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ウィド&ディレ
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榎本くもり
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#面白くないかも
如月玲
37
谷崎爽奈
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もっとも単純にして原始的で。だからこそ見落とす。罠。の中でも一段と原始的な物にして、萩野さんと平賀さんだと対応できないもの。
落とし穴である。
考えるの忘れてた。どうしよ。萩野さんたちが来ないのか。僕一人で勝てるかな?
「〈百舌鳥〉。敵確のちに(敵がいるか確認ののちに)、こちてつ(こちらを手伝って下さい)。襖に物硬ナウ(襖に物質硬化を今すぐ)」
『了』
さて、後2分もすれば〈百舌鳥〉が来るだろう。それまでの辛抱だ。
『〈鷺〉の死亡が確定しました。空気中の毒性は無し、しかし、血液中の毒物は検知。〈鷺〉の心拍はどんどん早くなって死んだことから、彼自身。毒が体に入っていることを知っていたと考えられます。』
『〈隼〉の死亡が確定しました。彼は舌を噛み切りました。そして、血液中から毒物は検知されました。』
『〈鶯〉の‥‥
「ラガ。2秒」
インカムで、平賀さんと一緒にいるであろう萩野さんにつなげる。
——〘爆弾魔〙。爆弾生成。 ▓。決定。
安全ピンを抜いて、落とす。
『〈BIRDS〉日本支部の人間に通告します。〈百舌鳥〉〈梟〉を除いて、今すぐに解雇します。
これにより君たちは一般人となります。それ以上変異者相手に戦いわないでくださ
そして、変異者の者たちに通告します。一般人への殺害、暴行行為があった場合、確認し次第、核爆弾の安全ピンを抜くことを、〘爆弾魔〙のもとに誓います。』
軽く耳が痛い。流石に数キロ先まで届くように想定したのをまじかで聞くのは、一般人ならば鼓膜が破けていてもおかしくないほどだ。
しかし、2秒とは言え相手に能力を使わせられる時間を与えてしまったのは、まずかったようで、2m程の鉄の棒を2本作られてしまった。
それでも、僕らの戦闘は継続された。痛みをこらえながら、二人を殺さないようにしながら、そして自分が死なないようにしながら戦う。
坂本に関しては、リーダーが死ぬ事はあまりに僕ら側にとっていいことではない。だから、殺せない。
そして、〘科学者〙は、水城先輩の父親であること。その時点で、少々対応しにくい。そして、賀川財閥の総帥であること。簡単に手を下せない。勝つことだけを考えれば、全然可能。坂本の能力が不明なのは痛いが、多分可能だろう。
そして、それぞれが反対方向から攻めてくるため対応しにくい。
坂本に関しては、武器をへし折って遠くに投げればいいだけなので簡単だが、〘科学者〙は圧倒的に経験が上をいっている。
武器すら持たせてもらえない。刀を全部抜く前に手首やらを殴られる。
鋭い蹴りが僕の腹部を狙う。
間一髪でよけて、足をもって転ばせてから絞め技をしようとするが、まるで液体のようにするりと逃げられる。
そもそも、旭さんはなんで来ないんだ?〈鴉〉を殺したのが旭さんだとしても、ここに来る時間は全然ある。萩野さんが落ちた落とし穴に近づくような感じもしない。
『花です。旭さんは、そこにいません。いや、そこの世界自体にいません。近くの防犯カメラで逃げたのが分かりました。』
逃げた?あの人が?どういうことだ?勝てないと見込んだ?いや、他の路線で攻めてくるかも。
腹部に強烈なこぶしがめり込む。痛い。痛すぎる。口から息が漏れる。息を吸わなきゃいけない。あぁ、吸うのが嫌だ。痛い。
「水城は養子だっ‥‥手を出すな。」
淡々とした声だったが、軽く息が切れていた。彼とて、僕の相手は簡単ではないようだ。
何言ってんだ?養子だろうが何だろうが、家族だろうが。
ぶん殴ってやるよ。ぶっ飛ばしてやるよ。ぶっ殺してやるよ。
こっちだって血のつながりはねぇけど、家族を殺されたんだ。
てめぇの、家族をぶっ殺すのはこっちの正当な権利だろうがっつーの。
「わかりました。では、手を出すことはありません。絶対です。」
なわけねぇだろぉがよぉー!ぶっ殺すに決まってるだろぉがよぉ!
