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いらっしゃいませ〜
当店にお越しくださりありがとうございます。
初来店のお客様も、常連のお客様も、当店を見つけて下さりありがとうございます。
それでは注意事項のご確認をお願い致します。
✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆✻*˸ꕤ*˸*⋆✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻
ご本人様とは一切関係ありません。
「nmmn」という言葉を知らない方は閲覧をお控えください。
赤桃、白黒、青水、青赤
入れ替わり、 要素があります。
赤白青···▸〖〗
桃黒水···▸ 「」
✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。
苦手な方、地雷をお持ちの方は自衛をお願い致します。
以上になります。それではまたのお越しをお待ちしております。
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「入れ替わり」
小説、ドラマ、漫画で見聞きする言葉。
その「入れ替わり」が、自分の前に現れるなんて思ってもみなかった。
「入れ替わり」
薄暗くて広いお屋敷。そわそわと周りを見渡していると、様子を伺っていたのか奥から人が現れる。
俺の傍まで近付いた人影は、俺の前でピタリと止まって、簡易的な自己紹介をする。
〖初めまして、“貴方“のりうらです。今日から貴方の“入れ替わり“としてお仕えしますね。〗
ふわりとした手触りの良さそうな赤髪。 ヴィクトリアメイド服に、身を包んだ細身の体。
無表情で自己紹介された名前を思い出して、名前を呼ぶ。
「り、うら、?」
〖……はい、”貴方”のりうらですよ。何か疑問点がありましたか、?お部屋にはこの後、ご案内しますね。〗
先程よりも優しい声音。怖がらせたと思ったのか、片膝を着いて目線を合わせる。
〖…ゆっくりで大丈夫ですよ。何でもご質問ください。どんなご質問でもお答えしますよ。〗
「入れ替わりって何、?」
最初に聞いた自己紹介の中で引っかかっていた言葉。顔色一つ変えずに、口を開いて話し出す。
〖…………代役と言えばいいですかね。詳しく言うと…指定されている 対象をお守りする為です。 ご理解いただけましたでしょう。〗
「…指定されている対象以外は理解出来たよ。」
〖指定される対処は、国から指定されているんですよ。この人は保護すべき人だと。殆どが地位の高い方が多いので警護は楽ですよ。〗
国から指定されている要警護対象。
殺される可能性が高い。 身の回りの世話と警護をする従者を傍に置く。
要約されて初めて理解することが出来たが、 納得することは出来なかった。
-俺は地位の高くない。要警護対象じゃないって説明して断れないだろうか。
考えている事はお見通し。考えを見透かしているかのように、気になっていた部分を説明する。
〖一定の年齢になるまで地位が高いことは隠して育ての親に送るので知らなくて当然ですよ。〗
表情一つ変えずに信じたくないことを口にする。
「??」
〖もうすぐ着くらしいので、俺達も行きましょか〗
返答をする前に手を引かれる。体温を感じさせない指先の冷たさに恐怖を抱いた。
-逆らったらいけない。
逆らったらどうなるかと考えただけで手が震える。
〖ここは家族の共有スペースです。気が向いたらでいいですので、交流してください。
