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目を覚ますと、隣で寝息を立てている若井の顔があった。
「……あ、夢じゃない」
昨日までの全部が頭をよぎって、
思わず笑いがこぼれる。
そっと布団の中で体を寄せると、
若井が眉をひそめて目を開けた。
「……元貴、朝から可愛いことしてんな」
まだ掠れた声なのに、甘さが含まれてて心臓に悪い。
「な、何もしてない!」
慌てて離れようとしたら、逆に引き寄せられた。
「逃げんなよ。
せっかくの休みだし、もっと一緒に寝てたい」
耳元で囁かれて、真っ赤になりながら
布団の中でぎゅっと抱き合った。
昼前になって、俺が「何か作ろうか?」
と言えば、若井が台所に立つ。
「たまには俺が作る。文句言うな」
「いや、俺だってできるし!」
「焦げるだろ」
「焦げない!」
結局、2人で並んで卵を割ったり、トマトを切ったり。
包丁を持つ俺の手に
若井の手が重なってきて、耳まで赤くなる。
「ほら、こうやって切るんだよ」
「……わざわざ手、重ねなくても」
「重ねたいんだよ」
炒め物から漂う匂いと同じくらい、
近い距離感にくらくらする。
食後は一緒にゲーム。
最初は真剣勝負してたのに、
途中から若井が
俺の肩に顎を乗せてきて全然集中できない。
「ちょ、若井!反則!」
「別に反則じゃねーし」
「うわっ、やられた!」
「俺の勝ち~。負けたほうは、罰ゲームな」
「な、何する気?」
「……キス」
有無を言わさず唇を奪われて、
結局2回戦も集中できなかった。
夕暮れの中、2人でソファに寝転がって映画を見る。
若井は俺を腕枕して、
髪を撫でながらぼんやり画面を眺めてる。
俺は胸の音を聞きながら、眠気に負けそうになる。
「なあ、元貴」
「ん……なに」
「時間、止まればいいのにな」
「…うん。俺も」
小さな声で返すと、額に軽く口づけされて、
心がじんわり温まった。
夜、布団に入っても距離はゼロ。
「おやすみ、若井」
「おやすみ……でも、寝かせねえかも」
「なっ……!」
布団の中でまた抱きしめられて、
笑いながら、日を追った。
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次回最終話です😏