後でぶっころそ。ぶち殺そう。拷問してから殺してやる。死ね。
死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。 死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ
あぁ、よくないや。
——〘爆弾魔〙。苦しみ 憎しみ 絶望 孤独 無力 空虚 無常 怒りの消去。決定。
感情の整理が完了する。息が整う。脳内がクリアになる
うん。問題ない。
先輩を殺そう。それは、明日の朝に目を覚ますのと同じくらい、当然のこと。当然の権利で、当然の義務。
「大丈夫です。あなたはあなたで。先輩は先輩です。」
「分かってくれてありがとう。」
「では——
——殺しあいましょう。」
——〘爆弾魔〙。戦闘に不要な感情の消去。決定。
狙うべきは、首 目 心臓。肋骨があるから、心臓は狙わない方がいい。
賀川は先ほど作り出した2mほどの鉄の棒を1本だけ手に持ち、もう一つをガランと置いておく。
『ヤァヤァ ザコイナァ キヨクン ハッハッハ』
機械を通したような変な声を出して現れたのは、ボロボロの白い外套をまとい、黒い骸骨の面をつけ、右手に薙刀を引き摺った。〘漫画家〙のトバだった。
先ほどまで持っていなかった薙刀を持っているから、『書いたものを具現化する能力』だろうか。ならいい。薙刀に気を付けながら書かせる暇と、具現化させる暇を与えなければいい。
北上先生は——死んだか。なら仕方がない。優也が来るのを待つ消耗戦になりそうだ。戦いは、ほぼ2対1。勝てるかはイチかバチかだな。とはいえ、坂本にも気を配っておくか。侮りすぎると痛い目に合う可能性がある。
『五秒後に着きます。気を付けて』
瞬間。〈百舌鳥〉は刀を三本と玩具箱を持って天守閣から落ちて現れた。
「殺していい?」
「そこの髪ぼさぼさの奴を除いては。」
「了」
〈百舌鳥〉が、玩具箱から、碁石入れを取り出し、いきなり空中に投げた。
鞘に入れたままの刀で、落ちてきた碁石を斬るようにして相手に飛ばす。
変異者 不明【暗号名:不明】/現在
——〘商人〙。『常識』〘買い取り〙。完了。
変異者 加藤 駿【偽名:畠中幸人】/現在
碁石が、もう少しで賀川と〘マンガカ〙に当たろうかという時、いきなり二人の前に鉄の壁ができた。
おかしい。平賀さんの能力が発動している最中だから、あれができなかったんじゃないのか?なぜ今、敵は能力を使えている。
——平賀さんが死んだ?
もし、そうだとしたら無理だ。勝てない。お手上げ 降参。
その時、萩野さんと平賀さんが落ちた穴から、平賀さんが翼を生やし、上に萩野さんを乗せて現れた。
しかし、平賀さんの顔に今までのような柔和な表情は一切なく、はたから見て、常軌を逸していた。
賀川の手から、鉄の槍がいきなり出てきて、平賀さんに向けた撃った。
「槍はブーメラン」
平賀さんがそういった瞬間、賀川の肩にドスリと、槍が刺さった。
圧倒的な力の差に、僕は背筋が凍って、動けなくなった。だが、平賀さんは味方だ。だから、僕らは安全圏にいる。
「〈百舌鳥〉薙刀野郎を殺して。」
「了」
刀を鞘から抜いて、〘マンガカ〙に斬り掛かる。力の差は圧倒的だった。〘マンガカ〙まズルズル ズルズルと後退し、反撃の機会も与えられなかった。時折、空気の矢や、実態のある矢が見えることもあったが、すべては身体硬化の前では無意味だった。
「亡霊が増えちゅうのう。夢みとうみたいな亡霊がよ。昔をいまんいままで引きずっちゅう亡霊がじゃ。」
先ほどまで少々遠くで倒れていた坂本が、パンパンと、手で服に着いた土をはたき歩寄ってきた。
賀川は、萩野さんと平賀さんと戦っているが、圧倒的に追い詰められている。それも、萩野さんの死角を狙ったりして武器を生成して、傷をつけているが、平賀さんによって与えられる傷の方が大きい。
「藤田、それに平賀。おまんら、まだ慶喜《よしのぶ》がおった頃の夢を見続けゆうがかえ? まっこと、現実が見えちゃあせんのう。あの頃は良かった。皆が笑いよった。平和な、夢のような時代やった‥‥けんど、それはもう、終わったがぜよ。
いつまでも過ぎ去った春の温もりに縋っちょって、今を汚しちゃあいかん。夢《ゆめ》と現《うつつ》の区別もつけれんなったらようになったら、おしまいぜよ。目を覚ましや。おんしらが守ろうとしちゅうのは、ただの抜け殻ながやき。
現実はこれっぽっちも優しくないが、夢の中で溺死する前に、いい加減、前を向かんといかんちや。」
坂本は子供を諭すようにそういった。
「‥‥」
「‥‥」
空気が重くなる。誰も口を開かずに、闘い続ける。
その沈黙を最初に破ったのは萩野さんだった。
「龍馬。あなたは誰?」
あまりに意味不明な言葉。怪奇で意味不明でふつう使わない言葉の並び。どういうことだ?