抵抗するのはいいですが、我々使用人共が責任を持って、ご主人様の教育をいたしますので、あまりおすすめはしませんね〗
髪の毛に触れながら、脱走をすることはおすすめしないから辞めた方がいいと釘を刺される。
〖慣れるまで時間がかかると思いますが、この髪型でお過ごし下さい。これも全て貴方の為なんですよ。〗
頭を撫でる手が優しい。 絡まないようにヘアオイルを塗った後、髪を梳く。
鏡越しに映る彼は微かな音に、目を見開いた後、扉を開ける。
〖少し離れますね。〗
「っ、りうら、髪綺麗にしてくれてありがとう」
お礼を言われると思っていなかったのか、
驚いた表情を浮かべ、黙り込む。
〖ご主人様ありがとうございます。 〗
「…ううん、俺がありがとうって言いたいだけ!!邪魔してごめんね。」
〖いえ、ご主人様のことを邪魔だと思っていませんよ。さて、行きましょうか 〗
エスコートする為に、差し出された手。
握ろうか悩んでいる間に手を繋がれる。
〖逃亡対策ですので。転ばないでくださいね〗
「う、ん…逃げないよ。」
﹣逃げても行く所がない。
育ての親である両親は俺が十の時に蒸発している。本当の家族が居ないと分かった今、
彼から逃げても意味が無い。
目的の場所に着くと、繋いでいた手を離し、辺りを見渡す。 探していた人を見つけたのか迷いなく近づいて声をかける。
〖……初兎くん、お疲れ様。ご主人様は何処に行ったのかな。〗
話しかけられたのは同じメイド服に、身を包んだ白髪をハーフアップにしているメイドさん。前髪につけているヘアピンをつけ直し、 短く言葉を返す。
〖髪切ってますよ。〗
〖…終わり次第連れて来てと言いたい所だけど…まずは初兎くんの髪を整えようか 〗
〖…俺は大丈夫っすよ。結べたらそれでいいんで〗
〖今度は身嗜みに気をつけるって気合い入れてた初兎くんは何処に行ったの 〗
自分で直させる前に手を伸ばし、髪を梳いていく。結び慣れておらず所々絡まった髪を解く。
解き終わったらヘアゴムで髪を縛り、持っていたヘアピンをこめかみに付ける。
〖……やろうと思ったんですけど、視力ないんで…。俺のことはいいんで、ご主人様の対応お願いしますねっ。俺はご主人様の様子見てきます。 〗
逃げるように走り去る姿を眺めた後、俺の方にゆっくりと視線を向ける。
「りうらって面倒見がいいんだね〜」
〖面倒見がいいとは違いますよ。世話が焼ける子ですが、良い子なので仲良くしてあげてください〗
「……俺で良ければ。でも 他のメイドさんと交流していいものなの?」
〖他のメイドと交流してはいけないという規則はありませんので、交流は自由にしてください 〗
話し終えたメイドさんはひらりと、スカートをなびかせながら俺の隣を歩く。
﹣りうらとも交流していいんだよね、なら…
〖じゃあ俺のことはないこって呼んでほしくて、、主人様って呼ばれてもピンと来なくて…〗
〖了解しました。では、ないこ様とお呼びしますね。ないこ様、”俺”のないこ様〗
嬉しげに何度も名前を呼ばれる。
何度か呼ばれると返事をすべきだろうと思い、短く返事をする。
「はぁ〜い」
〖お返事ありがとうございます。初兎くんおかえりなさい、ご主人様の髪はこの長さくらいで問題なさそう。〗
〖殆ど悠佑さんが切ったんですけど、調整は俺がしたんですよ、!!〗
〖お疲れ様、初兎くんに任せて良かった。
初めましてりうらと申します。りうらとお呼びください。〗
「…」
綺麗なお辞儀。一言も話さない主人に対しても、優しく接する。
