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「構いませんよ。犯人はもう目の前に居るんですから。」
動揺を隠し難い顔をしていた。彼の額に汗が伝い、眉間に皺を寄せる。
「俺…とでも言いたげな顔やな。話だけは聞いたるわ。」
彼は笑っているが、手が震えている。
「まず貴方は、例の黒い手紙を貰い毒の瓶を至急される。だが、内容が内容なだけあり貴方は驚き、手に力を込めてしまい、切れ端が破けてしまったんじゃないですか?推測ですが。」
そう言うと彼はニヤつき、鼻で笑った。
「推測やて?例の手紙は見つかったんか知らんけど、んな事なんで分かんねん。」
私は持っていた袋から黒い紙の切れ端を取り出し、栄太に見せる。栄太はまた眉間に皺を寄せる。
「これ、貴方の部屋から見つけました。」
「だ、だからって内容が書いてる手紙自体は見つかったんかいな。」
頭をポリポリ掻き毟る彼を横目で見ながら再度袋から紙を取り出す。
「昨日の朝、最初に起きて遺体を発見したのは貴方らしいわね?」
そう言うと、栄太は舌打ちして
「だから何やねん?遺体に手紙突っ込んだって言いたいんか?」
「ええ?突っ込んだんですか?」
「?」
私がそう言うと、栄太は「はぁ?」と言いながらキョトンとした顔で睨み続ける。
「これ。」
手紙を突き出す。
それを見た瞬間、彼はギョッとした顔で青ざめる。
「この黒い手紙、ぐっちゃぐちゃになってますよね?体内の血を結構吸っちゃったみたいです。」
「お前、切開したんかっ?!サイコ過ぎるやろ!」
私に指を指し青ざめた顔で叫ぶ。
「サイコ?サイコパスって事ですか?私まだ突っ込んであったなんて1度も言ってない上、『切開した』なんて言いました?」
栄太は視線を床に落とす。
「加奈子ちゃんもどっこいどっこいなのであまり言いたい訳ではありませんが、この手紙があった辺りは臓器が荒れていました。遺体にこんなものを強引に入れた上、人まで殺すなんて鬼畜の所業。否、悪魔とも呼べますよ?」
『ん〜?ん〜?って事はぁ?栄太君がぁ殺人鬼ぃ?』
「はい、そうですね。」
そう言い終わると大声で栄太は叫んだ。
涙をホロホロと流し、苦しい顔をして崩れ落ちた。
「俺は生きて帰りたいんだぁ……。まだ死にたくなかったんだよぉぉ……。」
するとAliceが口を開いた。
『ねぇ、話は済んだぁ?』
「は?」
涙でぐしゃぐしゃになった顔で振り向き、呼吸と一緒に声が出る栄太。
「貴方…、本当になんなの?空気読めないのか、ただの馬鹿なのかどっちなの?」
『えぇ〜??』
高い声が、いきなり低く変わりこう答えた。
『悪魔だよぉ?』
「……は?」
『言ってたでしょ?第1ゲームでARIA君は君たちになんて言ったっけ?』
確か彼は神様の元で働く天使とか何とか言っていた気がする…。
『私はぁ、ARIA君のぉ悪いばぁじょぉ〜ん。』
気持ち悪い喋り方に毎度毎度腹が立つ。
『それより早く判決を決めようよォ?栄太くんで良いんだよねぇ?』
「……ええ。」
彼が叫び続けていると陽気な音がスピーカーから流れる。
「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
10話に続く