「すまない。遅れた。」
ところどころ穴が開き、朱殷に染まったワイシャツを着て、北上先生がやってきた。北上先生からは、鉄錆のようなにおいがした。
「たぶん平賀くんの異能が働いてたからだろうけど、治癒できなくなってたわ。」
「生きてたんですね。よかった。」
「〘医者〙も生きちょったがやー。どがいしょ。」
「チェックメイトです。全員に戦闘の中止を命令してください。」
スマホの録音機能をつけて、坂本の口元にスマホを向ける。
「‥‥」
坂本は黙りこくった。
「はやく言ってください。」
「‥‥」
「早く!」
「‥‥」
「早く!言え!」
「‥‥」
「‥‥」
「‥‥いやや。逃げるぞや」
ここまで来て逃げるというか。刀を抜こうとした瞬間。〘マンガカ〙が、扇を広げた。
『〘ケンチクカ〙コモリ サキ ショウカン』
そう言った瞬間。扇から、1人の女性が出てきた。
「芹奈ちゃんやないの。久しぶりやねえ。命のやり取りしていきまひょか。〘商人〙はん。」
『ハヤクセンセンヲ リダツスルゾ カガワ』
「分かった。」
「待てぇ!クソがぁ!ぶっ殺す!」
〈百舌鳥〉が吼える。
「なあ、そんなによそ見ばかりしてはって、よろしいのどすか?‥‥あんたが今、一番気にせなあかん相手は、この私やということを忘れてはりますやろ?〘監禁〙」
どこからともなく、『えっさ ほいさ えっさ ほいさ』と、声が聞こえてくる。
地面を見ると、ゲシュタルト崩壊と、無いはずの集合体恐怖症が発症してしまいそうなほど、大量の小人が、煉瓦などを運んで積んでいった。ものの3秒で煉瓦に閉じ込められた。それも、1人1人。全員が同じ場所に入れられていれば、全員を一部の集めて、爆弾で吹き飛ばせば簡単だが、だれがどこにいるかもわからない。狭まってきた場合を除いては、行動しないべきだろう。念のため、床に爆弾を置いて、壁にもたれかかる。肺が痛む。
『〈梟〉。どうすればいいですか?』
〈百舌鳥〉からだ。
「戦うな。そこの場所が壊れるのは時間の問題だと思う。もしも、そこの場所が狭まるのならばぶっ壊せ。10分後。もしも、壊れなければ破壊しろ。」
たぶんではあるが、扇から出した点から、そこまで永続的なものではないだろうし、相手の目的は逃げることだろう。〈百舌鳥〉の〘騎士〙の強さは嫌というほどわかっただろう。〈百舌鳥〉がその気になれば、壊して僕らを出すことなど容易だ。それをわかってもらっただけで十分だ。
いや、やばいな。
「〈百舌鳥〉!命令です!ぶち壊して、彼方を守りに行ってください。」
『了。《騎士》身体強化。24倍。身体硬化。手。』
相変わらずえげつない能力だ。変異者であることを考えれば、堕胎僕の経験から言えば、変異者は何もしなくても一般人の3倍ほどの力がある。つまり、身体強化72倍か。
そう考えていると、僕の眼前を煉瓦が、ジェンガのようにすっと、抜けた。多分、殴った時の砕けた煉瓦がぶつかったのだろう。
「〘修繕《リフォーム》〙」
即座に小人によって埋められた。
『〈梟〉。着きました。彼方の安全は確保できました。』
よかった。下手したら、萩野さんに殺されるところだった。
『敵は、建築さんだけになっています。エフィーさんたちは、今全力で、鉄の上に乗って移動しています。』
『〈梟〉さん!』
この声は、〈ガルス〉か。
「〈ガルス〉。どうした?」
『見つけました!向かいます!』
何を持ってくるつもりだ?