〖ないこ様お待たせしてすみません。もう一人連れて来ますのでお待ちくださいね。初兎くん行こう〗
監視が居ない内に、交流しようと彼に駆け寄って声をかける。
「あ、の……」
声をかけると直ぐに彼はこちらに反応し、こちらに視線を向ける。
「…………ないこどうかしたん、?」
「……なんて呼んだらい、いですか?」
彼の冷たい声、表情が素直に怖いと感じてしまう。言葉を発する声が震える。
「 何でもえーよ、好きに呼んでぇや。初兎も好きに呼んどるしな?」
口角が少し上がったような笑みを浮かべる。
怖がらせて悪いと思ったのか、大きな手が頭を優しく撫でる。
「…あにきは…」
〖お待たせ致しました。ご交流出来ていて良かったです。 〗
「…おかえりなさい、、…」
タイミングを見計らったようにりうらは無表情のままドアを開けて入ってきた。
〖…戻るのが遅くなりました。こちらは…〗
りうらの背後には、ふわふわとした猫っ毛が特徴的な青髪のメイドさん。
不機嫌そうに抱いていた子供を下ろし、優しく 頭を撫でる。
〖if。お前らの面倒を見る気は、一切ないんで 以後お見知り置きを。〗
〖…先輩、主人にその態度はどうかと思いますよ。〗
〖りうらくんと違って俺は主人を敬愛せぇへんの。飴ばっか与えてもええことなんかないやろ。な〜ほとけ…〗
頭を撫でる手。言葉はぶっきらぼうだけど 、子供を撫でる手は優しい。
「は、初めまして、?ほ…と、けで、す …いふくん…これで、合ってる、?? 」
〖ん〜合っとよお。自己紹介出来て偉いなぁ〜!!…後で飴あげるな。〗
さてと。言葉を区切り、こちらに視線を向けて薄く笑みを浮かべる。
新しい玩具でも見つけたと、言わんばかりの藍色の瞳に足が一歩後退る。
〖りうらの子は此奴か。うちの泣かせたら分かっとるよな?〗
「泣かせませんよ。泣かせるのは貴方の方じゃないですか、っ、!?」
怒りの宿った猫目。 ガーターに仕舞っている ナイフを手に持ち、喉に刃を向ける。
﹣怖い。怖いけど俺が考えなしにした発言で傷付き、腹が立っても仕方がない。
「……っ、無神経なことを言ってすみません。」
怖い。震える唇を何とか動かし、頭を下げて謝罪の言葉を話す。
喉元を切り付けられても仕方がない。
見た目と態度で、軽率に判断してしまった俺が悪い。
〖愛想がないのは自覚しとる。りうらが拾ってくるんは事情持ちの子が多いしな。 〗
ガーターにナイフを仕舞い、たくし上げていたスカートの乱れを直す。
俺を見てにこりと笑った後、涙を浮かべる子供の前に跪く。
〖ほとけお待たせ〗
「…おかえりなさい、?……いふくん、おかえりなさい」
覚えた言葉を言えたと、嬉しそうに頬を緩める。
スカートの裾を掴んで、上を見上げる、子供を抱き上げる。
〖よお言えたな〜偉い偉い〜。んで、りうらは、なんの用で此奴ら集めたん? 〗
〖入れ替わりのことですよ。説明がてらに顔合わせさせてたんです。 〗
面倒くさそうな表情を浮かべて溜息を吐く。
子供をりうらに抱かせて、俺達の前に出る。
風に揺られて、ふわりと広がるスカート。 先程の話し方とは違い、 物語でも話すような演技がかった声で話し出す。
〖春夏秋冬には季節に合わせて、多種多様な色を咲かせる花がおりました。ですが、花には手足が無い為、他の場所に出向くことが出来ないと投げきました。 その時、花を愛する人が現れて花々にこう言いました。私達が役割を交代し、 ”入れ替わり”ましょうと提案して今に至ります。〗
息を切らさずに、一息で話し終える。
ふわりと広がったスカートの裾を再度直して、俺の前に跪く。
〖“入れ替わり“以外に聞きたいことは??
