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ある日、自室にノックが聞こえた。
「蝶使。」
この声はリーダーらしき人間の声だった。
こう言うことはこの一ヶ月間頻繁に起こっていた。
私に口裏を合わせてほしい事全てを報告にくる人間がちらほらいるのだ。
全部メモに纏めているので忘れることはない、安心してほしい。
「…入って大丈夫よー」
扉を開けて入ってきたのはやはりリーダー男だった。
「どしたー?」
座っていた私の前に席があったからか、そこに座りだした。
うわぁ…長くなる話か?
私はメモ帳を用意しようとすると必要ないと一蹴りされた。
じゃあなんの話だ…?と思いながら彼の言葉を待った
「なんで何も言わないんだ。」
「…え?なんの話?」
だが、彼の回答は返事にはなり得無かった。
増える頭の中の疑問に彼は気づいたらしく説明をし始めた。
「俺達の起こしている事件、とっくに苦情は出てる筈だ。」
苦情、そう言われていつの日にか来た警官を思い出した。
…つまり事件があって、それについて言及しないことを不思議に思った訳だ。
ふーーーーん。
私は犯罪に走った彼らに感情を覚えはしなかったが、だが完全犯罪出来なかった彼らに怒りを覚えた。
「…自分のせいだとバレるのはわかってて起こした事件なんだ、そこは許せないなぁ」
睨みを聞かせてリーダー男を睨むと彼は困った顔をした。
…まぁ故意ではない…よな?と思いながら許す体制にシフトチェンジした。
「でも、いいんだ」
「君らは十分好き勝手された。」
「なら、今度は君らが暴れる番…。」
「そうは思わない?」
適当(適当)。実際彼らが反乱してるのって不満があってしてると思うし、暴れる番ってのも間違ってないと思う。
ただの愉快犯かもしれんけどな、ダバ。
「…さぁな」
許されたと分かったのか、いつも通り偉そうなリーダー。
基本的には皆に自然体で接したせいか皆素を出してくれる、別にかしこまらなくてもいいとか考えられてるのかな。
ものによっては修正しなくちゃなぁなんて考えた。
…でも、いつも報告等してくれるリーダーには感謝しかない。
まぁ犯罪に手を出す事も報告してくるから耳が痛いけど。
「いつも思うけど律儀だね、リーダーボーイ?」
多分伝わらない嫌味を込めて言葉を送ると、リーダーは息を吐く様に笑った。
「___グルッペンだ。」
グルッペン、グルッペン。
え?何かの呪文?
と頭の中ではてなが浮かんだが、先程彼のことを”リーダーボーイ”と言った事を思い出した。
「…名前?いいの?」
豚の被り物を被った奴隷に止められていた事を思い出す、反乱軍リーダーの名前…知っていて良いものなのか?
「いい。そもそも俺はお前に名前を教えたくてウズウズだったゾ」
「…そ」
いや、そもそも偽名かもしれない。
そう考えながら彼を見たけど満面の笑みだった。