人が誰だかを判断できて、抱えて走れる物。〈鴉〉の首は斬られた。つまり‥‥。
見たくない。
変異者 平賀 源内/現在
「俺は、分子を解裂できる。」
平賀源内は、自分を囲う壁に触れた。バラッと音がして、壁が粉になった。
変異者 加藤 駿【偽名:畠中 幸人】/現在
僕は、壁に体のすべてを預けて、止血しようとしていたが、どんどん意識が薄れていく。血が止まらない。アドレナリンが切れた瞬間に痛みが増した。できるだけ息を小さくして、変に力を入れないように息をしなくては、息すらできないほどだ。手が少しづつ、青紫色に変化し始める。
次の瞬間、壁が消えた。
そこで僕の視界は暗転した。
変異者 藤田 芹奈【暗号名:萩野】/現在
「久しぶりだね。さっちゃん。」
語り掛けるように、私はそいつよりも先にそう言った。
「ほんま、久しぶりやね。‥‥芹奈。いや、今のあんたには畠中莉奈って呼ぶ方がええんかな?」
「‥‥相変わらずの、クソお嫌味だことで。」
「脳の具合、どないしてはりますの?」
「ご心配ありがと。ノープロブレムよ。」
「いい時計してはりますな。」
「あら、あなたと会ってまだ5分もたってないわよ。もう逃げるの。まぁ、応仁の乱以降、戦争したことないお京都の人間ではりますからなぁぁぁぁ」
麒麟のような甲高い大きい声で、それでも笑みは絶やさず、ずんずんとまるで巨人のような力強さで、そいつに近づいていく。多分、笑みを張り付けているはずの顔はなまはげといい勝負できるくらいだろう。
「そんなこと言うてへんよ。『自分と持ち物の差が大きすぎるわ』っちゅう忠告やし。元・相棒としての、な」
視界の端で、〘医者〙が幸人の体を治癒か蘇生をしているところだった。これで大丈夫か。
「笑えないわ。」
私は吐き捨てるように言って、匂い袋ほどしかない小さな巾着をロングコートの胸ポケットから取り出す。
「〘放出〙 大鉈」
「〘鉄筋コンクリート〙」
私は、巾着からは普通は出てこないほど大きい大鉈を持った。あれは、鉄筋でハンマーの大まかな形が作り——
「〘清掃〙」
その瞬間に私は鉄筋を消して、そいつに斬りかかった。
「〘籠城〙」
「〘清掃〙」
「〘防波堤〙」
「〘清掃〙」
そいつは、ばたりとあおむけに倒れた。
こいつの弱みは大技を何度も使えないこと。私みたいに、無制限に消せるような奴には弱い。大鉈をこいつの首元に充てる。いつでも殺せるように。
「‥‥感服したよ。セリ。‥‥これほどまでに『必死にならんと勝てへん』おつもりやったとはねぇ。さぞや、今回の勝利は格別な味どすやろ?セリ」
「潔く負けを認めなよ。さっちゃん。」
「……そやね、認めるわ。私に許された時間は、あと七分。仮初の命やけど、確かに生きれる。どないします?あの頃を懐かしんで、最期の‥‥」
その瞬間、さっちゃんの心臓あたりからぼうぼうと火が出て、一気に燃え広がった。
「ここまでみたいやわ。ほな、さいなら。」
ボッと大きな音を立てて、灰を残してさっちゃんは消えた。
なぜか涙があふれた。息が苦しかった。でも、心は晴れやかだった。なぜだろう。
コメント
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うわっ…第34話、めっちゃ重かったですね…🥀💦 主人公の「♡♡♡」の連呼、あれ心臓にきたよ。あそこまで感情が爆発してるの、読んでてこっちも息苦しくなった。でも、ちゃんと自分で感情を消去して「♡♡♡のは当然の義務」って冷静になる切り替え、怖いけど美しいと思った。 平賀さんの変貌と、最後の萩野さんとさっちゃんの対決…あの「さいなら」で涙が止まらなかった。敵同士なのにどこか通じ合ってる感じがして、切なかったです。 ゆのさんの書く“闇”の描写、本当に丁寧で心を揺さぶられます。次も読みますね🌙