りうらの代わりに俺が教えるわ〗
「担当のメイドさんには何か条件があるんですか…」
俺の言葉にりうらの眉がピクリと動く。
仄暗い瞳は俺を捉え、肩を掴む。
〖担当メイドには条件は特にありませんが、ないこ様の担当メイドは俺なんです。 〗
「………りうら、痛い。 」
〖…ないこ様に侍るのは俺ですからね。〗
ふくりと膨らませた頬、文句を言いたげな
瞳。出会って僅か数分で束縛される。
後から聞いた話、主人に仕える従者は出会って直ぐ運命的な“恋“をする。
毒にも似た主人の存在を喜んで、飲める歪な者が従者になることが出来る。
なので、りうらの異常さは変なことじゃない。 変なことじゃないが、受け入れることは難しい。
〖……馬鹿、困っとるやろ。〗
〖いっ、た…。いふ先輩、暴力は何も解決しないって知ってますか。幼い主人の前で、暴力を振るうのは適切ではありません。そもそもいふ先輩は、普段から従者らしい振る舞いを……〗
〖…お小言はええからそろそろ案内しようか。着いておいで〗
お小言は嫌なのか一言断りを入れてから、りうらの隣を通り過ぎる。
「……お兄ちゃんと、行こう?君のメイドさん先に行っちゃったから…」
「……っ、」
頷こうとするも、言おうとした言葉を飲み込む。どう接したらいいか俺が悩んでいる間。あにき元い、悠佑さんは目線を合わせてしゃがみ込む。
「俺は悠佑、多分この中やったら最年長やと思う。兄ちゃん行ってもうて寂しいよなぁ、〜俺で悪いけど、追いかけようか。」
「…ほ、とけ」
「ん、〜いい名前しとんなぁ〜 ほとけ、ないこ行こか。」
「あにき置いてかないで〜!!」
二人に追いついて、隣を歩く。
足の長いいふさんの後を着いて行くのは、幼い子供だと難しい。自分達のペースで歩いていると、黄色の瞳のメイドさんが俺の隣に並ぶ。
〖初めまして、“悠佑さん“の初兎です。りうらくんから大体の事情は、 聞いとーりますよ。今までお辛かったですね。 〗
「……俺は、別に」
〖…ご両親に捨てられたことで、人間不信になっとーと思っとりましたけど。 人間不信じゃなくて俺は安心しました。どうか俺の悠佑さんと仲良〜してください。〗
朗らかに話す初兎さん。
親に捨てられた事実を人伝に聞くと、俺は親にとって不要な存在なんだと自覚する。
〖…気ぃ悪くしたらすみません。俺も捨てられたので、同じ境遇のご主人様に会えて嬉しくなりまして……は言い訳になりますね。どんな処罰でも、ご主人様の為ならお受けします。〗
「俺は気にしていませんよ。嫌じゃなかったら初兎さんのお話聞きたいです。」
〖……っ、ではまた今度お話しましょうか。俺は悠佑さんの所に戻りますね。〗
歩いていた拍子に手が少し触れる。
驚いたのか初兎さんはりうらの背後に隠れる。
〖…初兎くん……俺の後ろに隠れないでください。ないこ様、“コレ“はいつものことなので、あまり気にしないでください。ないこ様じゃなくても初兎くんは、この対応をしますよ。〗
「…そうなん、だ…俺は気にしていないから大丈夫だよ〜!! 」
手袋越しに手が触れただけ。俺にとってはそれだけのこと。
﹣触られるのが苦手なのかな…触らないように気を付けよう。
〖ほんまにすみません…俺自身の問題なので、お気になさらずに。悠佑さん、…スカートだと転けそうなので、俺とも手繋いでくださいますか、?〗
「……ええけど…初兎触られるん苦手とちゃうん?」
戸惑いつつも、初兎さんの小さな手を、手袋越しに触れる。隣を歩く初兎さんの顔を見て、うっすら笑みを浮かべる。
〖俺の主人は本当にお可愛いですね〜お傍で使えることが出来て、俺は幸せ者です。〗
「大袈裟やって…」
〖悠佑さんの全てが愛おしいから言ってるんですよ〜!!本当に悠佑さんが愛おしいです。 〗
