日

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律は一歩前に出て、泰三を真っ直ぐに見据えた。


「失礼を承知で申し上げます」


低く落ち着いた声が、広い会長室に響く。


「桜坂さんは、“財閥の娘だから”という理由だけで見られることが多いかもしれません。

ですが、俺は違います。彼女をそばで見てきたから分かるんです」


泰三の目が細められる。

律は怯まず、続けた。


「失敗して、何度も叱られて、それでも諦めずに前を向く。

誰かの役に立ちたいって、必死に努力する姿を、俺はこの目で見てきました。

……桜坂華は、立派に“ひとりの人間”として成長しています」


静寂が訪れる。

泰三の鋭い視線を真正面から受け止めながら

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