テラーノベル
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潤がフジノ商事から折り紙まで送ってくれたので、もうすぐ先生に会える。
店の前に立つと、様々な記憶が蘇った。
先生が僕を見つけてくれて声をかけてくれたから、今日まで生きながらえることができたのだ。先生は僕が単に気まぐれで結婚したとか、女性除けで結婚したと思っているみたいだけれど、そうじゃない。僕は先生と結婚したくて、結婚したくて、しょうがなかった。
だって結婚したら、一生一緒にいられるもん。
僕だけの佑里香先生になってくれるから。
だけどベタ重の愛を先生にぶつけたら、きっと嫌われてしまう。百戦錬磨の潤が言うんだから間違いない。もっとスマートに僕を好きになってもらい、きちんとした夫婦の形になるまでは、想いを伝えることは我慢しなきゃ。
でも、どうしたらいいんだろう。
先生を死ぬほど愛しているというこの気持ちを、
もっと軽薄に伝えなきゃいけないなんて、できるのかな――
やっぱり恋愛は難しい。手探りで正解を探すしかないだろう。実践あるのみか。
店の戸に手をかけたところで違和感を感じた。いつもこの店は繁盛していたが、どうにも空気が重い。温かな人情味が溢れる空気だったはずなのに、どんよりしている。それは中に入ってすぐにわかった。
「おい早く持って来いよコラア」
「おせーんだよ、客を待たせんなッ」
「クソ暇な店なのに料理も満足に提供できない最低店だな」
中央の4人掛けテーブルを陣取り、強面のやくざみたいな男たちが3人揃って声を荒げていた。他に客はいない。
「マックン・ドナルドなんて、注文してすぐ料理でてくっぞ~」
「待ってる間にビール頼むからよぉ、ちょっと姉ちゃん、相手してくれ」
「オラ来いや」
……なるほど。こいつらのせいだな。折り紙の害になっている奴らは。
僕の愛する佑里香先生に暴言吐いたり、傷つけたり、折り紙を陥れようなんて…。ぜったいにゆるさない!
彼らの前に姿を見せてから声をかけた。「ここは食堂ですよ。彼女に絡むのは止めていただけますか」
「あぁ、なんだお前」
「彼女の夫ですがなにか」
「夫ぉ?」下品な笑いを浮かべられた。「こんな年下のガキみたいなのが夫なんて、笑わせる」
「笑いたければ笑えばいい。名誉毀損、恐喝、営業妨害、あなたたちの罪はいろいろありますね。覚悟しておいてください」
「あぁなんつったお前」
「シメるぞコラ」
「ガキはすっこんで……」
「そのガキの妻や店に手出してみろ! 地獄の果てまで追いかけてやるからな! 警察呼んだから署でしっかり話し合いだ!! なんなら今すぐ法廷で争うか?」
一喝して警察や法廷を臭わせた途端、奴らの顔色がさっと変わって「ちくしょうが」と捨て台詞を吐きながら帰って行った。
早急に弁護士立てて、先生に護衛付けなきゃ!!
後で潤に連絡しよ。
「睦月君ッッ」
先生が飛んできてくれた。「大丈夫だった? けがはない?」
「先生こそ大丈夫? 僕は平気だよ。あんな小物どうってことない」
「で、でもっ、睦月君になにかあったら……」
「昔、僕のアパートに借金取りに来ていた首まで墨が入っていたヤツとか、顔に傷入っていたヤツとかの方がよっぽど怖いよ」
「そ、そういう問題じゃなくて……」
「いいから。それより先生、怖かったでしょ。もう大丈夫だよ」
僕はどさくさに紛れて彼女をぐっと抱き寄せた。「これからは僕が守ってあげるからね」
どこの誰だか知らないけれど、先生を傷つける奴らは許さない!
佑里香先生も、折り紙も、僕が命を懸けて守ってみせるよ――
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