恋に似た敬愛と主人を思う忠義心。
隣に居るりうらに視線を向けると、〖どうかしましたか〗と表情を伺われる。
〖俺は初兎くんみたいに、愛情表現が得意な方ではないので、言葉で伝えることはないですよ。〗
「俺はりうらから愛され、てるから …大、丈…夫」
言葉で伝えるだけで羞恥心が込み上げ、頬が赤く染まる。
〖…ご両親の分まで敬愛しておりますよ。なので、俺を傍に置いてください。〗
「………っ、うん」
赤くなる頬を手で隠す。りうらはというと、赤くなったりせず涼しい顔のままだ。
〖ほとけ、今日はよう歩けとったな。それと、他の子と交流出来て偉いなぁ〜〗
部屋にそれぞれの主人を案内をした後、自室で眠そうに、瞼に触れる主人の頭を撫でる。
頭を撫でられたことを、不思議そうに小首を傾げる。
「…っ、?」
〖…言いつけ守った時は頭を撫でるんよ。色んな人と話して、疲れたやろ、?湯溜めとるから風呂入ろうか。お風呂は体洗う所って覚えような。 〗
何をするにも主人は不思議そうに首を傾げる。俺が担当する主人は孤児だ。
りうらが何処からか拾って来た孤児で 感情、言葉が共に乏しい。何をするにも不思議がるので、行動一つ一つを説明しないといけない。
「…………お、ふろ、は、……いい 」
〖良くないよ。主人の身嗜みを整えるのが従者の仕事。お兄さんとお風呂行こうか〜〗
脇に手を通し、主人を抱き上げると、あまりの体の軽さに目を見開く。
〖お風呂入れたらほとけのしたいこと付き合うって条件付きでも入らへん、?〗
「…………いふくんが、いるならは、いる」
〖 ご了承いただき、ありがとうございます。それでは、入浴のお手伝いをさせていただきますね。〗
就寝までの手伝いをするのは嫌ではない。他人から見れば、 面倒くさがっているように見られることが良くある。
俺自身は主人の面倒を見るのは嫌ではない。むしろ従者だから主人の面倒を見れることに誇りを持っている。
﹣後でりうらくんの様子見に行って……初兎くん用の消毒液渡して…と、すること多いな。
〖明日に備えて寝ましょうか。明日の朝までお傍に居ますからご安心ください。〗
隣に寝転び、主人の頭を撫でる。
メイド服ではない私服姿を見て、不思議そうに俺を見つめる。
〖……寝る時までメイド服着とったら不便やからな〜…あ、メイド服の俺が好きやったらこれからはメイド服着ますよ、?〗
「どんないふくんでもいい、よ。僕だから見られるんだ、もん」
服装のことを言っているのだろう。無邪気に頬を緩ませて、笑みを浮かべる。
〖っそ、ですか〗
赤くなった頬。無邪気に笑う主人に頬が緩む。
﹣純粋無垢で可愛ええな。
言っとくが、俺はショタコンではない。
もう一度言おう、ショタコンではない。
〖…りうらくん、お待たせ。〗
〖いふ先輩、お疲れ様です。もう夕飯出来てますよ〗
出迎えてくれたりうらの頭を撫で、重そうに持っている盆を取り上げる。
〖…それくらい持てますよ〗
〖子供が家事せんでええのに毎回しよるやろ、?ただ食べるだけってのも、従者として嫌。〗
〖…先輩が何も出来てなかった時の名残で面倒見てるんだけです。〗
﹣面倒くさいだけでやろうと思ったら出来るんやけど……
世話を焼くのが楽しいと思う子供の前で、水を差すような発言は止めておこう。
〖……初兎くんは、ご主人様とお散歩した後に来る予定なので先に食べましょうか。〗
席に着いたりうらの隣に、腰を下ろして食事を頬張る。常に無表情 なりうらも、俺と居る時だけは、口角を上げた笑顔を見せる。
〖……人の顔ジロジロ見てどうしたん、です、カ?〗
〖ん、〜年相応な表情すんねんなって…〗
〖…………そんな顔してませんよ。無愛想なのは自覚してます。〗
頬を膨らませて拗ねる所が、年相応。
虐めがいある純粋無垢な子供。からかわれると、頬を赤らめながら俺の肩を叩く。
拾った時は、もっと死んだ目をしていて一言も喋らなかった子供だったのに、今では年相応な反応を見せてくれる。
〖……先輩触らないでください、馬鹿っ、変態、!!〗
頬に触れただけで、頬を赤く染める。
そういう所が子供らしくて可愛らしい。
〖馬鹿で結構。餓鬼の世話すんのも疲れるんよ、?労いの言葉でも、言ってくれたらえーのに。〗
〖お疲れ様……ですと、は言いましたよ…〗
〖労いの気持ちがあらへんのはノーカン。
りうらくんの労いが欲しいな、〜〗
服の中に手を入れると、驚いたのか瞳を見開いて俺の手を掴む。
〖…。幾ら拾って育てて下さった先輩といえど………〗
〖いーやん。りうらくんと俺しか居らへんねんから。ご主人様一筋なりうらくんも可愛ええけど…俺に従順なりうらくんも俺は好きやで、?〗
蕩けた瞳。耳元で囁やかれることに耐性がないピュアな子供。
驚いてその場に座り込む子供に、自分の立場を分からせるのも俺の仕事。
〖お利口なりうらくんならどう振る舞うんが正解がよー分かっとるやろ。〗
〖初兎くんが、戻ってくるまでなら…っ、…〗
〖……いーこやなぁ〗
〖りうら先輩〜初兎です〜ご主人様が就寝しましたので、……ご報告を、。〗
〖……初兎くんご苦労さま。ご飯用意してるから食べる、?〗
〖りうら先輩お疲れの時は先に寝といて下さいってお伝えしとりますよ〜歩けますか、?〗
〖…いふ先輩に運んで貰うから、大丈夫〗
バランスを崩しそうな小さい体を抱き上げる。 先程のことを思い出して、ジワジワと頬を赤く染める 。
〖初兎くんおやすみ。いー夢見ぃや〗
〖…いふ先輩おやすみなさい。良い夢を。〗
初兎くんに一言伝えてから自身の寝室にりうらくんを下ろす。体を震わせ、怯えるりうらの頭を撫でる。
〖怖がらんくても怖いことはしとらんよ。〗
〖…っ、ひっっ、…く…っぅ…〗
﹣…泣かせてもたなぁ、何やこの罪悪感。俺採寸しただけよな、?
鼻水を服の袖で、拭いながら俺を睨みつける。涙で濡れた頬に触れて涙を拭う。
〖触らないでください…っ、、自分で泣きやめま、 すっ…っ、く… 〗
泣き止む子供の体に触れながら、涙を拭う。
主人に仕える為に。その理由と共に、食事を与え続けた結果りうらくんは、人よりも肉付きが良い。
〖……もっと良い子良い子してください。〗
胸元に顔を埋め、甘えるりうらくん。さっきまで泣いてたのにこういう時ばかりは甘えてくる。
〖…触るなって言ったのにいいん ?〗
〖今はいいんです。触って下さい〗
頭を撫でてほしそうに、顔を上げた所申し訳ないが俺は 頭を撫でる気はない。
小さな体に腕を回し、りうらの小さな体を抱きしめる。
〖…っ、先輩…違い、ます。これじゃなくて頭撫でて下さい。〗
〖良い子……良い子〗
要望通り頭を撫でながら耳朶に触れる。
耳は人の性感帯の一つ。耳朶に口付けると、
腕の中で、大人しくしていたりうらが身を捩り出す。
〖いふ先輩、離して……〗
〖りうらくんを育てた親としての愛情表現。〗
〖…それならっ、初兎くんに助けを求めます。隣のお部屋なので〗
ベッドから降りたりうらくんは、助けを求める為に初兎くんの部屋に行こうとする。
そんな子供に、服装の指摘をしてあげようと口を開く。
〖りうらくんはそんな服装で、親友の所行くんや〜、?ま、助けを求めるには丁度いいもんな。〗
エプロンと太腿に付けたガーターしか、身に付けていない。頬を赤らめるりうらくんの背を撫でる。
〖…早う、初兎くんの所行っといで〗
ドアを軽くノックすると初兎くんが、直ぐに顔を覗かせた。
〖りうら先輩ご苦労様です。俺の服持って来ますので、悠佑さんの寝かし付けお願いしますね。 〗
「……寝かし付けを断ることって出来ひんの?」
〖初兎くんがしたくてしてるので、俺が辞めさせる意味はないです。初兎くっ、ちゅん…〗
〖濡れタオルで拭ったら、いふ先輩のお部屋に 連れて行きますね〗
冷えきった体をタオルで丁寧に拭った後は、 クローゼットから取り出した洋服を着せる。
赤子のように、面倒を見てもらってばかりで恥の気持ちが込み上げる。
〖いふ先輩の所行きましょうか〜悠佑さん、少し待ってくださいね〜戻ったら寝かし付けますね〗
「子供やないから大丈……。」
〖俺が眠れないんで、寝かし付けお願いしますね〜!!〗
主人の扱いが上手だなと関心する。素直に甘えられたらいふ先輩から、未熟者と言われないのだろうか。
〖俺の顔に何か着いてますか?〗
〖瞳の色違うなぁって思って。初兎くんの紫色の瞳綺麗だったのに…〗
淡藤色の髪に、黄玉色の瞳。髪色に対して言おうとした言葉を呑み込む。
嬉しそうに微笑む初兎くんを見ると言えなかった。
〖悠佑さんの瞳綺麗で好きなんです。お互い視力がないならと、交換して頂いたんですよ〜!!〗
〖そ、うなんだ。初兎くんがいいなら…〗
変だよ。言葉にしなくても顔に出ていたのか、初兎くんは、困ったように眉を下げる。
〖悠佑さんの一部になれて、嬉しいって感覚が変なのは知ってますよ。でも、後悔はしてないんですよ。俺は眼球交換して幸せなんです。〗
屈託のない笑顔で、そう言う初兎くんに何も言えない。
〖…っそっか…。初兎くんここまで連れてくれてありがとう〜〗
〖お仕事でお疲れのようなので、 お手伝いしたまでですよ。ゆっくりおやすみ下さい〗
〖……うん。初兎くんもお疲れ様。〗
初兎くんと会話を終え、いふ先輩が待つ部屋の扉を開ける。
〖ただいま、です。〗
〖着替えさせてもらえて良かったなぁ〜?湯浴みも済んだんやな。〗
いふ先輩の大きな手が髪と頬を撫でる。食事の食べ過ぎでついた腹の肉をつまんで、先輩はにやりと頬を緩める。
〖ひ、っ…、!…っふ、…〗
息を乱す俺を見ながら腹を撫で、デリカシーのないことを言う。
〖 りうらくん太ったんちゃう、??りうらくんのメイド服は、ウエスト細いんやから痩せような〗
〖あんたが、食べさせる、からだロ〗
〖人のせいにするんー?勝手に食べて肥えたんやろ〗
図星だったのか黙り込んでしまった。
口元を抑えながら御手洗に向かうりうらくんの隣にしゃがみ込む。
食べて太るなら吐けばいい。そんな安直な考えが透けて見える。
〖吐くんやったら手伝ったる。りうらくんは口開けとき〗
〖………は、っ“あ、……〗
無防備に開けられた口内を軽く押すと、りうらくんは直ぐに食べた物を吐き戻す。
〖……ぉ、ぇ“…〗
唾液を分泌させながら、口元を雑に拭う。
吐かれる姿を見られて恥ずかしいのか頬を赤く染める。
〖先輩指汚してしまってすみません。手洗いに行きましょうか〗
〖手は後で洗うよ。りうらくん吐いた所、 悪いけど暖かいの飲もうか〗
吐いた後の面倒を見るのも、仕事の内。
嗚咽を漏らすりうらくんの体を支えで歩き、リビングのソファーに座らせる。
〖先輩もう寝る時間です、ヨ…。俺は寝ますので、できるだけ早く寝てくださいね〗
〖番茶飲めるなら飲んで寝ぇ〗
眠そうに瞼を擦るりうらくんにカップを手渡して、飲むように促す。
〖水分取っとき。〗
〖…………ン…っ、…〗
眠そうな顔で少しずつ番茶を口にし、欠伸をうかべる。零さないよう見張りつつも、りうらくんが吐かないように通路を塞ぐ。
腕を広げて甘えてくるりうらくんの相手をするのも俺の仕事の内。
〖先輩ダッコ…ダッ…コ〗
〖…慣れへん”演技”で疲れたなぁ〜徐々に慣れたらそれでえーけど…〗
-完璧じゃない壊れたりうらくんを他に見せたくない。
子を育てた親として…そう思うだけ。
りうらを育てた父親として大切に思うだけだ。
髪を撫でながらりうらくんを寝かし付ける。
〖おやすみ…〗
〖……おやすみなサ、イ〗
メイド服に袖を通してら主人の居る寝室に足を運ぶ。 軽くノックすると桃髪の少年が、不安そうな顔で扉を開ける。
「いふ、さ、ん、?こんばんは。 」
〖こんばんはー俺のは、……〗
周囲を見渡す俺を見て、桃髪の少年はクローゼットを指差す。
「……ほとけくんならクローゼットの中に居ますよ」
〖……クローゼットに、? 〗
不思議思いながらも、クローゼットを開けると、今にも泣き出しそうな主人が俺に抱きついてきた。
「いふ、くん………」
〖泣かへんの、何でそんな所居ったん、?〗
「狭い所に居なきゃ…怒られるか、ら?」
〖……りうらくんから教えとられへんねんな。もうそんなことせんでいいんよ。おいでおにーさんが抱っこするよ〗
二人に対してどう接しようか。
悩みながらほとけを抱き上げると、桃髪の少年は申し訳そうに言う。
「俺が面倒見れなくてこうなったんです。すみません、俺の責任です。」
〖ないこくんが悪いわけやないよ。ほとけは狭くて暗い所に隠れがちなんよ。〗
児童虐待。子供の面倒を見ずに、家を空けることが多い。何かあればクローゼット、ダンボール、
襖に押し込まれる。母親が、【いいよ】と言うまで出ては行けないよ。
虐待を受けていても子供は母親が好きだから従ってしまう。
可哀想だと思う反面、子供は親の愛が必要なのかと面倒に思う。
-従っても愛して貰えないのに。
仮に出られても母親は子供を無視するものだ。
遊びに行くのに不要な子供に仕事で数日家を空けると行って蒸発する母親は多い。
そういう親に育てられた子供は無知が多く、無条件に怒られることを嫌う。
〖もう隠れんぼせんでもいいんよ。お兄ちゃんと一緒に寝んねしぃ。〗
「う、ん」
〖眠いのに抱っこして悪いなぁ。慣れるまではお兄ちゃんと寝ような〗
眠そうな主人が寝やすいように、持ってきた絵本を読み聞かせる。
「…いふ、くんおやすみなさ、い」
〖おやすみ。ないこくんも、夜更かしせんて寝ぇや。〗
二人の頭を撫でてから、自室に戻り就寝する。自分が仕えることになった主人とその従者の面倒を見るのが俺の仕事だ。
〖悠佑さん〜!!おっはようございます〜!!今日もええ朝ですよ〜!〗
「あと五分…」
朝は主人を起こすことから始まる。
眠たそうに布団に包まる主人がラッコのようで愛らしい。
〖…仕方ないですね〜悠佑さんが起きるまでお傍に居ますね。〗
貴方が愛おしいと伝える代わりに傍に侍り、生活の世話、護衛をするのが仕事だ。
〖りうらくんおはようさん、今日も愛らしいね〗
子を育てた親として愛を囁くのが俺の仕事だ。
主人に仕える者、 従者の世話をする者。
庇護される側の主人。
そういった主従関係は一つだけ問題がある。
歪んだ愛情で主人を殺せる。そう口にする者は、喜んで人を殺す。
そんな歪な従者と花を咲かせる為に連れてこられた主人との主従関係の物語。
〖ご来店のご主人様初めまして。“貴方“のいふと申します。足を運んで下さりありがとうございます。少しでもこの物語を楽しんでいただけたらとても嬉しいです。それでは、また次回の物語でお会いしましょう。〗
少しでもこの物語の🎲さんを愛して貰えたらなと思います。
それでは次回の物語でお会いしましょう。
当店を見つけて下さりありがとうございます。
貴方に良いことが起きますように🍀
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